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戯曲勉強会ビオロッカのブログ

東京外国語大学公認演劇サークル劇団ダダンを
母体に発足した勉強会です

演劇に携わりたい人達の受け皿のような存在になれたらいいな、
とおもっています

さて、「すもう」が始まります。

下手に座っていた男は、ホワイトボード中央の「なとりがわ」を「すもう」と書き換えます。

そしてくるっと振り向くと、なにやら怪しい姿勢を固定させて、したり顔で観客席に歩みよってきます。
そして定位置に着くと、次のような台詞を狂言の形式そのままで話します。



「このあたりに隠れもない大名でェす。
天下治まりめでたい御代でござれば、
この間のあなたこなたの相撲の会は、おびただしいことでござる。
それにつき某も、相撲の者をあまた抱えようと存ずる。
まず太郎冠者を呼び出だいて、申し付きょう。
ヤイヤイ太郎冠者、あるかやい。」


これで太郎冠者がやってきて、相撲についてのあれやこれやのお話がはじまる

はじまる…………

………

……

…はずなのですが、太郎冠者はやってきません

「あれ、誰か段取りを間違えたかな」という気まずい空気の後、
隠れもない大名はもう一度上の台詞を繰り返します。

「(略)ヤイヤイ太郎冠者、あるかやい。」

したり顔を固定させたまま、目玉だけを上手と中央の俳優に向けますが、何の反応もありません。

すると、すり足で中央の役者の隣まで移動し、二人めがけて、

「まず太郎冠者を呼び出だいて、申し付きょう。ヤイヤイ太郎冠者、あるかやい。」

といいますが、やはり沈黙。

すると大名は、観客席の中に太郎冠者を見つけようとします

まずは挙手を求めます。

「ヤイヤイ?太郎冠者ぁ?あるかやい?」




しかしそれでも見つからないとなると、大名らしく買収に出ます。

台詞を唱えながら、ポケットからミントのスースーする粒を取りだし
最前列の観客に向けながら、太郎冠者を
(少なくとも太郎冠者を演じてくれる人、相撲に興味のある人を!!!探します。



観客はしかし、このような大名の相撲欲を満たしてはくれません。
舞台当日は大相撲九州場所の14日目、千穐楽だったというのに……

すると突然大名は観客席に見切りをつけて、
手のひらのスースーするやつを投げ捨て、
舞台であった教室の外へと飛び出し、太郎冠者を探します。

校舎の3階にある宙に浮いた渡り廊下は、教室一面に設置されている窓から見えます。


(二日目は日が沈んで暗く、写真に映りづらかったのですこし加工しました。)

「ヤイヤイ太郎冠者、あるかやい。」
大音声で繰り返しながら、速くすり足で渡り廊下を向こうへ渡ってきます。


(もちろんイメージ図です!)

そのようすはまるで能舞台の「橋がかり」を行く役者のようです。

しかし大名は、学園祭の参加者の中にも太郎冠者を見出すことはできず、教室へと戻ってきます。



かすれ、よわよわしい声で台詞を唱えながら、自分の座っていた椅子に視線を送ります。
やがて座ります。



………………

…………

……


それまでとは打って変わって朗らかな顔でカーテンコールとなりました。




この演目について考えたこと、言い訳はまた次回!

乞うご期待!

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