会ってもいないのに、もう愛してしまっている | 真夜中のキャプチュード

会ってもいないのに、もう愛してしまっている





八日目の蝉










角田光代の最高傑作ともいわれる、同名小説原作の

                  「八日目の蝉」行ってきました!

 監督は、

  「ミッドナイトイーグル」「孤高のメス」の成島出








物語は

95年...東京地裁...

野々宮希和子に懲役6年の判決がくだった。


希和子は、勤め先の上司秋山丈博と不倫関係を持った挙句、丈博の子を身ごもる

しかし、丈博の身勝手で堕胎させられる…

堕胎手術の後遺症で、二度と子供が産めない体になった希和子...



その後、事実を知った丈博の妻・恵津子から執拗なまでの嫌がらせを受け続けることとなる。

丈博との別れを決意した希和子は、

生まれたばかりの丈博と恵津子の子供を一目みることで、

生まれることの叶わなかった自らの子との決別をし、

         すべての事柄に別れを告げるつもりで丈博の家を訪れた。






想いを断ち切るために丈博の家へとむかう







ちょうど目の前に丈博夫婦が出勤のための送りで家から出てきた。

豪雨の中、車で出かけていく二人、

留守宅に近づくと、リビングの窓の鍵が開いていた。

思わず家に足を踏み入れてしまう希和子…

 すると赤ん坊の泣き声が聞こえ、その声に導かれる・・・

赤ん坊を一目みた希和子は、丈博との間に恵まれたものの、

  生まれることのなかった赤ん坊、

  二人で命名した「薫」だと思い込む


抱き上げると、薫は笑顔を見せた


気づくと希和子は赤ん坊を抱き、

   雨の中を走り出していた。





希和子は恵理菜を薫だと勘違いする






関西へと逃げる希和子だが、

  見知らぬ土地で途方に暮れてしまう…

そんな中

  様々な事情を抱えた女性だけが共同生活をしているエンゼルホームという

    駆け込み寺のような施設に縁あって身を寄せる。


  しばらくは静かな、自給自足の生活が続くも、

  しかし、

  エンゼルホームはエンゼル様と呼ばれる教祖を仰ぐ、カルト教団だった。

   
     この種の団体は

  サリン事件以来、警察からのマークが厳しくなり

   ついにエンゼルホームにも警察の家宅捜査が行われることとなる。

そのことを知った希和子は、

 薫を連れ、エンゼルホームを後にする



実の母の元に戻るも、この家を逃げ出す恵理菜





エンゼルホームで知り合った沢田久美の実家がある小豆島へと逃げる二人

  久美の安否を両親に伝え、

  家業のそうめん工場で働かせてもらうこととなる。

  久美の実家の離れに住み、

   この島で一日でも長く薫と生きていきたいと願う希和子だったが、

  この地の祭りの写真が全国紙に掲載されてしまい

  そこに希和子と薫が映りこんでしまう


  即座に島を出る決意をし、フェリーに乗り込む希和子だったが、

    フェリー乗り場で、ついに逮捕され、

                  薫との別れが突然訪れたのだった…



   薫、4歳の夏だった…






別れの予感に記念写真を撮る希和子と薫









   秋山恵理菜に戻り、21歳になった薫は

   現在、ぎこちない親子関係から逃れ、

   一人暮らしをしている大学生だ。

  
   妻のいる岸田と不倫している。

   
そんな中、

  フリーライターだと名乗る安藤千草が過去の誘拐の件を取材させてほしいと近づく。


  実は千草はエンゼルホームで薫と共に育ったのだった


  岸田の子を身ごもってしまった恵理菜は、

    岸田と別れ、一人子供を産む決心をする






妻のいる岸田との関係を清算しようとする








  そんな恵理菜を応援する千草

  二人は取材旅行と称し、

   希和子と薫がたどった4年間の逃亡生活の道をたどってみることとなる…

 そこで明らかになっていく、希和子の薫に対する愛情を確認していく恵理菜

 徐々に変わっていく、おなかの子供への想い…


   複雑に絡みあう過去

     少しづつ、見えなかったものが見え始める


           はたして、そこに恵理菜は何を見出すのか……











徐々に打ち解けていく恵理菜と千草











  サスペンス作品という括りで紹介されていた本作ですが、

  実際は、かなり濃い味の人間ドラマとして描かれていました。

  
  誘拐犯の母親により形成された人格も

    教わった愛情もすべてが本物であり、

   実際の母親に何年もの間違和感をぬぐえず生きていく主人公


  しかし、

  逃亡生活を追いかけるうちに気づく真の愛情が描かれています。


 


  どちらも自分自身であり、

   受け入れる現実である


  実際には、このような境遇の子供は見つけ出すことも難しいでしょうが、

  血のつながりと愛情の天秤


   このテーマって誰でも興味がわくと思いますよ!


   会ってみたいもん!

    もし本当にこんな人いたらさ…


  そんな興味をくすぐるように、
   
  小豆島を背景に見事に撮られていました。


  ここに住んでみたいと思わせるほどに(●´艸`)


  この監督、

   結構はずれないよね。




角田さんの小説はあまり文体がすきではないので、積極的に読むことはないです。


  短編集にたまたま載ってた作品を何本か読んだ程度ですが

  あまり心に残ったものはないです。


   本作も、映像があったので受け入れられたのだと思う。


  これからも、あまり手はださないでしょう。



  150分という長い作品ですが、

    それこそ、あっという間に終わってしまう脚本の妙を感じます。


   現代と過去を行き来しながら進む話は隙もなく、

      かなり引き込まれるでしょう( ̄▽ ̄)ノシ



    希和子役に、

    永作さんが好演!

    エンドクレジットもラストで登場

  その実力は本物となったようです。


    きっと、本年度の賞に絡む作品でしょうね。









育ての母の愛を知り、おなかの赤ん坊への愛を深めていく恵理菜










  長く地中で生活する蝉は

  ようやく地上に出てきても7日で死んでしまう。


  だけどもし、八日目をむかえた蝉がいたら気の毒だ

  だって、

  八日目には周りに仲間が誰もいなくなってしまうから



  でもね

    八日目の蝉は、誰も見れなかった世界を見られるんだよ・・・・