アチェ被害状況( 05/01/07 )
以下 山口作成

■2005年1月7日更新

●津波による死者は11万3306人に
社会省が発表した最新の情報では、7日までの時点で、ナングロー・アチェ・ダルサラム州と北スマトラ州における地震と津波による死者は11万3306人に達した。
さらに1万人以上が行方不明、また住居を失ったため54万4927人が避難生活を余儀なくされており、数千人がさまざまな病院で治療を受けているという。 (Kompas, 05/01/07)

●諜報作戦の強化
ムラボーのボランティアから得た情報によると、①援助は軍分区兵士に渡さなくてはならない、②配給の際、国軍は護衛として強制的に同行、警護料を要求する、③援助物資とボランティアはみな、諜報合同部隊(SGI)に立ち寄らなくてはならない。現在、国軍は諜報作戦を強化、子ども人身売買、外国からの援助によるキリスト教化、民族対立などの噂を再生産しようとしており注意が必要である。 (電子メール情報, 05/01/07)

●海外援助の大部分は借款
インドネシア財務省は7日、自然災害対策のための海外援助の約束が10億ルピアに達しているが、その大部分が借款で、残りの一部が贈与であることを明らかにした。しかし、大部分が借款でも、政府はたとえば償還期間20~30年、金利2~4%といったもっとも低利の融資を得る努力をするという。いっぽう、市民専門社会(MPM)は、スリ・ムルヤニ国家開発企画担当国務大臣・国家開発企画庁長官が災害対策のために、アジア開発銀行(ADB)の新規借款の契約に慌てて署名したことについて批判した。というのも、現在、いくつかの債権国は、インドネシアに対する債務繰り延べや帳消しについて、イニシアチブをとろうとしているからである。5日、政府とADBは、アチェと北スマトラの災害のために1億2637万米ドルのインドネシアにおける再計画プロジェクトの覚書(MoU)に調印した。またADBは、借款と贈与からなる1億米ドルの新規援助を約束している。(detikcom, 05/01/07)

●アチェ、非常事態は解除されず
スシロ・バンバン・ユドヨノ大統領は6日、アチェ武装勢力に対し、復興・再建を手伝うよう呼びかけた。しかし、アチェの非常事態の地位は、依然として解除されないという。(TEMPO Interaktif, 05/01/06)

●Kontras(行方不明者と暴力犠牲者のための委員会)報告
ビルンのボランティアによると、受刑者が家族に会いに行くことを求めたが、刑務所職員から許可されず、刑務所に火をつけ、逃げ出した。治安部隊が威嚇発砲後、受刑者に向けて発砲、2人が負傷した(2日)。
5日、北アチェ県スノドンで、インドネシア国軍と自由アチェ運動(GAM)の武力衝突が発生、2人のGAMメンバーが死亡した。武力衝突の前、国軍はトラック・レオに乗り、スノドン地域で作戦をおこなっていた(6日)。(Kontras, 05/01/06)

●国軍、「反独立派」パラノイア
 国軍が今回の災害を、アチェ独立派掃討の機会にするのではないかと懸念されている。
 リャミザード・リャクドゥ陸軍参謀長は1月4日、GAMが東アチェで運搬中の救援物資や医薬品を奇襲、略奪している、救援物資を盗むため難民キャンプに潜入していると非難した。
 しかし、スウェーデンに亡命中のGAM幹部は、GAMが災害後ただちに一時休戦を宣言しており、そのような略奪への関与は一切ないと否定している。 GAM広報官バフティアル・アブドゥラは、政府が救援活動を口実に、GAM掃討を目的とした兵士をより多くアチェに送っている、また、政府の救援人員がアチェで独立派の人びとに暴行を加えるなど攻撃している、と非難した。
 国軍広報官は先週、救援活動と同時に、国軍がこれまでと変わらずGAMへの攻撃も続けると発表している。国軍は、新たに3424人の人員を人道支援のためアチェに配置させた。
<変わらぬ国軍>
 在オーストラリアのアチェ人ヌルディン・アブドゥル・ラフマンは、国軍が一時休戦を尊重していないと批判した。また国軍は、村人が、GAMの拠点がある内陸部の畑に行くことを禁じているという。
<不吉な予感?>
 インドネシア民主青年組織(GMDI)は3日、GAMにこの災害を機に独立運動を止めるよう呼びかけた。彼らは、今回の大災害が、父なる自然がインドネシア共和国からの分離独立をもくろむGAMに送った警告である、と主張している。
<救援のための別組織提案される>
 国会は4日、GAM掃討と救援活動を分離し、救援活動の効率を上げるため、これまでとは別組織で、GAM掃討を目的としない兵士をアチェに送ることを提案した。
この提案対し大統領広報官アンディ・マラランゲンは、アチェはすでに非掃討目的な軍の管理下にある、として鈍い反応しか見せなかった。
 4日、国防省はその予算の2357億8651万4046ルピア(2540万ドル)を災害後 30日間の救援活動の資金として国軍に拠出している。

●自由アチェ運動(GAM)声明
○2004年12月31日
 救援物資の多くは、国軍よってメダンとバンダアチェで止められている。兵士が物資を犠牲者に売りつけている、という情報もある(インスタントラーメン一つ300ルピア)。
 われわれは、救援活動が進むよう、26日以来休戦している。それに乗じて、インドメシア国軍はわれわれを攻撃、さらなる負傷者を出している。
 インドネシア政府のアチェに対するこのような非人道的措置を強く非難する。
<国際社会への要求>
インドネシア政府に対し、
①非人道的対応を改善すること
②アチェを国際社会に開放し、報道や救援スタッフが入ってこられるようにすることを求め国際社会から圧力をかけることを要求する。 マリク・マフムド(アチェ国亡命政権首相)

○2005年1月3日
 アチェの人びとを代表して、アチェ国軍司令官は、救援活動をおこなっているすべての国、政府、NGO、人道支援団体、個人、マスメディア、インドネシア人に感謝する。
 インドネシア政府のアチェ犠牲者への対応はとても悪意に満ちたものである。
・救援物資配給を遅らせているばかげた配給システム(配給はインドネシア国軍からのみというシステム)
・救援を口実とした独立派掃討目的の兵士の動員
・食糧受け取りのための身分証明書携帯義務(不携帯の場合暴力を振るわれることもある)
・海岸沿いの人びとに、海に流されたインドネシア国軍の武器を泳いで取りに行かせる、など
<国際社会、とくに来インドネシア予定のアナン国連事務総長への要求>
 アチェで戦闘中の軍部隊と政治交渉し、一時休戦を約束させ、救援活動に専念できる状態を作ることを強く要求する。    ムザキル・マナフ(GAM司令官)