かろうじて残っているのは、この塊と肉体のみ...

J・C・チャンダー 監督作品
「オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~」観ました!
あらすじ!
8日前...
インド洋をヨットで単独航海中の男は、
耳元でする水音で眠りから覚める。
覚醒の戻った彼の目の前には、船室の床に広がる水が!
海上を漂流していた巨大なコンテナが船体に激突し、
ヨットに胴体脇に大きな穴が開いてしまったのだ。
航法装置は故障、
無線もラップトップPCも水浸し。
しかし、これらは災難の始まりに過ぎなかった。

船体の穴は簡易修理により塞いではみたものの、
やがて海上は暗雲立ち込め、
真っ黒で巨大な雨雲が迫り、雷鳴がとどろき、
間もなく襲いかかる暴風雨。
荒れる波にもまれ、
ヨットは転覆。
嵐が去った後、
男のヨットのダメージは決定的なものとなった。
船室への浸水はもはや止めようがない。
ヨットを捨てることを決意した男は、
食糧とサバイバルキットを積み込み、
救命ボートに避難する。

見渡す限りの水平線...
ここはいったいどこなのか?
飲み水は底をつき、
食糧は絶え、
再度の暴風雨による救命ボートへの損傷、
どこからともなく現れたサメの集団、
危機的な、
ギリギリの状況下、望みは確実に断たれようとしていた。
すべての運に見放されたとき、
男は初めて自分自身の本当の気持ちと向き合う事になる。
そして、
一番大切な人に向けて偽りのない気持ちをつづり
それを瓶に詰め、届く宛の無い手紙を海に流す・・・

噂通りの良作でしたっ!
この物語・・・
その男は何故?インド洋を一人ヨットで航海していたのか?
彼のスキルは?
そんなことが一切語られない、
そんな中でのひたすらサバイバルな
なんともストイックな一本なわけです。
主人公の男を演じるロバート・レッドフォード
登場人物は彼、ただ一人!
しかもセリフはほぼ、皆無!
劇中、
見渡す限り海、また海にたった一人きり
しかし、
彼は独り言すら言わない
なので、ほぼセリフはない。
ロバート・レッドフォードの高度な演技が冴えわたっています。
特に、その表情が秀逸でしてね、
基本、ず~~~っと無表情なんですが、
ここ一番の表情はたまらないんですね!
ヾ((○*´∀`*))ノ゙
実に雄弁なわけです!

序盤、
いきなり船体に穴が開くところから始まるのですが、
なんとか船内にあるモノで胴体の穴をふさぐんですね。
ヨットには、グラスファイバーシートやら
それ用のセメダインのようなモンが必ず積まれているんでしょうね。
これだけの船だと、
外洋に出るから、簡易修理出来るような材料が積まれているのでしょうね。
で、
このシーンもそうなんですが、
暴風雨の中、
ヨットの船上で雨具を着て、ズブ濡れで何か作業している男・・・
かなり危険ぢゃないですか?
しかも波に呑まれて落水したりしてね・・・
これって今やらないといけないことなのか?
ヨットの知識が無い私には、
いったい何でこんなことしてんのか解らず、
面白さが半減してしまいましたょ(-.-;)(-.-;)

これらの作業の意味が解りさえすれば、
もっともっと臨場感が味わえたのでしょうね・・・┐('~`;)┌
鑑賞中、凄く悔しい思いをしました!
以前、
逗子に住んでいる頃は、
それこそお金持ちが周りにたくさんいてね、
ヨットだ、クルーザーだと遊びに連れて行ってもらったのに、
生き残るためのこれらの行動の意味がわからないとゎ(-.-;)(-.-;)クッ!
だからなんですが、
彼がホント!トロく見えるんですよ!
やることなすこと、全て裏目に出ているようでね、
終いには、
船が揺れて、ポールに頭したたかに打って気絶し、
手遅れになるまで浸水したりして・・・(-.-;)
この辺りも
見る人が見れば、すごく重要な意味があったりするんでしょうな・・・?(-.-;)

