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『バイオテクノロジー業界活性化Phase2 第12号

バイオ・コンシェルジェのメールマガジン「BCメルマガ」に新しくご登録の
皆様、ご登録ありがとうございます。「BCメルマガ」編集委員の鈴木です。


特集第2弾が公開されました。
http://www.bio-concierge.com/buyers_guide/protein1.php


今回は、タンパク質カテゴリの免疫反応解析に注目しました。
サンドイッチ法、競合法(直接競合ELISA)や直接吸着法(間接競合ELISA)
など免疫反応解析で用いられる実験手法から、プレートリーダー、マイクロ
ビーズアッセイシステムなどの機器などを中心にまとめています。

こうして、ひとつひとつの小カテゴリを見ていくと意外な発見があったりし
ます。


あ、この企業がバイオ分野に参入していたんだ。
受託サービスの幅がどんどん広がっているなぁ。

など、受託サービスで全ての研究内容も出来るような気すらします。

いろいろな分野の受託サービスに着目して、受託サービスに関するコンテン
ツの充実を目指したいと思います。


◆最近のTOPIXからつまみ食い
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「タミフルの化学合成に成功:東大グループ」


インフルエンザの特効薬とされ、新型インフルエンザに対しても効果が期待
されているタミフル(正式名称リン酸オセルタミビル)の化学合成に、東京
大学大学院の柴崎正勝教授らのグループが成功しました。


東京大学大学院薬学系研究科 有機合成化学研究室はこちら
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/~kanai/  


今までタミフルは中華料理の香辛料として使用される「八角」に含まれる、
「シキミ酸」という化学物質から幾度かの化学反応を経て合成されてきまし
たが、農作物である八角は時期や気候変化によって収穫量が変動するので、
安価に供給するのが難しいとされていました。


実際に、海外ではタミフルに八角が使われている事が報道されてから八角の
卸値が高騰したという話しもあります。


今回開発された技術により、世界中で大量備蓄の計画がなされているタミフ
ルの安定的かつ低価格での供給が可能になるかもしれません。一方で、タミ
フルの製造に関わる特許群は開発元のロシュが持っているので、今回の研究
内容の利用には両者間の話し合いが必要ですが、双方にとっても、そして我
々にとっても有益な技術利用の検討がなされることを期待します。


「ドイツで猫が鳥インフルエンザに感染」


ドイツ北部で、鳥インフルエンザに感染し死亡したとされる猫が見つかりま
した。この地域では同じ鳥インフルエンザウイルスに感染したと思われる野
鳥が多数発見されており、今回死亡した猫もこの野鳥から感染したと思われ
ます。


当初WHOでは、これによってヒトへの感染リスクが上昇することはないとして
きましたが、この猫が感染したウイルスが高い病原性を持つH5N1型ウイルス
であることがわかり、一部の専門家らは猫からヒトへの感染も否定できない
としています。


ヒトが使用する分のタミフルも十分に備蓄できていない現状では、猫に対す
る配慮もままならないわけですが、ここにきて明るいニュースがありました。


それが、ここでも紹介したタミフルの化学合成技術の開発です。この技術が
応用されればタミフルの大量生産も可能になるというのです。実際に実用さ
れるまでに現場レベルではいろいろな課題も残っているでしょうが、今回の
ニュースにあるように鳥インフルエンザに関するマーケットはずいぶんと広
いモノになりそうです。


現在、ペットの医療費は国の保険がきかず、高額な治療費が必要ですが、愛
するペット(既に家族と言っても良いでしょう)にかなりのお金をかける方
も増えています。それに伴い、ペット専用のトクホとも呼べる商品も多数販
売されています。


今回の報告された猫への鳥インフルエンザ感染も、ペットに対するインフル
エンザワクチンや治療薬の開発・販売の動きを起こし、そしてタミフルの化
学合成技術の開発がその流れをさらに加速させるものになるのではないでし
ょうか。


◆経済的バイオ関連情報(第8回)
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ようやく梅も咲き、6日には東京で春一番。いよいよ春到来です。今年は特
に寒い冬でしたので、待ちに待った春…と、なれば良いのですが、この時期
になればなったで悩まされるのが花粉症。年々、その症状を持つ人が多くな
ってきているように思います。


そんな花粉症を今回は取り上げてみたいと思うのですが、今年はどうやら昨
年に比べて花粉の量が減少する見込みとのことですが、第一生命経済研究所
の報告によりますと、この花粉の減少が、なんと実質GDPを前年比+2,294億
円押し上げるとのことなのです。


なんでも、花粉症の症状が軽減されることにより、外に出かける人の数が増
え、それが結果的に経済に好影響を及ぼすとのことなのです。


参照:http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et05_285.pdf


感覚的には逆に花粉の飛散量が増加することにより、マスクや薬を中心とし
た花粉症対策グッズの売上が増加し、医薬品の売上が増えることが好影響を
及ぼすことのでは、と思っていましたが、どうやら日本経済全体で見れば逆
なようです。


