こんなものに執着して…

“十三人の刺客”三池崇史監督
「一命」観てまいりました!
あらすじ!
江戸時代初頭、
それまでの戦乱の世も過ぎ去った徳川治世下では、
大名の御家取潰しが相次ぎ、
職を失い、生活が困窮する浪人があふれ、
やがてその浪人たちの間では、「狂言切腹」なるものが流行りだす。
裕福な大名屋敷を訪れ、庭先で切腹をさせて欲しいと願い出ると、
屋敷側は面倒をさけ、金子や、うまくすれば召し抱えなどが手に入るとあって、
巷では、アチコチで狂言切腹と名乗る、体のいいゆすり行為を行う者が多く現れる。

ある日、
名門井伊家の門前に、津雲半四郎と名乗る武士が切腹をしたいと訪ねてくる。
家老・斎藤勘解由は半四郎と面会し、
数か月前にも、千々岩求女と名乗る若き浪人が、
武士の魂である本身を竹光に代え、恥も外聞もなく狂言切腹を願い出た話を始める…

静かにその話を聞いていた半四郎だったが、
いざ切腹という時、介錯人として、沢潟、松崎、川辺を指名したのだが
当の三名は屋敷に姿を見せていない…
そしてこの三名は、千々岩求女が切腹を申し出た際、
本当に腹を切らせた張本人、しかも、求女の竹光でだ!
不思議に思う家老・斎藤
やがて半四郎は、その若き浪人・千々岩求女との意外な事実関係を語りだした・・・。

さすがに三池監督でした。
非情に簡単な、わかりやすい流れの中での、作品の重さが並ではなかったです。
自称人間国宝の'`,、('∀`) '`,、海老蔵の鬼気迫る芝居も見ごたえありでした。
さすがに大口叩くだけありますな(●´艸`)
歌舞伎役者だけに、大きく派手なセリフまわしで、動きないシーンでの存在感は一番でした。
着物での立ち振る舞い、殺陣と申し分ない感じでした。
そして、お得意の目力!
ある意味、役所広司さんをも食ってた感があります。

屋敷でのシーンと、回想シーンが絶妙なタイミングで切り替えられ、
それこそ、アッと言う間に本編は終わってしまいました。

じつに切ない物語なのですが、
印象的なシーンが一つあって、
同じように、人に飼われている猫、
求女の家に居ついていた猫は、最後、のたれ死んでしまうのですが、
井伊家の屋敷で飼われている猫は、半四郎が藩士たちに追い詰められて絶体絶命状態に、
座布団の上で、呑気に昼寝しているという対照的なカット。
猫ですら、貧富の差により、運命が大きく違う虚しいシーンでした。

半四郎はいいます
「求女は妻子のために、早々に武士の魂も竹光に換えたというのに、
私はいつまでもこんな物に執着して…」
形ないものに執着し続けている半四郎は、
悔やんでも悔やみきれない思いを、井伊家にぶつけてしまうワンシーンは秀逸!
くやしいけど、海老蔵やるな…
そのほかの出演は、
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの、満島ひかりさん。

竹中直人さん、
ムカつく藩士・沢潟彦九郎に、「おっぱいバレー」青木崇高さん

本作は、3Dも同時に公開されているらしいですが、
そちらもなかなかの出来栄えだとか?
まぁ機会があったら観てみたいかも!(●´艸`)

風景の切り取り方も、季節感を感じるよう工夫されて、
きっと3Dが活きているのだろうと、容易に想像できますね。

ラスト、
屋敷では何もなかったかのように平穏を取り戻し、
彼ら親子の一命をかけた訴えは、井伊家に波紋を投げかけたのか否か?
後味はあまりよくないですが、
考えさせられた一本となりました。

私は62年の仲代達矢さん主演「切腹」を観たことがないのですが、
こちらも噂では素晴らしいそうです!
順序が逆になりましたが、こちらも早急に確認したくなりました。

どちらかと言えば、まずはコチラから観ていただき、
ぜひとも劇場に足を運んでくださいね~~~(私、配給会社の人間でゎありませんので!)
