PCMレコーダーの話 | B I N 's B A R

PCMレコーダーの話

長年常用していたレコーダーSANYO ICR-PS1000Mが昇天してしまったので、久しぶりに量販店など回りながらいろいろ調べている中、Olympusから新型のレコーダーLS-P2をお借りできることになり、この2週間ほど現場で試している。Olympusといえば、その昔パールコーダーには大変お世話になった。特にL400はかなり長い間私の7つ道具の一つであった。
音楽用録音機に関しては、その後DAT、MD、NTと渡り歩くことになるのだが、私にとって携帯録音機の原点はといえばSONY プレスマン、そしてパールコーダーなのだ。

ハイレゾブームの影響か、ICレコーダー、PCMレコーダーにも最近はちらほらと内蔵充電池型が現れてきた。だがしかし乾電池駆動できることの利点を忘れてはいけない。フィールドレコーディングの現場において、入れ替えの利かない充電池はやはり不安である。SANYO ICR-PS1000Mは単三乾電池1本で驚異的な駆動時間を誇っていた。4、5日の旅であれば全く電池切れの心配なく記録できるという安心感は大きかった。
このLS-P2も単四乾電池ながら、かなり長い録音時間を実現している。そういえば同社のLS-10もかなりの長時間駆動機だったのだが、本体重量がかなりあり、常用には至らなかった。

バンドリハーサルの録音に使ってみた。

ls-p2

収音位置と演奏位置が離れていることの多いレコーダーに、リモコンの有無は大きい。しかもLS-P2はBT接続が可能なので、演奏中にチューナーやストップウォッチとして手元に置いてあるスマホがそのままリモコンになる。使う前はふうん、そんなものかと思っていたがこれが思いの外便利である。
既に愛用しているZOOM H6はバンド録音には頼もしい味方だが、この点だけが惜しい。ワイヤードなのだ。ただ三脚を使うためにアダプターが必要なのは如何なものか。まあ三脚側にアダプターをつけっぱなしにしておけば別段気になるものではないが。

さて音質である。マイクの特性なのか中域が薄い感じがあるがまあ及第点。3マイクにすれば中抜け間も軽減され、密度も上がるがSONY PCM-D100のような濃密な音ではない。とはいえPCに取り込み編集・加工してしまうことを考えれば問題というほどではない。
ドラムセットを含むロックバンド編成の音圧にも問題なくレベル調整が行えるのはもちろん、パルシヴな音の民族楽器の録音にも対応する。

もうひとつ試験的に持ち歩いているSONY PCM-M10は、録音品質こそD1、D100には遠く及ばぬものの携行品としてのデザインは秀逸であり、再生音質が優れていることからDAP代わりに持ち歩いていたTASCAM DR-2dに置き換わってしまった。LS-P2がその役を担えるかどうかというと、これが悪くない。このサイズこの軽さでこの再生品質はICR-PS1000Mのそれを大きく上回る。PCM-M10と違い胸ポケットに無理なく入るサイズでというのも大きい。ボイスレコーダーの系統上にあるPCMレコーダーは、デンスケの系統にあるものと違い「胸ポケットに入る」というのが一つの基準になっていると思う。
よく考えられたボタン配置は使いやすく、本体サイズを考えても小さすぎるということはない。BT接続でヘッドフォンやスピーカーのワイヤレス化も可能、しかも乾電池駆動。ハイレゾブームの陰でこういうマルチツールを愛用するというのもまた楽しみの一つである。