『バイオテクノロジー業界活性化Phase1 第3号 | バイオ・コンシェルジェ Weblog

『バイオテクノロジー業界活性化Phase1 第3号

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皆様、ご登録ありがとうございます。「BCメルマガ」編集委員の鈴木です。


今回は、バイオ・コンシェルジェについてのご説明はお休みして、生化学会
についてお話したいと思います。

全体像を捕らえるというのはなかなか難しいものですが、学会自体の傾向と
機器展示の傾向について書かせていただきます。


◆生化学会の近年の傾向
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今年の生化学会は神戸の国際会議場・国際展示場にて、10月19日~22日の4日
間で行われました。


午前中のセッションではモーニングレクチャーとマスターズレクチャー、シ
ンポジウム、ミニシンポジウム、ワークショップが開催されました。モーニ
ングレクチャー、マスターズレクチャーともに、非常にわかりやすいながら
も専門的な内容でした。


その後のシンポジウム、ミニシンポジウム、ワークショップでは、各分野に
分かれての発表となり、私もいろいろな分野を見て回ろうとしたのですが分
野数が多く、また会場が広いせいか全ては回りきれなかったのが非常に悔や
まれます。


それでも私が参加したどの分野ともほぼ満席状態で、質問も多数
出ており活発な議論がなされているのには、この生化学という分野全体が活
気づいていることの証拠だと思います。


その中で私が特に注目したのはシャペロンと糖脂質の分野でした。シャペロ
ンはタンパク質の高次構造形成に重要な働きをしていることは皆さんご存じ
だと思いますが、アミロイドβの変性にも関与していることは本大会でも多数
報告されており、極めて臨床分野での応用が期待される研究対象だと思いま
す。


今でも新規タンパク質を抽出することは1つの研究として成立しますが、今
後さらに発展する構造・機能生物学こそ本来の生命現象を理解するための重
要なアプローチであり、そのためのシャペロン研究は重要な研究であるのは
間違いないでしょう。


糖脂質もまた細胞膜シグナル伝達に代表される重要な生命現象に関与してい
ることは本大会でも多くの研究者が発表していることで、この分野は核酸-
タンパクと続く次の分野という人も多いと思いますし、私もそう思います。
ただ、全体を通してみるとまだ黎明期というのがふさわしい状態で、便利な
研究ツール(試薬や機器)の開発が急がれるところです。


DNA合成とまではいわずとも、無細胞タンパク質合成系のような複合糖鎖合成
系が応用されれば、爆発的な発展を遂げるのではないか、と今後の進展に期
待しています。


午前中の発表に参加しての総括ですが、これは全ての講演に共通して演題数
が多いので仕方がないことなのですが、全体的に1議題あたりの発表時間が
短いのがとても残念な気がしました。続きはポスターで、と言う所でしょう
か。


また、各企業が開催しているランチョンセミナーにも多くの参加者が詰めか
け、一部のセミナーでは満席になる所もあったようです。セミナーに参加し
て思ったのですが、最近はあまり製品の説明がメインの発表はありません
ね。やはり研究者に疎まれ、イメージダウンに繋がるからだとは思うのです
が、科学発表としては良い傾向だと思います。


さて、午後からのポスター発表では、午前中にワークショップで発表された
内容を含む2000を超えるエントリーがあり、ポスター発表規模としては日本
でも有数だということがよく分かります。


そのなかでも具体的な研究室名は言えませんが、「ゼオライトを用いたタン
パク質のリフォールディング法」のポスターには多くの研究者が集まってい
ましたね。単純な無機化合物を用いて研究できるのは、反応系の制御という
見地からは非常に優れた実験系だと思いました。


また、核酸の分野ではメジャーなデータベースに関しても数組の研究グルー
プがポスター発表されていましたが、こちらはまだこれからという感じでし
た。とはいってもこの分野は様々な実験データが得られてからの話なので仕
方がないですが。


最後に近年の生化学会の傾向ですが、これはシンポジウムやポスター発表で
も顕著ですが、以前にも増してどんどん有機・分析化学(生化学)の分野と細
胞生物学(分子細胞生物学)の境界がなくなってきたような気がします。元々
両方とも生命現象を探求することを目的とした研究分野ですから、当たり前
といえばそのままですけど。


元々自然科学とくに生物学は博物学・分類学から始まり、多様性を追求する
ことで発展してきましたが、その分野の発展とともに知識集合が起こりつつ
あるノではないでしょうか。生物学もやがて理論物理学がそうであるように
生命共通の事象を集めた統一論理が形成されてゆくのではないかと思いま
す。
                              

◆機器・試薬展示の傾向
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今までは興味のあるブースだけに立ち寄っていましたが、今回は、なるべく
全ブースを見て回るようにしましたので全体像がほんのり見えました。

今年の生化学会は本当に機器の展示が少なく、試薬・消耗品・受託サービス
がかなりの割合を占めていたようです。


180社ぐらいの展示会社に対して約30社が出版関係。残りの150社のなか、機
器メインのブースが30社くらいでしょうか。受託サービスを提供している会
社が50%を占めていました。


機器の展示が減少しているのは最近の傾向ではありますが、受託サービスに
かなりシフトしているのは驚きです。受託サービスの需要が増大しているの
か、はたまた受託サービスの告知として展示会が適しているのか。


難しいところではありますが、予算の関係で機器を保有し、自研究室でデー
タを取っていくという研究方法よりもアウトソーシングできる部分はアウト
ソーシングを徹底的に利用することによって、時間的コスト、人件費という
ものを自研究室でしかできない(もしくはデータを外部に出したくない)研
究に注力しているという見方ができると思います。


受託サービスのメリットとしてトータル的なサポートが受けれたり、自分の
研究室で行うよりも研究者による差が出にくいというところもあるのかもし
れません。


バイオ・コンシェルジェの受託サービスも徐々に情報が増えつつあります。
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バイオ・コンシェルジェでは、研究者の方々からのご意見をどんどん取り入
れていきます。


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┃編┣━┫後┣━┓
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さて、張り切って生化学会のことについて記事を書いていたのはいいです
が、重大な過ちをしていることに気付きませんでした。


それは。。。カレンダーマジック。
ほとんど言い訳に過ぎませんが、私の利用しているカレンダーは次の月にな
ると、1日から始まるんです。当たり前ですが、月曜日の欄に10月31日と書い
てないんですよね。それで、1日を月曜日、2日を火曜日として数えてまし
た。そのため、メールマガジンの発行が遅れるはめに。。。


こんなミスは私だけでしょうか?皆さんも気をつけましょう。
                               (鈴木)
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発行・編集 バイオ・コンシェルジェ株式会社
      バイオ・インフォメーション・ニュース編集部

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