それでもいくら医薬に関する仕事に携わっているからと言って、花粉が増え
ることによって売上につながるよりも、その症状をなくしたいと思うのは当
然のことですよね。


医薬品メーカーが花粉症の症状がなくなる新薬で日本経済に貢献してくれる
ようになれば、そして将来、花粉と経済が実質的に関係がなくなるくらい、
花粉症がなくなれば嬉しいです。



┏━┓■┏━┓■
┃編┣━┫後┣━┓
┗━┫集┣━┫記┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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花粉症の話題について触れましたが、私は幸いまだ、発症していません。
まわりには花粉症の方が多く、今年はなるんじゃない?といつも脅されてい
ます。


花粉症の軽減により、2,000億超の経済効果が見込まれるとありますが、実際、
治療費と薬代だけで現在、3,000億近くが出費されているらしいのですよね。
さすがに10人に1人以上が発症しているので、規模もでかいです。


マリナーズのイチローも日本にいた頃、花粉が舞う時期はいつも、打撃不振に
なっていた傾向があったらしいですし。

風邪と同様に身近なものとなってしまっていますね。

画期的な対策が早く実現されることを願うばかりです。

                             (鈴木)
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      バイオ・インフォメーション・ニュース編集部

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『バイオテクノロジー業界活性化Phase2 第11号

バイオ・コンシェルジェのメールマガジン「BCメルマガ」に新しくご登録の
皆様、ご登録ありがとうございます。「BCメルマガ」編集委員の鈴木です。


前回のメールマガジンでもご紹介差し上げましたが、
第一弾として、『核酸を発現解析する』というカテゴリにスポットを当て、
『発現解析を発展させる技術』を公開しました。
https://s.blayn.jp/sm3/mng/cc/fw.php?i=bcmailmagazine&c=11&n=26


次回は、タンパク質カテゴリの『免疫反応解析に利用される技術と製品』を
公開いたします。


このカテゴリごとのコンテンツは今後、スピードをあげてどんどん公開して
いきます。


◆最近のTOPIXからつまみ食い
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「高級海水魚の養殖に新技術:岡山理科大専門学校」


岡山理科大学専門学校・アクアリウム学科で、「ほぼ」淡水水槽での高級海
水魚の養殖実験で一定の成果が得られたとの発表がありました。

この技術が応用されると従来の60分の1のコストで高級魚の養殖が可能に
なり、現時点では魚の成育には全く影響はなく、次は食味の確認へ進むとの
ことです。


岡山理科大学専門学校・アクアリウム学科のHPは下記URLから
URL:http://www.risen.ac.jp/animal/aquarium/index.html


研究内容は海水中に含まれる電解質の中で必要最低限のものを加えた「ほぼ」
淡水でマダイの稚魚を飼育し、生体への影響・成長状況を調べたというもの
です。その結果、13日間飼育した稚魚は体重が約64%増加しました。


これは、海水で同期間飼育した場合よりも高い値でした(海水の場合は約45%)。

淡水で海水魚を飼育するという技術自体は、産業技術総合研究所とREO研究所
の共同研究によって既に開発されており(この技術はナノレベルの酸素気泡
を水中に溶解させるもので、主に食品の殺菌法としての用途に使用されてい
る)、愛知県で開催された愛・地球博でも展示されていたのでご存じの方も
多いと思います。


今回研究された方法では特別な装置も必要なく既存の水槽で利用できるのが
メリットになります。とりあえず養殖業へのアプローチがテーマのようです
が、電解質の組成が簡便なものなら観賞用水槽への利用も期待できるのでは
ないでしょうか。


観賞用といえば、この学科では一時のブームで乱獲され数を減らしたカクレ
クマノミの繁殖にも取り組んでおり、実はこの研究もそのときの繁殖条件の
検討過程で生まれたものだそうです。


自然科学関連の研究室はなかなか注目されず、こういった機会にしか紙面に
登場しにくいものですが、どこの研究室でも同様に魅力的な研究が進められ
ていることを再確認させていただきました。


◆経済的バイオ関連情報(第7回)
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前々回で取り上げたライブドア問題ですが、同社が成長するために取った手
法がM&A。いわゆる企業の合併・吸収です。


それとはちょっと意味合いが異なるとは思いますが、バイオ業界を牽引する
製薬企業間においても、ご存知の通り、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併し
アステラス製薬に、三共と第一製薬が合併し第一三共になるなど、M&Aの
動きが活発になってきております。


そんな中、今月9日、朝日新聞が、「アステラス製薬の子会社で一般用医薬
品メーカーのゼファーマを大正製薬が買収する」というニュースが報道され
ました。参照:http://www.asahi.com/health/news/TKY200602080563.html

