うなぎが好き?物語 | NIKKA-BOKKA 

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子育ち講座を修了した母親の実践や気づきを綴っています

4月30日(火)

 

まだ子育て真っ最中の頃、

夫から「たまには外食しにいくか?どこがいい?」

そう尋ねられる度に、私はちょっと遠慮がちに・・・

「うなぎ・・・食べたいなぁ。」そう何度か呟いたことがありました。

 

夫はどことなく渋々という空気を醸し出しつつ、

それでも2回くらいはそれが叶って、家族でうなぎを食べに行ったのかな・・・

でもそれ以降は、

「うなぎか・・・でもちゃんとした店は遠くてなぁ。」とか、

「俺はどうしてうなぎ料理があんなに高いのかがどうも解せない。」

・・・と遠回しに自分的には不採用だって感じを伝えてくるのでした。

こちらはこちらで、じゃあ、最初からどこがいい?なんて訊くな!って思いで、
「じゃあ、いいよ、なんだって・・・。」とついブーたれるのでした。

 

なんだろうな、お互いにまだ若い時期というのは、

これくらいのことですぐ険悪になる場面が、ちょいちょいありましたねぇ。苦笑

 

でも、ずーーーっと私は内心思ってましたよ~。

数万円とか数十万円するバッグとか宝石をねだってるわけじゃなかろうが!と。

年に1度か2度、数千円のうなぎが食べたいって言ってる妻の小さな願いを

コイツはなぜ拒むんだ??? ったく、ケツの穴のこまか男たい!って。(笑)

 

でも、ある出来事をきっかけに彼は変わりました。

義母が気づいたときはガン末期で、何もしてあげられないまま亡くなり、

夫自身が、そのうち自分に余裕ができたら親孝行をと思っていたことが一切叶わなかった。

そして義母が亡くなって数年後に私が病気になったことも、彼の何かを変えたようでした。

 

「奥さん、今日あなたの誕生日だからうなぎ食べに行こう。」

え?私の誕生日なんていつも忘れる人だったのに。

「奥さん、たまにはうなぎでも食べに行きますか?」

え?あなたイヤなんじゃないの、うなぎ。

どーした、何があった?夫のおでこに手を当てそうになりました。苦笑
 

オレ、ほんとに自分のことしか見えてなかったんだよね。

ただただ働くばっかでさ、とにかく余裕ってもんがなかった。

母ちゃん死んだとき、母ちゃんのお陰で今オレこうしてられるのに、

なんも返せないで終わっちゃってさ、それが情けなくてさ。

あなたが病気になった時、おいおい妻にも同じことする気か?って。

だから、今やれることはちゃんとやろう、自分のことばっかじゃなく、

夫婦の時間も大事にしよう、こうして生きてられんの楽しもうって思って・・・。

ある年の私の誕生日、うなぎ屋さんへ向かう車の中で、夫がそう言ったのでした。

 

そして私、なぜうなぎが好きなのかって言うと・・・子ども時代、

保育園に預けられていた時、私と妹はいつもお迎えが最後でした。

両親が共働きだったので、夕方6時過ぎにならないと母が迎えに来れなかった。

その当時は延長保育もない時代なので、広いホールに妹と二人きりでポツンと座り、

テレビを観ながらお迎えを待ち、いつも心細かったのを覚えています。

でも、ある日父親がたまたま仕事が早く終わる日で、

誰よりも早く一番に私達を迎えに来てくれた日がありました。

もうその日は嬉しくて嬉しくて、「今日はお父さんが早く迎えに来るっちゃん!」と

先生や友達に言いまくって、父の迎えを楽しみに待ちました。

そして約束どおり、父がまだ誰もお迎えに来ていない時間に車で到着し、

私と妹は大興奮で「おとーーーさーーーん!!!」と教室から叫びました。

いつもお迎えが最後だった私達を不憫に思っていたのか、

担任の先生が涙ぐみながら帰りの支度を手伝ってくれて、

「よかったね~。今日は一番にお迎えだね~。」と喜んでくれました。

そして車に乗ると、父が「今日は土用やけん、うなぎ食べにいくぞ!」と言って、

そのままうなぎ屋さんに連れていってくれたのでした。

その時のうなぎ屋さんのいい匂いとお店の活気、父の嬉しそうな笑顔が忘れられません。

うなぎが好きというより、私はその日の出来事(物語)が未だに忘れられなくて、

うなぎを食べるとそれを思い出してしあわせな気持ちに包まれるのでした。

 

私は、夫とうなぎを食べながらこの物語をしんみりと語ったんですが・・・

この人はどうしてそれをいとも簡単に省略しやがって・・・(泣)

 

「お母さん、うなぎ好きなんだよ。」(いやうなぎが好きなんじゃなくて・・・)

 

「え?そうだったの?のわりに、うなぎそんなに食べに行かなかったじゃん。」と子ら。

(そう、そこね!そこよ!そこもうちょっと突っ込んどいて。(笑))

 

「いや、実は好きらしいよ、うなぎ。」と夫。(だから、そういうことじゃないって話)

 

「そうなんだ~初耳。知らなかったよそれは。」と子ら。(いや、そ、そうじゃないのよ)

 

も~~お、なんでそ~なるのっ!!! 

 

夫にとって、私の物語はそんなに重要じゃないのよね。

うなぎ、好きなんでしょ? そこだけわかってればいいと思ってる。

なので、コヤツには迷いなく遠慮なく直球ストレートが一番早く伝わると心得た!

「ぅオイ、そろそろ奥さんに旨いうなぎを食わせろぉい!」←巻き舌で。(笑)