努力の甲斐虚しく、ヨットを離れる決意をする・・・
とにかくセリフが無いと申しましたが
この男はこの苦難に、
ただ黙々と対峙するだけなんですね…
自分に対し厳しい感じなんですが、
でゎ何故に、
あれだけデカいコンテナが船に突っ込んだのに、
目を覚まさなかったのですかね'`,、('∀`) '`,、
かなりなノンビリ坊主ですよね'`,、('∀`) '`,、
危機管理能力があるんだか、無いんだか、わかりゃしないょ!
'`,、('∀`) '`,、

こんなデカいモンが突っ込んだんだから、その時点で目が覚めると思うのだが…?
劇中、彼がしゃべったのは
無線が再接続した時の
「This is the "Virginia-Gene" sos call over」
と言ってから
あとはもう、一切しゃべらなくなるんですね、
途中、
救命艇が浸水しはじめると
「sitt!」って呟き、
さらに、
貯水しておいたポリタンクの空気穴のキャップが開いていて、
海水が混じってしまい飲めなくなると、
「FAC~~~~~~~~~k!!」と叫んでいました。
後は、貨物船が通りかかった時に、
発煙筒をたきながらの「Help!」とこれだけ・・・

優雅なヨットでの一人旅、セレブやね~

こんなになるまで気づかない、眠りの深い健康体

あう!Σ(゚□゚;)外丸見えのデカい穴が開いちまった!

シット!もう天を仰ぐしかないよね…(-.-;)

「ファァァァァァァックッツッ!!」自分のバカさ加減に心底腹が立つ!

海水に太陽光を当て、蒸発した水分をビニールで受け、カップに貯める・・・気が遠くなる・・・
しっかし、いい表情するよなぁ~・・・名優だ
全編通して、
救命ボートを海中から海面を見上げる形でのアングルが多く差し込まれるんですが、
ただ美しい画面というだけではないんですね。

このアングルがよく差し込まれます
男は漂流中に二度、
貨物船と遭遇するんですが、
大きすぎて、救命ボートに気付かないんですよ。
発煙筒焚いても、信号弾打ち上げても気づかれず、
絶望の淵に立つ・・・
三度目、
夜なのでさらに気づかれにくい状況で、
発煙筒も信号弾も使い切った男は、
飲み水用のポリタンクを切り開き、
その中にノートを破いて火を点け、
相手に気付かせようとします。
しかし、
ポリタンクが火に耐えられず、
ついにはボートに燃え移ってしまいます。
海に落ち、
もはや万事休す・・・
絶望の極限で男は、
深く暗い海の底へ沈んでいくんです・・・
そして、
男が見る、最後の風景が、
下から見るボートなんですね。
赤々とリング状に燃え広がるボートなんです・・・
今までの同アングルの画が、
最後に大きく利いててね・・・
素晴らしかったですよ・・・

沈んでいく男・・・
意識が遠のく・・・
と、その時!
丸く燃えているボートの脇に、
懐中電灯の灯りが差し込む、
何かを海中に探している!
それを確認した男は、
残った力を振り絞り、水面へと泳ぐ
そして差し伸べられる手・・・!
男の手が、その手をガッチリつかむ!
そして終劇...
あ~よかった!
助かったんだね!・゜・(ノД`)・゜・。

途中、
もう進退窮まる状況で書いた手紙・・・
邦題での“最後の手紙”ってのは、
このワンシーンで付いたモノでしょうね・・・
何が書かれていたのでしょうかね?
かなりの行数が書かれていたのですが…?
この手紙については一切ふれずに終幕してしまいます。
そんな感じで
様々な点で疑問が残るし、
とにかく、
我々は、この何もしゃべらない男を
ただスクリーンのコチラ側で見ているしかない。
悔しいがそれ以外の選択肢がないんですよ。
それらが、
このセリフの無い劇により
いっそう引き立つんですね。
自分たちが遭難しているかのごとくに・・・
もう、
その場で体験しているかのように・・・
なのでね、
本作のエンドクレジット、
CASTに役名がただ一人、
“OUR MAN”とだけ書かれていたんです。
A MANではなくてね・・・
粋だなぁ~・・・+.(*ゝд・)b゚+.゚

さて全国18か所(たぶんもっと増えると思う)と
あまり多くは無い公開劇場ですが、
少し遠くても、
是非、足を運び、ご覧くださいね。
いいモノに巡り合えると思いますよ!