連日のように、クマの出没がニュースとなる。わが里の近くにも目撃情報がちらほら流れたこともあった。それ以上に、シカやイノシシの食害は10年前からひどくなり、畑の防獣柵の設置が当たり前の風景となってしまった。こうした現象を引き起こした原因について、マスメディアは真摯にその原因の解明と対策を怠ってきたように思う。
端的に言えば、その原因は戦後の林業政策の失敗にある。要するに、経済成長が国と国民を豊かにするという幻想だ。言い換えれば、自然態だった森を「市場」にしてしまい、競争原理にさらしてしまったことにある。だから、奥山にもスギやヒノキを植林を奨励し、儲かる林業にと里山を「補助金漬け」にしまったことでもある。
しかし、今となってはかつての山の賑わいはなくなり、山を持っていても生活できないほどになっていったし、人工林の荒廃は生物多様性を失い、貴重な動物や植物を駆逐し、山里の文化も消滅させ、自然災害の原因にさえなってしまった。
さらに、奥山の開発、つまりメガソーラーや大規模風力発電は本来の森の多様性をさらに破壊していくなかで、クマやシカの居場所がなくなってしまったというのが真相の基本なのではないだろうか。つまり、人間の便利さの追求の結果ではないかと。
そんなことをかねがね考えていた時、知り合いの茶業家の女性がそれを敢然と立ち上がった。しかも「熊森協会の静岡支部長」を引き受けたというではないか。自然保護団体の「熊森協会」の活動はクマの出没でときどきテレビでちょこっと放映されるときもあったが、マスコミらしくじつに部分的だった。
その茶業家の女性は、まるでミヒャエル・エンデの不朽の児童文学の『モモ』のような、本質を逃さない目を持った真っすぐな生き方をした女性だ。しかし、彼女が背負った課題はあまりに大きく深い。どうしても孤立してしまいがちな立場を避けることはできない。それを支えるものは力強い子どもたちと打たれ強い夫がいるのが救いのような気がする。
オイラも「熊森協会」の応援会員になることをはじめ、自分なりにできる応援のあり方を考えているところだ。

