6月10日(月)
幼い頃、家におもちゃがないに等しい環境で育った私にとって、
自分が親になった時、子のおもちゃや絵本をどう揃え、どう扱っていいのか、
正直なんにもわかりませんでした。
おためし講座で初めて目にした、遊びの空間の材料と道具。
当時3歳だった娘のyayaが、その空間にすぅ~っと吸い込まれるように入っていき、
いつも母親の私から離れない子が離れ、私を振り返ることなく遊びはじめた姿。
ほんとうに、あの日のことは忘れられないです。
私自身がおもちゃというものをあまり知らず、そのまま関心なく大人になってしまって、
それがそのまま自分の育児の環境そのものにもなってしまっていたことを
目の前のyayaが、はじめておもちゃというものに出会ったかのように遊ぶ姿を見て、
やっと気づかされたような衝撃を受けたのでした。
それまでの我が家は、気まぐれに義両親が何かのついでに買ってきた
プラスチックの小さな果物、小さなブラシと鏡のセット、
手のひらサイズの小さいプラスチックのフライパン、
スイッチを入れると音が鳴るぬいぐるみ等々。
どれもそれだけの単品だったり、ガチャガチャと勝手に動いたり音が出る電動おもちゃ。
そんなものが家のあちこちに適当に転がっていました。
果物を盛るお皿もないし、髪の毛をとかしてあげるお人形もない、
その小さなフライパンだけでいったい何をどうして遊べと?苦笑
今思うと、我ながら子が育つには貧しい環境だったと情けなく思います。
そんな私が、不思議なご縁で子育ち講座につながって、
そうか、部屋じゃなく空間!おもちゃは材料と道具!なんだと知り、
我が子のために遊びの空間を試行錯誤しつつ整えていく実践は、
母親の私自身がやっていくうちに楽しいと思える実践でした。
母屋の仏間のだだっ広い空間にジャングルジムや滑り台、ブランコがあっても
ちっとも遊ぼうとしなかったyayaが、ほんの畳1畳分の自分の空間に
スッと入ってひとりで遊びはじめるんだもの。
それはそれは私の方が感動して、こんなおもちゃの配置、こういう材料はどう?
なんていろいろ考えながら整えるのがほんとうに楽しかった♪
遊びの空間、机上空間、ともに道具を揃えるだけでは遊びはまったく広がらなくて、
そこに豊富な材料を揃えてあげるだけで、子の遊びは勝手に自由に広がっていく。
そして親がおもちゃを「片付ける」ではなく、「元に戻す」(はじまりに戻す)ことで、
子は何度でも遊ぶ、いくらでも遊ぶ。
その様子を観ているうちに、我が子に「何度でも、いくらでも遊びなさい」という気持ちが
自然に湧いてきて、おもちゃを親が元に戻す役割も繰り返しやってみるうちに
なんてことない私自身の日課になっていきました。
そして、変な話だけれど、我が子の遊ぶ姿を観ながら、受け止めながら、
あぁ、安心して遊んでるなぁ、楽しそうに遊んでるなぁと私自身が感じることそのものが、
思い切り遊べなかった過去の自分を癒してくれているようでもあったのでした。
講座中に遠藤さんが何気なくおっしゃった、
子は未熟だからこそ、生活で大人のようにはやれないことを
遊びの中でやりながら(再現しながら)癒していたりするんだよね
というお話が心に残っています。
確かにそうだなぁ・・・と。
一緒に暮らしている日々の日課の中で、
子は、遊びと生活を行ったり来たりしながら育とうとしている・・・
そこを母親として感じながら子育てをやってこれたことは、
今振り返ってもしあわせなことだったなと思っています。
だまーって、ひたすら積み木をヘビのように長~く並べていたり、
同じ高さでいくつも積んでいたり、チェーンリングをばらして色別につなげていたり、
そんなわが子の姿を、家政婦は見たの心境でじっと観ていた私。クククク。
遠藤さんは、そういう静かに遊ぶ子の様子を「内省している」と言われました。
「内省」なんて言葉自体がはじめて聞く言葉で、ほんとかよ?と疑ってましたが(苦笑)
実際に子の様子を観ていると、なんとなく今日はどことなくふわふわしてるなという時ほど、
自分の空間に入っていって、しばらく何やら遊んでいると元気になるというのかな、
いつもの我が子に戻るというのかな・・・
そういう不思議な感覚で、母親の私自身が子を心配し過ぎることなく、
落ち着いて子を見守れるようになったのも、遊びの空間のお陰です。
大いに助けてもらったなと思っています。
時々、もう8歳なのに、9歳なのにまだ空間で遊んでるというお声を聞いて、
いやいや、いいじゃないの~、しっかり遊んでもらいましょうよ~と思います。
年齢で空間を片づけてしまおうなんて焦らずにいいと思うのです。
その子その子で育っていくペースはみんな違います。
お子さんが好きなように好きなだけ遊び倒してくれたら、
空間をコーディネートしてきた母親として何より嬉しいことですよね。
しっかり甘えた子ほど、スッと親から離れるように、
しっかり遊んだ子ほど、いつかスッと空間から離れて、もっと面白いことを見つけたりして、
どんどん外とつながっていく時期が必ず訪れます。
ん?最近、ぱったり空間に入らなくなったな・・・って日が、
家庭内のちっちゃい巣立ちが、いつか必ず来ちゃうから・・・
そこはその子の育ちにお任せして、母親は淡々と今ある空間をそっと整えるのみ・・・
いやぁ、母親はどこまでいっても黒子だねぇ。
かっこよ!(拍手)←誰も言わないから自分で言うぞっ(笑)