http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20060829/120566/


富士経済は,バイオマス技術と製品の市場について調査し,「2006年版バイオマス利活用市場の全貌と将来予測」にまとめた。バイオマスに関する調査は2年ぶり4回目となる。報告書では,京都議定書が定めた目標達成に向けて, 2012年度のバイオマス利活用市場の規模が,2005年度の3.5倍となる2528億円に急成長するとした。

 バイオマス利活用市場のうち,特にエタノール発酵とバイオ・ディーゼルの二つの分野の成長が期待できるという。2012年度の市場規模を,エタノール発酵が325億円,バイオ・ディーゼルが126億円と予測した。どちらも2005年度は数十億円程度だった。

 エタノール発酵の商業用製造プラントとしては,バイオエタノール・ジャパン・関西が廃木材を原料とするプラントを整備中であり,日揮も米国のベンチャー企業と組んで2009年に米国で廃木材を利用した自動車用バイオ・エタノールの製造・販売に乗り出すとしている。実証段階にある施設は国内に6カ所あり,2007年には新日本製鉄が食品廃棄物からエタノールを製造する実証事業を開始し,2007年度以降には大手商社が参入を予定している。

 現在の国内のバイオ・ディーゼル製造プラントは,廃食油を原料とする小型装置が中心である。原油価格の高騰でバイオ・ディーゼルの競争力が高くなっており,東南アジアに大型プラントを建設してパームヤシからバイオ・ディーゼルを製造し輸入するといった事業への商社などの参入が予想されている。ただし,新たな森林破壊を引き起こすとの指摘もあるという。

 調査期間は2006年5月~7月で,企業や研究機関など約100件に取材した。