地球が丸いのは、ぜんぶ繋がっているから。

ミケランジェロ・フランマルティーノ 監督作品
「四つのいのち」観ました!
あらすじ!
南イタリア・カラブリア州の山村…
年老いた牧夫は山羊の世話をし、
薬の代わりに、教会の床の埃を水で溶いて飲む…
そんな暮らしを、長く…静かに営んできた牧夫も、
やがてその命が尽きる時が来る…
去っていく命があれば、
生まれ出る命もある…
ある日、山羊が出産する。
おぼつかない足元ではあるが立ち上がり、
そして歩き出す…

やがて、大人に混ざって放牧へと出かけるが、
森の中で、うっかり溝にはまり
群れに置いて行かれてしまう…
懸命な鳴き声も、
それらは誰にも届かない…
親たちにも、牧夫にも、牧羊犬にも…
ようやく仔山羊は溝から出られても、
仲間はもういない…
森の中を彷徨い歩き、
疲れ果て、
森の中に一際大きくそびえる樅の木の元眠りにつく…

やがて季節は移り変わり、
雪が降り…
春を迎えた山村…
何百年も続く“ピタの祭り”が行われる季節…
祭りに使うため、
巨大な樅の木は伐り倒される…
そして、
祭りが終わると
巨大な樅の木は、
炭焼きにと売られていく…
小さく切り分けられ山のように積まれ、
藁と粘土で固められた小山はそのまま炉となり
樅の木は火をつけられ、燻されて木炭へと変わっていく…
植物は鉱物へ…
村にはかかせない、大切な炭へと生まれ変わる…
そして今日も、
村のあちこちの煙突からは、暖かい煙が上がる…

さて、
本作なんですが、日本公開は2011年の春。
今回は、ちょっと変わった鑑賞の仕方をしました。
試写会でもなく、
シネマパーティーという形で。
美術館のイベントで、
軽飲食が用意された会場で、
20名ほどの招待客とともに観てまいりました。
本作は、
ドキュメント風に撮られたフィクションドラマです。
よりリアリティーを求めた結果、
役者に演じさせるのではなく、ロケを行った土地に住む
本当の住人たちに、
日々送っている生活を演じさせるという、
ちょっと風変わりな撮影方法を試みました。
実際にこの手法の歴史は古く、
イタリアでは40年も前から使われていたりします。
「木靴の樹」なども同じ手法で撮られています。
そんな伝統的手法で制作された本作ですが、
じつゎ
たった一人だけ、プロの役者さんが出演しています。
それは誰か?
知りたいですか?(●´艸`)
なんと!
牧羊犬役のワンちゃん「ヴック」くんでした!
彼は本作で、2010年にパルム・ドッグ賞を獲得しています。
この賞、
記憶に新しいのは、
2011年の『アーティスト』に出演したアギーくんですよね!
ヾ((○*´∀`*))ノ゙
ヴックくんの凄いところは、
パンニングのみで
約8分強の長まわしシーン
カメラが左右に移動する間に、
タイミングよく山羊が移動したり
登場人物が芝居したりするこのシーン。
なんと、
監督の思うタイミングが合わず、
22テイク目でようやくOKが出たそうです'`,、('∀`) '`,、
このシーン、
ヴックくんでなければ、もっともっとテイクが必要だったと言われています。
天才犬!(∀`从)♡♡♡

マルティーノ監督は、
舞台となったカラブリアの人です。
ただし監督は、ミラノで育っています。
ミラノ生まれのカラブリア人ということになります。
北部のミラノに対し、
ちょうどブーツの形をしているイタリアの南側、
つま先にあたるのがカラブリア。
都会と、対照的な、時代に取り残されたような田舎の村。
都会ではハッキリと引かれた境界線も、
田舎の村では、曖昧になり
人も、
動物たちも
木々も、鉱物も、
その境界は曖昧で、
そしてすべて繋がっているのです。
その結果、
一切のセリフはなく、
効果音も
BGMもない、
自然の音だけで構成された88分間は
それは心地よい時間と変わります。
ただね、
ご自宅で、一杯やりながら観たりすると、
たぶん、心地よくて眠くなるでしょう
'`,、('∀`) '`,、

少し切なくて、
少し可笑しくて、
考えさせられて、
少し羨ましかったりもする…
素敵な映像美を、
どうか一度、手に取ってみて欲しいです。