怠け者が多い組織が衰退するのは、社会でも人体でも同じ?異物を攻撃しないT細胞が発見される | バイオ・コンシェルジェ Weblog

怠け者が多い組織が衰退するのは、社会でも人体でも同じ?異物を攻撃しないT細胞が発見される


「怠け者が多い組織が衰退するのは、社会でも人体でも同じ?
                          異物を攻撃しないT細胞が発見される」

免疫機能の司令塔となるT細胞の内、外敵への攻撃という任務を全うしないものが
存在することを、京都大学大学院医学研究科の湊長博教授らの研究チームが
発見しました。

このT細胞は加齢によって数が増えることから、免疫機能の老化の一因となって
いる可能性が示唆されます。
本研究成果は米科学アカデミー紀要(PNAS)で8日発表されます。

京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学講座の紹介はこちら
http://www.med.kyoto-u.ac.jp/J/grad_school/introduction/1205/

人体において最近やウイルス・ガン細胞などの「異物」に対処する免疫を司る
細胞の内、T細胞は直接異物を攻撃するものや、各種抗体の産生を促すもの
もあります。

T細胞が分泌する物質で重要なものに、細胞の炎症を司るサイトカインがあります。
細胞の炎症というと、ネガティブなイメージを持たれるかも知れませんが、適切な
炎症反応は疾病の進行を遅らせ、更なる免疫反応の強化を促すものとして必要
不可欠なものです。

今回マウスにおいて発見された「働かない」T細胞は、正常なT細胞には存在しない
膜タンパク質が発現しており、このタンパク質を持つ細胞は異物が存在する状態下
で必要な生理活性物質を産生しませんでした。

さらに、この異常なT細胞は本来の仕事を全うしないだけではなく、不必要な時期に
サイトカインを分泌することで余計な炎症を引き起こし、また、あろう事かガン細胞
の増殖を促進するような物質も分泌することがわかりました。

なぜ、このような異常なT細胞が発生するか、詳しいことは解明されていませんが、
体内における異常なT細胞の割合は加齢とともに増加することが確認されています。

予想としては、正常なT細胞を選別・育成する器官である胸腺の老化も、年齢ととも
に急速に進むことから、おそらく胸腺の機能低下による異常T細胞の排除が行われ
なくなったからだと推測されます。

胸腺の老化を防ぐことが出来れば、今回の異常T細胞の問題や、免疫能力の
低下を抑えられるかもしれませんが、残念ながらその足がかりはまだ見つかって
いません。

今のところ、この異常T細胞の膜タンパクの発現の仕組みを解明するほうが早い
かもしれません。

適切なチェック機関や教育機関がないと、決められた仕事をしないどころか、
むしろマイナスの影響を与えかねないところは、サイズの違いこそあれ人間社会
にも当てはまるのは何とも不思議なものです。

これも人間も細胞からなる生物だから・・・・というわけではないですよね(苦笑)。
もしれません。

■製品掲載
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・マイクロダイヤフラムポンプ
 http://www.bio-concierge.com/detail.php?id=7466
・マイクロダイヤフラムポンプ制御装置
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・ダイヤフラムバルブ
 http://www.bio-concierge.com/list.php?id=900
・サニタリーホース
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上記、製品掲載に伴い、
カテゴリに『プラント・設備』を増設しました。
 http://www.bio-concierge.com/category13.php

・アノテーション用ソフトウェア
 http://www.bio-concierge.com/detail.php?id=7485

■研究室紹介
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研究室名: 慶應義塾大学先端生命科学研究所
ホームページ: http://www.iab.keio.ac.jp

慶應大学鶴岡タウンキャンパス(山形県鶴岡市)に設置された本格的なバイオの
研究所です。

当研究所では、最先端のバイオテクノロジー(メタボローム、プロテオーム、
メタゲノム、ゲノム工学)を駆使して生体や微生物の細胞活動を網羅的に
計測・分析し、コンピュータで解析・シミュレーションして医療やバイオ燃料、
食品発酵などの分野に応用しています。

本研究所はこのように「統合システムバイオロジー」という新しい生命科学の
パイオニアとして、世界中から注目されています。

キーワード:システム生物学、バイオインフォマティクス、ゲノム、プロテオーム
        メタボローム、合成生物学

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民主党が政権をとったことにより、補正予算が凍結となりました。
バイオ業界でも様々な影響があるのではないでしょうか?

あるメーカーさんによると、それでも少しでも進んでしまっている案件は素早く
ごり押しでなんとか入れ込んでしまっているようですが、対応が遅くなると、
予算確保ができないなんてこともあるようです。

必要な予算はなるべく確保して研究に拍車をかけていただきたいところです。
                             (鈴木)
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発行・編集 バイオ・コンシェルジェ株式会社
      バイオ・インフォメーション・ニュース編集部

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