会社を作った当初に苦労したことは?と聞かれると、多くの経営者が、「最初は何も信用がないこと」と答えると思います。



信用は組織の中で働いていると普段はその価値を感じることは少ないかもしれませんが、個人に依存せず会社の名前やサービスの実績で様々な取引先とスムースに仕事ができることはまさに『信用』の恩恵なのです。



我々のような設立間もないベンチャー企業では、信用を築くにも時間がかかりますが、一度でも失うことがあれば回復は容易ではありません。



最近、組織や個人が信用を失う時には、よくあるパターンが存在することに気付きました。



それは、【不安】→【不満】→【不信】という段階を経て最終的に信用を失うということです。



最初のきっかけである【不満】は日常業務のほんの些細なところに潜んでいます。



例えば、担当者がつかまりにくかったり、対応スピードが遅かったり、ケアレスミスが多かったり、大概の場合は「本当に大丈夫?」という感じで、その個人や会社に不安を覚えることから始まります。



この不安というのは、歯痒いことに多くの場合、個人対個人の現場で完結してしまいます。



それは当事者が相手に不安を与えている状態に気付いていないことが殆どであり、この段階では相手も個人を飛び越えてその上司や会社を相手にアクションを起こすことは少ないからです。



よって、マネジメントや会社組織としてはこの状態を把握できず改善に着手できないことが少なくありません。



次に【不安】が何度か続くと相手は【不満】を感じるようになります。



不満に発展した場合はたいてい何かシグナルが出ます。クレームになったり、ライバルと比較されたり、現状の改善を求める要求となってシグナルが発せられます。



ビジネスをする上ではこのシグナルが最終警告です。不安の段階では改善できず不満を与えてしまっているわけなので状態としては黄色信号です。



ここまで来るとマネジメントや組織でもキャッチアップできるケースが増えてきますが、当事者が真摯に受け止めていないと最終警告も軽視されてしまい抜本的な解決策が打たれないまま表面的な対応に終わってしまいます。



不満が顕在化した後、信用を回復する唯一の手段は、「同じことはしない」ことです。



しかし、万が一、同じ失敗をしてしまったら【不満】は【不信】にかわります。信用は失墜し二度と以前の状態に戻れなくなります。



テレビなどで不祥事を起こした組織が取り上げられることがありますが、会見後にまた嘘が発覚したり、二度同じような問題を起こすと、マスコミも視聴者も本人達の主張や弁明にもう誰も耳を貸さないのと同じです。



こうなるとビジネスをする上で致命的な状態です。この不信に至る相手だけは絶対に生み出してはいけないのです。



こうやって順序立てて考えるとビジネスをする上で信用を勝ち取るために大切なことが分かってきます。



それは、常に相手を不安にさせないコミュニケーションを心がけることです。



それにはまず相手が不安を感じている状態を察知する必要がありますが、実はこういう問題を起こす人の多くはこの「相手の不安を読み取る」ということができていないケースが多いです。



そして相手が不安から不満に変わると驚いてしまいます。自分に原因があるという自覚が低く「相手が難しい人だった」「相手が細か過ぎる」などとどこかで相手に原因を押し付けてしまうのです。



こういう状態ではいつまた同じことを繰り返してもおかしくありません。こういう人は、むしろ一度思い切って自分のこだわりや従来のやり方をリセットしてしまった方が良いと思います。



それができれば、原因は常に自分にあると受け止められるようになり、相手に合わせたコミュニケーションができるようになります。そして相手の感じる不安に敏感になり直ぐに対処できるようになっていくと思います。



TMNは社員も若く会社の歴史も浅いのでこういったことを大切にしていかなければいけません。今一度、全員が自分ごとと受け止めて日々の仕事に取り組んでいきましょう。