それでも、もう一度…

平川雄一朗監督作品
「ツナグ」観ました!
あらすじ!
この世に生きる者が、亡くなった者にもう一度だけ会いたいと強く願う時…
一生にただ一度だけ、たった一人…
生者と死者の再会の機会を設けることができる、“ツナグ”
この都市伝説のような使者の見習いをする高校生・渋谷歩美は、
どこにでもいるごく普通の高校生だった。

ガンであることを、本人である母親や家族に隠していたため、
おばあちゃん子だった息子との間に溝が出来てしまった高慢な中年男・畠田靖彦

勘違いから
けんかをしたまま事故死した親友・御園奈津に
奈津の事故原因を自分が作ってしまったのではないかと心配し、
謝りたいと願う同級生の嵐美砂

失踪した婚約者・日向キラリを7年間も待ち続けるサラリーマン土谷功一

といった、
様々な想いを抱え悩む人々との出会いと再会を見届けることにより
自らも成長しつつ依頼人の願いをかなえる歩美。
しかし、
死者と生者の再会は、本当にそれぞれにとっての救いとなるのかの疑問が晴れないでいた…

ツナグ…とても便利な仕事ですね~(=´∀`)人(´∀`=)
ツナグを利用するにあたり、
いくつかのルールがあるのですね。
●生者と死者が出会うには生者からの一方通行な願い(依頼)が必要。逆はない。
●生者と死者の再会は、互いに生涯ただ一度きり
●死者は依頼者に会うことを拒否できる。(死者からしても一回きりのチャンスなので)
●再会は、月の出る夜(満月が望ましい)日の入りから日ノ出まで。日の出と共に死者はその世界へと還る。
(フロムダスクティルドーンってわけだ!'`,、('∀`) '`,、)
また、ツナグ側にもいくつかのルールがあり
●ツナグは一子相伝的要素があり、必ず一人しか存在しない。
また、任期中は自らが死者と再会する行為は出来ない。
●ツナグ継承者は死者との窓口に使う、古来伝承の鏡の所有者である。
●この鏡をツナグ以外のいかなる者も覗いてはいけない。
(もし見てしまうと見た者と所有者であるツナグ双方が壮絶なる死をむかえる。)

まぁ
まことしやかに囁かれている都市伝説なんですが、
そんな中、何故か実際にコンタクトしてしまう人がいるのが
不思議で納得いかないのですが、
じつは
歩美の祖母・渋谷アイ子(現・ツナグ)自身が身の周りで出会った、
死者と会いたがっている人へアプローチをかけてるんですね。
つまりツナグは、死者との再会を仲介するだけが仕事ではなく
それらを必要としている現世の人々に惹き寄せられている可能性があることを
劇中で語っています。

ただまぁ、
老人の行動範囲内でってことですので、
ホント、狭い地域での活動ってことになりかねないですね。
たぶん、
一度利用した者は、二度と使えないわけですから、
いい再会でなかったりしたら、
もう、いい加減なデマ流しちゃったっていいワケですし、
そうなれば、
犯罪に巻き込まれる可能性も出てきますよね。
殺人事件の被害者自身が法廷に立つとか起こりうるワケで
(加害者にしてみたら天地がひっくりかえるよね)
なので、
ツナグ自身が犯罪者に狙われちゃうかも!
もし、
引き継ぎなしでツナグが殺されちゃったりしたら、
そこで、ツナグって仕事は途絶えちゃうのだろうか…?
引き継ぎの儀式みたいのがラストで描かれているし…??

本作では、
3組の依頼者をオムニバスに描いていきますが、
1人だけ、
再会で幸せにならない人がいるのですね。

嵐美砂と、事故死した御園奈津のエピソードなんですが…
歩美と同じ高校の演劇部の二人は、
次の講演の主役の座を巡り、
不幸な事故が起こってしまいます。

美砂より一歩下がった位置にいた奈津ですが、
今回の主役に立候補したがため、
美砂との仲もギクシャクし、
挙句、
勘違いから、美砂は奈津に対し殺意を抱いてしまいます。
そして、真冬に坂道に水を撒き、道路を凍らせて
自転車通学の奈津を事故に遭わせてしまうワケです。
美砂はそのことを悔やみ、
また、
ツナグを通じ、自分の殺意が誰かにバレてしまうことを恐れ、
一度限りのチャンスを自分に会うことで潰してしまおうと考えます。
つまり、
奈津が自分に会えば、もう他の人には会うことができないワケで、
本人の口から、美砂の行為がもれることはなくなるのです。

この段階では、様々な想いが巡っている美砂ですが、
実際に奈津に会い、優しく接してくれる奈津に後悔の念が押し寄せてくるわけです。
しかも、
奈津は美砂に対し、歩美を通じ伝言を残します。
「道路…凍ってなかったよ…」
この伝言を聞いた美砂は、泣き崩れ、ただただ奈津に謝り続けます。
歩美を好きだった奈津
それを知る美砂は
朝日が昇るまで、奈津の傍にいてあげて!と歩美に懇願し、泣き続けます。
こうして、
死者に再会したことにより、生涯消えない心の傷が美砂には残ってしまうのです。
しかし、この事件を乗り越え大きく成長した美砂。
その一部始終を近くで目撃した歩美も、
ツナグを引き継ぐ決意を固めていくのです。

この重要で難しい役をこなしたのは
またまた出ました橋本愛ちゃん
大木家のたのしい旅行 ~新婚地獄篇~にて
青い人ヨシコ役で出演していた女の子ですね

それからの活躍たるや凄まじいものがありますね!
しかも本作では、鬼気迫る演技で、
圧倒的存在感を示していました。
歩美こと、シンケンレッド松坂桃季くんが役の上で、淡々としていたのに対し
激情さらけだしての芝居はさすがといえます。
唯一の見どころかもしれないですね。

その他の設定としては
死者との再会の場所はバンドホテルの901号室と決まっているようです。
そういえば、横浜にあったバンドホテルは99年に閉めちゃいましたが…
なぜこの場所なのか、もうちょっと語って欲しかったかも。

歩美の父母の死の秘密など、
ミステリー色もわずかに含まれ、出来はよかったですよ。
泣こうと思えば、泣けるつくりですし(●´艸`)
私の観た回は、
アチコチですすり泣く声が聞こえましたよ。
もし、
何観ようかな~?って悩んでる方いましたら、
どうかリストに加えてくださいね。

