先日、サイバーエージェントの元同期で、現在はモバイルの会社を経営している友人と飲んでいました。


彼の会社も現在は事業をスマホにシフトしていて、最近、初めて作ったアプリが世界で80万ダウンロードを越えるヒットになっています。


そんな彼が飲み会の最中に印象的なことを言っていたのですが、「プロデューサーが一番偉い。そう思っていないプロデューサーにヒットアプリは作れない」、という話をしていました。


「自分が一番偉い」というのはちょっと傲慢じゃないか?良いアプリが作れるのはチーム皆の力だろう?と思う人もいると思います。


勿論そうなのですが、一方でこの言葉は、プロデューサーの一番大切な仕事は何か?を気付かせてくれているように感じました。


プロデューサーの最も大切な仕事の一つは、「決める」、ということです。


我々の場合、例えばあるアプリを作っていて、バーの色は青がイイのか赤がイイのか、ボタンの形は○がイイのか□がイイのか、そんな些細に思えることでも、プロデューサーは常に頭を悩ましています。


こういう場合、悩んだらプロデューサーは関係者やユーザーになりそうな人の意見や感想を集めて決めているケースが多いです。


まだ経験が浅いプロデューサーはできるだけ多くの人を巻き込んで自分の経験や知識の未熟さを補って仕事をした方が良いですが、一方で、「イイ企画というのは多数決で決まるものではない」というのも事実です。


つまり、多くの人の声を聞くのはヒントやアドバイスを得るためであって、皆に決めてもらうためではない最後に決めるのは自分である、という強い意思がプロデューサーには必要です。


これが簡単そうに思えて本当に難しいのです。


人間は組織で働きながら自分で思っている以上に「自分ではない誰か」に決めてもらって仕事をしています。


自分はAがイイと言ったのにお客さんがBを選んだ、とか、そういうことは日常茶飯事で起きているはずです。


ただし、これは、アプリのプロデューサーのような仕事では通用しません。


それがどんな理由や経緯でそうなったのかではなく、結果、出来上がった「モノ」とそれに対するユーザーの「反応」それが自分の仕事の価値を決める全てなのです。


皆に期待されて「コケる」ものもあります。誰にも注目されず「アタる」ものもあります。


ただ、どちらも最終的にプロデューサーがGOしたものに変わりはないのです。皆の意見を聞いた、皆が期待してくれた、だからといって責任が分散されるわけではありません。


プロデューサーの重圧はとても大きくそれを一人で背負わなければいけないのです。


経営者のように一つ一つの仕事が自分なりの「仮説」と「決断」の繰り返しなのです。


だからこそ失敗しても成功しても自分なりの「仮説」と「決断」と逃げずに向き合ったプロデューサーは一つ一つの仕事を通じて確実に成長していくだんと思います。


一方で、自分で決めるということを受け止めきれないと、何本アプリを作っても「知識」を越える『知恵』を身につけ成長することは難しくなります。


TMNのプロデューサー陣にも「自分が一番偉いんだ」とは言わなくとも、そういう気持ちで自分を追い込んで頑張って欲しいと思いました。