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オーダー・メイド

中古楽器店にはよくオーダー・メイドの楽器が並んている。しかもその多くは使い込まれたものではなく傷など殆どない新品同様の美品である。これはオーダーが如何に難しいかということを表している。ルックスだけのオーダーなら弾いていて飽きることもあるだろう、だがしかしオーソドックスなスタイルであっても細部にこだわりを持ってオーダーしたことが伺える楽器が多いのはどうしたことか。
私のところにも先日、工房にオーダーしていたネックが出来上がって来た。工房に赴いて選んだ柾目のハード・メイプルに、30数年もののローズウッドを指板として使い、細かい寸法も指定して文句のない仕上がりとなった。

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オーダーするなら楽器一本丸ごとしてしまえばよいのだが割高になっても今回はネックだけ設える事に意味があった。オーダーしたネックを別途用意したボディに組み込むことでメーカーのカラーを薄める事、また今後ボディ材を交換することでネックが楽器の音に占める割合や影響をコントロール出来るだろうという実験的な狙いである。予防線を張ったわけではないがフェンダー・スタイルの構造を選ぶことでパーツ交換や調整によって、ある程度であるが誤差を修正することが出来る。
ということでこのネックを今回は秘蔵のワンピース・ローズウッド(これもかなり怪しいのだが)製ジャズベース・シェイプのボディに合わせてみた。ピックアップは今のところVIllexを載せているが今後は未定。ブリッジも同様で現在はGOTOH203だが、早晩KTSかADVANSに取って替わることになるだろう。
はっきり言って現段階でも音はよい。アルダーやアッシュでは出ない張りと膨らみの両立した低域、重心は低いがぼやけることはなく、アンサンブルの中でも存在感を放ちそうだ。冷静に他の(同じような構造の)楽器と比べてみても音のアタック、サスティン、クリアネス、全てに優れている。だが先程も書いたようにまだ完成ではない。ヴィンテージ・フェンダーやハイエンド楽器にあるようなサムシングが欠けている。それも含めこれから理想に向けて少しずつ追い込んでゆくつもりである。それは試行錯誤の連続となるだろう。完成品としての楽器をオーダーしたらこういうわけには行かない。楽器の音は複合的な要素の上に成り立つものであるから素材を指定しただけでは理想に音になる筈もない。オーダー経験者が1本では済まず2本、3本とオーダーを続けることが多いのはこういった理由に由る。
斯様にオーダーというものは難しい。自分の目指す音がルックスも含め細部に至るまで明確に見えていないと望み通りのものはできない。またそのヴィジョンを的確にビルダーに伝える術もないと実現は難しい。その辺の詰めの甘さが後々中古楽器店に流さざるを得ない原因を作っているのだと思う。
まあ中古市場の活況はこういった楽器に支えられている事も確かなのだが。

ライヴを終えて

COMBAT-LIVE2007終了。
迷いに迷ったサブのベースは結局Jiraudの5弦を持参した。メーカーを揃えるという狙いではないのだが結果として意味のあるチョイスとなった。違うデザインの楽器ながら共通したメーカーの個性というものはあるもので、レベルも含め音の粒が揃った。これは不思議なことだが最終的にエフェクター(プリアンプ等)では追い込めない「何か」があるのである。
越谷EASY GOINGSは小振りながら雰囲気のあるハコで、照明、PAとも手際の良い女性スタッフに助けられ楽しいイベントとなったが、私はエアコンと紫煙にやられ、見事に風邪を引いてしまい、その後3日間寝込む羽目になった。
しかしヒロプロジェクトはここでもやはり特異な存在であった。終了後いろいろな人たちから声を掛けられたのだが、現在のところ次回ライヴは未定である。

復活

TRIODEは来月、半年ぶりに活動再開の予定である。というのもHOTコロッケで久しぶりにやろうと言う話がまとまったのである。また店側から別の企画ライヴへのお誘いもあり、また定期的に活動できそうな雰囲気である。
とはいえそれまでに何かを準備するというようなバンドではない。勿論リハも打ち合わせもない。ただ予定があるという事だけが3人の中で決まっていればよく、その時出たものを形にすれば済むだけの事。ただ今回は久しぶりなのとその間の各メンバーの活動状況から、溜まっているものがかなり噴出するのではないかと思っている。過去にない濃密な演奏になるかも知れない。野放しになるのだけは避けなければと思う。
まずは11月18日瑞江・HOTコロッケにて。

楽器選び

相性の話と重なる部分でもあるが、ライヴで使える楽器を選ぶ苦労というものも存在する。
先日のライヴではALEMBICを使う予定だったのだが、メインに使うJiraudとの音量差が余りにも大きく、結局Schecter製のジャズ・ベース・レプリカを持参した。とはいってもボディ材とネック材が共にウォルナット、指板はかろうじてローズ材だが、ピックアップがモンスター・トーン、と形は似ているものの全くジャズベの音は出ない楽器なのだが。

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今回の音量差問題、エフェクターと一緒にミキサー等を持ち込めば済む話なのだがセッティングはシンプルにしたくもあり楽器を替えてしまえという事になった。今回ラウンド弦とフラット弦の使い分けもありその辺は神経質にならざるを得ない。

ライヴを終えて

10月28日、瑞江のライヴ・レストラン「HOTコロッケ」に於いてヒロプロジェクトの公開最終リハと言う名のライヴが終了。新旧のバンド仲間が集まり楽しい一夜となった。

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やはりリハスタとは違いライヴ空間が生み出す緊張感は大きく演奏を揺り動かす。それがよい方に作用すればリハを越える結果が得られ、その波に乗れなければ納得のいかない演奏に終止する事になる。電気楽器は空間(演奏場所)の違いから来る聴感上の差異が大きく、リハスタで完璧に設定した筈のプログラムが役に立たなくなる事は多々ある。今回はそこまで至らなかったものの、ギター音とシンセ音のバランスを完璧に取ることがかなりの難問である事を再認識した。
さてこのユニット、残るライヴは11月3日・越谷「EASY GOINGS」。この日はギター・キッズの集まるライヴ・イベントなので、かなりの盛り上がりが期待できそうである。