真意は?
平山戦力外騒動 会長発言の真意
ヘラクレスのスミット会長は、8月31日こう語った。
「誰にでもチャンスはある。相太はやる気を見せて、成長しないといけない」
平山相太が今直面している問題がここだ。
8月28日、平山はリザーブリーグでビレムII戦を戦った。前半、平山はパスが届かなくなると、ボールを受ける前の動き出しのプレーを止めてしまった。同じようなことは練習試合でもあった。後半は徹底した平山への放り込みシステムで、平山にプレー機会を増やし、そのため平山もプレーへの意欲を増していったが、テクニカルスタッフの評価は低かった。スミット会長も平山のサッカーへの取り組みの甘さを感じ、今回の騒ぎとなった。
まだ開幕直後。時間はあるようでなく、単なる調整試合ではすまなかった。昨季13位と健闘したヘラクレスは、今季さらに苦戦すると思われている。シーズン前の予想は「18位エクセルシオール、17位ヘラクレス」でいわば“鉄板”である。だからこそチームは開幕にピッタリ照準を合わせ、トゥエンテ、フェイエノールトと格上相手に1勝1分けだ。そんな中、平山はトゥエンテ戦で先発し、攻守にやる気は見せたが空回り。トップフォームからは程遠く、フェイエノールト戦では出場機会がなかった。それだけにリザーブリーグ戦では、平山のプレー、さらにやる気が問われていた。
すでに欧州内での移籍期間は過ぎ、Jリーグ以外新しいクラブを見つけるのは難しい。そうなるとヘラクレスへ残ることになるかもしれない。その場合、「相太は1軍でやれることを見せないといけない。レーケルス、ヘッヒャーも(ベンチ入りできず)スタンドから試合を見ている。(彼らに限らず)ほかの選手にとっても同じこと」とスミット会長は言った。ここも大きな示唆を含んでいる。
レーケルスはDFとして、ヘッヒャーはユーティリティープレーヤーとして、昨季のヘラクレスの躍進に貢献した選手だ。しかも昨季のヘラクレスは、7人書き込めるリザーブ選手が4人しかいないときもあるほど選手層が薄く、この2人がベンチに入れないことはけがや出場停止処分以外考えられなかった。しかし今季は選手層が膨らみ、レーケルスとヘッヒャーはともにフェイエノールト戦のベンチから外れてしまった。この2人は平山同様、リザーブリーグで戦った。決して出来が良かったわけではないが、「俺は1軍の選手。2軍の選手の手本となるよう頑張った」(レーケルス)という姿勢だけは見せ、不満は胸にしまった。
よく「外国は結果主義なんでしょう?」と聞かれるが、オランダに住んでいると、サッカーに限らず周囲はその過程もよく見ていることを感じる。昨シーズンの平山は後半戦ガス切れで失速し、終盤戦では満足なパフォーマンスを見せることができなかったが、それでもルーキーイヤー、異国での頑張りは認められていた。だが今季は準備期間からコンディションが悪く、平山も相当ハッパを掛けられていた。しかし、コンディションはいいときもあったが不安定で、一定のレベルを維持できなかった。
「相太に限らず、どんな選手だって契約書に書かれた金額を相手が払ってくれればチームを出て行っていいんですよ。私は選手を止めることはできない。Jリーグのクラブから連絡が来るかもしれないし」と一般論を交え、無難な答えを出そうとするスミット会長。だからこそ怖い。お互いの関係が良ければ(以下筆者の創作だが)「今シーズン終了後、いいクラブからオファーが来るだろうから、ともかく今季はチームのためにも頑張ってほしいね。それがヘラクレスにとっても、相太にとっても幸せなことになる」というような話が出てきて普通だろう。
こうして平山は、30日からチームの全体練習を外れ、負傷者とともに別メニューをこなしている。ヘラクレスのサポーターサイトをのぞくと、日本の騒ぎが伝わってきて動揺もみせるものの、「うわさに踊らされてはいけない。相太はけがなんだ」という声がある。開幕戦の出来が悪く、ファンからの批判も挙がった平山だが、まだサポーターから愛されている。
今季の平山の話題で何度も「あの試合は良かった」と聞くのは、FCポルトとの練習試合、後半から出てきて奮闘した試合だ。騒ぎの翌日である31日、現場に行ってもやはりFCポルト戦を振り返る人がいた。コンディション不良で、実力を発揮し切れなくても、平山は思い出したようにすごいシュートやすごいプレーをしたりする。練習でも試合でもPKは自分の狙ったとおり確実に決める。それだけに、「なんで相太はほかの試合でも自分の力を発揮しようとしないんだ。残念」と嘆くのを聞いた。
平山と言えば、高校時代からメディアにつけられたニックネームが“怪物くん”。僕もこの表現はADO相手の伝説のデビュー戦(途中出場で2ゴール。しかも同点、逆転ゴール)では使ったが、「これは人間に向かって失礼だなあ」と思って、“怪物くん”は禁じ手にしていた。しかし調子が悪くとも、突然見せるスケールの大きなプレーは「やはり平山は怪物くんだ」と、テクニカルスタッフから評価の低いリザーブリーグ戦でも感じていた。
ヘラクレスというチームは真面目なベテラン(昨季のホーフマ、ヌルメラ、今季もプレイするピーケンハーゲン、マース、タンゲ)が売りのチーム。試合、練習でハードワークする彼らは、スタンドで見ていても「すごいなあ」と思う。平山にとってヘラクレスはいい環境であったと思うし、移籍市場も欧州では閉じられているだけに、何とかチームと落とし所を見つけてほしいというのが願いである。
しかし、どんな職場も人間関係で、特に感情面でもつれると、はたから見ていていい環境と感じても、当事者にとってはいい環境ではなくなる。その辺の修復が可能かどうか、それはもう平山とヘラクレス当事者の問題である。
-Toru Nakata from Holland-
サッカー
[ スポーツナビ 2006年9月2日 10:03 ]
ヘラクレスは会長始めスタッフは平山を評価していないし、平山もクラブに不信感がある。
既に信頼感が崩れているとしたら、早く移籍した方が良いでしょうね。
だいたいこの会長さんはどうとでも取れる発言が多いので真意がよくわかりませんね。
親心的な叱咤激励をしたかと思えば、冷徹に「移籍金さえ払ってくれるならいつでも売り払う用意はある」的なことも同時に言い放つ。
平山の意識の低さは「プロとして失格」って烙印を既に押している以上、やっぱりJリーグのクラブに売ってしまいたいのが本音なんでしょうね。