今回、2年半ぶりに見た「終電車の死美人」
前回鑑賞したときは、評価は最悪だった。
今回、3度目の鑑賞では、「退屈」「つまらない」というようなことはなく(途中で眠くなったが)
当時の街並みや文化、そして、出演者の顔ぶれを見ながら後に「警視庁物語」や「特捜隊」にレギュラーとして出演するメンバー(出演者の大半がそうなのだが)
この「終電車の死美人」と「警視庁物語」で描かれる刑事たちの違い(振る舞いや言動など)
純粋に作品を楽しむというよりは、そういう違いを比較しながら見ていた。
ただ、個人的には、ロケーションも多く、犯人に至るまでの過程を丹念に描くドキュメンタリータッチの「警視庁物語」のほうが断然おもしろいな、というのが率直な感想。
やはり、脚本を担当した「長谷川公之」の脚本は秀逸。

捜査一課長を演じる「宇佐美諄」
個人的には、「片岡千恵蔵」の代表作「多羅尾伴内シリーズ」で演じた「大沢警部」役や「少年探偵団」シリーズで演じた「博士」役が印象に残っている。

三井主任を演じる「山形勲」
個人的には、「東映時代劇の悪役」のイメージが強いが作品によってはコミカルな演技を見せることも。
「警視庁物語」シリーズ第2作「魔の最終列車」(1956)では犯人役で出演

捜査一係長を演じる「松本克平」
「警視庁物語」シリーズでは「捜査一課長」を好演。

左)久保田刑事を演じる「佐原広二」
「警視庁物語」にはシリーズ第7作「七人の追跡者」(1958)から、シリーズ第17作「12人の刑事」(1961)まで長きにわたり「高津刑事」役を好演。
「特別機動捜査隊」(1961年~1977)には第1話から20話まで出演。

右)長谷川刑事を演じる「堀雄二」
「警視庁物語」では、シリーズ全24作品に出演。
長田部長刑事役を好演。

赤木刑事を演じる「伊藤久哉」
「警視庁物語」シリーズ第1作「逃亡五分前」(1956)では犯人役を演じていた。
「伊藤久哉」の作品は、「終電車の死美人」「警視庁物語・逃亡五分前」そして「プレイガール」の3本しか見ていない。
「プレイガール」にゲスト出演した頃は、この作品から18年が経過しているので2枚目ぶりは失われていた。
役どころとしては、「夫婦仲は、とうに破綻しているが地位、名声、財産、美貌を兼ね備えた資産家の妻と別れられず、愛人を囲っている」
という体たらくな中年の夫を演じていた。
この「終電車の死美人」で演じた「知的な雰囲気」とは、ガラッと印象が変わっていた。
そして、この時代の俳優は、演技の幅が広いんだなぁ、とつくづく思った。

渡辺刑事を演じる「菅沼正」
「警視庁物語」にも数本出演していますが、やはり「特別機動捜査隊」(特捜隊)で演じた「南川部長刑事」の印象が強いかな。
(「中山昭二」演じる藤島班)

甲田刑事を演じる「花澤徳衛」
やはり「警視庁物語」で演じた「林刑事」のイメージが強い。

左)犯人役を演じる「南原伸二」
右)「南原伸二」の妻を演じる「星美智子」
「南原伸二」は、「警視庁物語」シリーズ1作「逃亡五分前」(1956)からシリーズ第4作「白昼魔」(1957)まで「宮川刑事」役を好演。
「終電車の死美人」のラストで犯人役の「南原伸二」が「伊藤久哉」に追跡される場面を見ていたら、「逃亡五分前」のラストを思い出した。
あの作品では、「南原伸二」が犯人役の「伊藤久哉」を追い詰めるのだから。

右)星美智子
東映の時代劇女優のイメージが強いが現代劇にも多数出演。
印象に残っている作品は、「大川橋蔵」の「若様侍シリーズ」で「橋蔵」の相手役を務めていたことと、「片岡千恵蔵」の多羅尾伴内シリーズで殺される役を演じていた(確か江原真二郎の姉役だったと記憶する)
「星美智子」も「警視庁物語・逃亡五分前」に「伊藤久哉」「南原伸二」「堀雄二」「花澤徳衛」と共に出演。

悪役で登場「東野英次郎」
「警視庁物語」にはシリーズ第6作「夜の野獣」(1957)
シリーズ第10作「108号車」(1959)
シリーズ第13作「血液型の秘密」(1960)
3作品に出演。

南川直さんも出演してました。
「警視庁物語」にも数本出演していますが、やはり「特別機動捜査隊」で演じた「橘部長刑事」が代表作になるでしょうか。

その他にも「警視庁物語」の常連「石島房太郎」「滝謙太郎」「片山滉」「大東良」「杉義一」「関山耕司」そしてワンシーンのみの出演だったが「山本麟一」の姿も(アップではなかったのが残念)
「山本麟一」は「警視庁物語」では「金子刑事」役でおなじみ。
そしてもうひとり、「特別機動捜査隊」では「荒牧刑事」こと、通称「牧さん」を演じた「岩上瑛」も端役で出演。
こうして見ると、この「終電車の死美人」に出演した俳優は、「警視庁物語」「特別機動捜査隊」と縁が深いことがわかる。