その日、僕は穴を掘っていました
深い深い穴
どこまでもどこまでも深い穴
どこかでピアノを弾く音がしました
どこかで恋人達がささやく声がしました
僕はそれでも
穴を掘り続けました
そしてできた深い穴に
ありったけの食糧と
大切な人を無理やり押し込めました
彼らは必死に僕に
やめてと言うけれど
僕はそれを無視して
押し込めてふたを閉めました
とても頑丈なふたを閉めました
本当は僕も入りたかったけれど
それだけの穴を掘る
時間がありませんでした
そうしてふたを閉めた後
僕は空を見上げ
太陽を見ました
いつもそこにあったもの
どんな時もそこで僕らを見守ってきたもの
そしてこれから先も
あり続けるであろうもの
その姿を目に焼き付けておけば
またここに戻ってこれるような気がしました
そしてその太陽を横切るように
無数の核ミサイルが飛んで行きました
それが僕が見た
地球最後の日でした
Where the Hell is Matt? (2008)