しかしながら、名前があがったアステラス製薬、大正製薬、両社とも「具体
的なことは何も決定してない。」とのことです。

参照
大正製薬のコメント
URL:http://www.taisho.co.jp/outline/rls/pdf/06_0209-j.pdf
アステラス製薬のコメント
URL:http://www.astellas.com/jp/company/news/2006/pdf/060209.pdf


ひょっとしたら、今回の報道は既成事実として認識している人も多いのでは
ないかと思い、今回の記事にさせていただきました。


こういうニュースが報道された以上、何も決まっていないということも同じ
くらいの規模で報道してもらわないと困りますよね。こういう風にして情報
操作されているのでしょうか?

もちろん「現時点では」何も決まっていないだけなのかもしれませんが。

さて今回はせっかくなので、最近の日本の製薬企業における合併・買収など
も改めて確認したいと思います。


合併(吸収合併も含む)
2001年 1月 日本シェーリング+三井製薬 → (新)日本シェーリング
2005年 4月 山之内製薬 + 藤沢薬品工業 → アステラス製薬
2005年10月 帝国臓器製薬 + グレラン製薬 →あすか製薬
2005年10月 大日本製薬 + 住友製薬 → 大日本住友製薬
2007年 4月(予定) 三共 + 第一製薬 → 第一三共
                   (2005年9月に経営統合済)

1998年  吉富製薬+ミドリ十字 →(新)吉富製薬 →ウェルファイド
1999年10月 三菱化学・医薬事業部門+東京田辺製薬→三菱東京製薬
2001年10月 ウェルファイド+三菱東京製薬 →三菱ウェルファーマ


事業譲渡
2003年 7月 三菱ウェルファーマ・一般医薬品事業を佐藤製薬に譲渡。
     (2004年2月まで順次)
2005年 4月 エスエス製薬・医療用医薬事業を久光製薬に譲渡


業務提携
2002年12月 サントリー・医薬品事業部門と第一製薬に移管すると共に両社
が資本提携→ 第一サントリーファーマ
            (現、第一アスビオファーマ)
2005年 7月 ロート製薬 + 森下仁丹
           → 共同販売会社メディケアシステムズを設立


子会社化
2000年 1月 エスエス製薬が日本ベーリンガーンゲルハイムの子会社に。
2001年12月 中外製薬がロシュの子会社に。
      (同時に中外製薬と日本ロシュが合併。)
2003年 1月 万有製薬がメルクの100%子会社に。


計画取り止め
2001年 9月 大正製薬 + 田辺製薬 → 経営統合取り止め
2003年 1月 帝人・医薬医療事業グループ + 杏林製薬 → 事業統合取り止め


以上、一部ではありますが、ご紹介させていただきました。


国内での争い、また世界の製薬企業を相手にした戦いのために、各製薬企業
がそれぞれの得意分野に選択と集中をする、あるいは足りない部分を補って
いくと思われますので、今後もこのような流れは続くのではないでしょうか?

そのことにより、どのような影響があるのか?注意して見ていかなければと
思います。


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┃編┣━┫後┣━┓
┗━┫集┣━┫記┣━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
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前回、インフルエンザに罹った際に人によって体温が38℃でも動ける人と、
動けないのは遺伝子の違いか、はたまた生活環境の違いか?
といったことを書かせていただきましたが、


以下のようなご意見がありました。

仮にこの形質が1遺伝子に固定されているなら、両親や他の兄弟にも
現れると思うのですが、そういう症例も顕著には見られてないみたいです。


熱が出るメカニズムは体内の防衛システムの働きによるものですが、
免疫はご存じの通り遺伝的多様性があります。ウイルスに対する応答、
体内ヒスタミンに対する応答については、遺伝子と相関がありそうです。

この遺伝子(群)の追求についてですが、多分マイクロアレイかQTL解析で
もしないと無理でしょう。


しかし、アレイで扱うにはインラタクトする遺伝子数が多すぎてメチャメチ
ャになり、QTL解析はヒトの場合人為的に大量のF2(子供のことです)を作
れないので非常に非現実的ですね。


平熱については、最近の子供は平熱が低いという調査結果もあります。
これには子供の時の環境要因によるものだという説があります。

(人工的に温度コントロールされた環境に慣れきってしまい、自分で温度
コントロールすることが出来なくなっているらしい。)


熱の上がり方は先天的に遺伝的に決定されており、平熱については後天性
の可能性がある。個人的な意見ですが、こういう考え方もできるのでは?

というものです。

ありがたいご意見です。勉強になりますね。
                             (鈴木)
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発行・編集 バイオ・コンシェルジェ株式会社
      バイオ・インフォメーション・ニュース編集部

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