ヴェッキオ橋に行くの…でも身投げするためよ。

周防正行 監督作品
「終の信託」観ました!
あらすじ!
1997年、
天音中央病院呼吸器内科の評判のいい優秀な医師、折井綾乃は、
長い不倫関係にある同僚医師の高井則之に裏切られ、
失意のあまり
睡眠薬による自殺未遂を起こす。
やがて仕事に復帰したもののドン底の綾乃を、優しく励ましたのは
重度の喘息を患い
長く入退院を繰り返していた江木秦三だった。
綾乃と江木は心の内を語りあい、医師と患者の枠を超えた深い絆で結ばれる。
江木は徐々に悪化する病状の中、
自らの最期を綾乃にお任せしたいと告げる…
チューブだらけになって生かされるより
はやく楽にしてほしいと願い出たのだった。

2か月後、
江木は散歩中に発作を起こし、心肺停止状態で天音中央病院に担ぎ込まれた。
綾乃の必死の蘇生治療により、
ようやく自発呼吸をはじめる江木ではあったが、
長く心肺停止状態であったため、意識は戻らず、寝たきりの状態になる…
そんな江木の姿にいたたまれない綾乃は
約束通り延命治療を中止する旨を家族に伝え、挿管パイプを外し江木を楽にする決断をくだす

3年後、
綾乃の行為が刑事事件へと発展する…
検察官・塚原透は綾乃を殺人罪で厳しく追及。
綾乃は自らを信じ、固い意志で自らの行為を主張するのだが…。

96年に日本アカデミー賞総なめの「Shall we ダンス?」の
周防正行監督×草刈民代×役所広司が16年ぶりにタッグを組んだ本作。
まぁ、
正直言って私的に、“Shall we ダンス”って、
日本アカデミー賞独占とか
興行収入16億とか
リチャード・ギアによるハリウッドリメイクされる
ってほど、高評価ではないんですが…(-.-;)
それでも気になり行ってきちゃいました。

ただね
144分の長丁場で、
ほとんどがセリフで進む物語も、
ストレスなく観ることができる演出は素晴らしいです。
で、
再三言ってますが、日本の至宝・役所広司さんの芝居は凄まじいです。
もうね
全編通して各所に魅せるわけなんですが、
私的には、草刈さんに聴診器を当てられている際、
近づく草刈さんの顔に戸惑っているような
照れくさいような、微妙な反応を示した表情が忘れられません。

それ以外にも、
草刈さんに車で送ってもらう時とか
設計図面を病院の中庭で確認している表情とか、
まぢ、惚れる!ヾ((○*´∀`*))ノ゙
カッコいいとはこういうことだ!

しかしね、
物語としては、
愛を描いているという割には、
草刈さんと役所さんの心がつながっていく様は、
案外アッサリで
わかりづらいというか、
決定打はないというか、
CDのくだり以外にコレといった表現が見当たらず
生き死にを左右するやりとりが上手に描かれているとは思えなかったのです。

序盤から、草刈さんが乳放り出しての熱演で
期待も膨らむわけなんですが、
すぐさま、
セリフ多用の淡々とした流れに移行、
丁寧な表現といえば当てはまるような、
そう思わせてるだけのような
不思議な時間が過ぎていくのですね。
そうこうしていると後半、
舞台は回想から現在に移り、
検察庁でのシーンにかわります。

陽が傾くまで待たせて取り調べる検事・塚原の妙が魅せましたね~~
綾乃は自殺未遂した際、
意識不明なはずなのに、治療されている状況を認識しているのですね。
ハタで見ていると意識のない患者でも、
実は、本人は意識を保っているのでは?って思い始めるワケです。
実際その経験が彼女の医師としての
患者への対応を決定づけちゃうわけなんですが、
それ故に暴走しやすくなっちゃってるんですね。
なので江木の死に敏感すぎで、
あれほどあからさまに江木の家族の前で取り乱したり
ちょい異常なんですよ。
故に、
後々、刑事事件へと発展した場合、
遺族に不利な証言しかしてもらえなくなっちゃうわけです。
同じやるにも、
家族を泣かせ、感謝される方法もあったのでゎ?って思いますよ…えぇ…
なので、
塚原検事にいくら事情を説明しても一蹴されてしまうわけでして、
挙句には…
ってラストでね…(-.-;)

江木の奥さんのダメっぷりも上手過ぎですし、
補佐官杉田の、何か言いたげな芝居とかも興味わきます
途中、
効果的に使われる、流木の画も意味深で、
作品価値をあげていると思います。
イイ役者揃えて、重いテーマ扱ってますので、
お時間ある時にでも押さえてほしいですね。
