金の斧 銀の斧 | 僕が心臓のネジを巻く時

僕が心臓のネジを巻く時

出来れば僕が動かなくなった後でも、この世界が平和であって欲しい。大切な人達が幸せであってほしい。

昔々、僕達が大きな池のそばを歩いていると
彼女が突然、足を滑らせて
池に落ちてしまいました




僕が慌てて、彼女を助けようとしたら
池の中から美しい女神様が出てきて
言いました




「あなたが落としたのは
 世界一、外見の美しい彼女ですか?
 それとも
 世界一、内面の美しい彼女ですか?」




それじゃあ、まるで
僕が突き落としたみたいな言い方だけど
僕は彼女が心配だったので
正直に言いました




「いいえ、僕が落としたのは
 もっと普通の彼女です
 どこにでもいるような彼女です
 もう若くないけれど
 化粧品はいいものを使って頑張っています
 ペチャパイです
 泣き虫です
 頑固です
 わがままです
 それから・・・」



僕が女神様にそう説明していると
池の中からまるでホラー映画の様に
彼女が出てきて
僕に聞きました
しかも、その手には2本の斧を持って




「金の斧で殺されたい?
 それとも銀の斧で殺されたい?」




だから僕は笑って
彼女に手を差し伸べました




そうして僕達は
金の斧と銀の斧を売って
どこかでおいしいものを食べることにしました



女神様はそんな僕達の様子を
呆れながら見ていました




めでたしめでたし





僕がそのお話を子供達にすると
彼らは嬉しそうに笑っていました



僕が振り返ると
そこには
腰に手をあてた彼女が立っていて
ムッとしながら言いました




「そんなお話を聞かせたら
 子供達が変な風に育つじゃない」




だから僕は子供達と一緒に
笑って言いました



「それでも僕と君の子供達さ」




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