日本植物燃料、BDF原料作物「ヤトロファ」の栽培本格化(2007年2月13日 化工日報)


 日本植物燃料(東京都港区、合田真社長)は半年後をめどに、バイオディーゼル燃料の原料として期待されるヤトロファ(ナンヨウアブラギリ)の栽培を新たに一千ヘクタール規模で開始する。ヤトロファは非食用のため、パーム油のように食用向けと競合せず、将来にわたって安定した供給が可能。同社はインドネシアで一万五千ヘクタールの用地を活用して栽培する権利を獲得している。今後は優良種の開発を加速するとともに、他国を含め適地の検討を進める。栽培面積を広げるうえで株式上場を視野に入れ、商社などの参画にも期待をかける。種子販売をメーンに事業化を図り、二〇一〇年度には売上高二千四百万ドルを達成する計画。
 ヤトロファは成長が速く、容易に定着する多年生植物。干ばつや害虫に強く、年間降水量四百ミリメートル以下でも生き延び、砂漠など痩せた土地にも植樹可能。農薬や肥料の投入量も少なくてすむ。種子から採取できる原料油量は同量パームの三五%程度ながら、大豆と比べると五倍、ナタネでは三倍を搾り取れる。食用油と競合することなく、安価で安定供給可能なのが特徴。日本植物原料では二〇〇五年から、バイオマス燃料の原料として、スリランカ南部の四百ヘクタールの用地で試験栽培を展開している。
 さらにバリ島とティモール島のほぼ中間に位置するインドネシアのスンバ島で、二十万ヘクタール規模のヤトロファ栽培を実施する計画があり、同プロジェクトにはインドネシア企業とマレーシア企業、欧州のスキャンオイルも加わる模様。このうち日本植物燃料は、一万五千ヘクタールを利用できることで合意した。
 一万五千ヘクタール分の栽培コストは三十億円規模とみられる。同社では収量を最大化できる優良種の開発を急ぐとともに、半年後をめどに一次分一千ヘクタールの栽培に乗り出す。スンバ島以外にもインドネシアの他島、ベトナム、フィリピンといった候補地が挙がっており、これらを総合的に評価したうえで適地を選択していく。
 また二次以降の実施については、資金確保のため上場を検討するほか、商社など相乗り企業の参画に期待している。三年後には一ヘクタールから五トン、六年後には同十トンの原料油を確保したい考え。
 同社事業はバイオディーゼル原料の販売、バイオマス燃料の精製技術開発も含むが、今後はヤトロファの燃料化をコアに位置付け、経営資源を重点配分する。売上高は〇八年度百万ドル、〇九年度四百万ドル、一〇年度二千四百万ドルを目指す。