読売新聞の決勝分析 | 貧乏暇人のつぶやき

読売新聞の決勝分析

両雄の戦力分析、伊は決定力 仏は展開力


 【ミュンヘン(独)=読売取材団】サッカーのワールドカップ(W杯)ドイツ大会は5日に準決勝が終了、9日(日本時間10日)に行われる決勝は、1982年スペイン大会以来4度目の優勝を狙うイタリアと、2大会ぶり2度目の世界一を目指すフランスの顔合わせとなった。ともに堅固な4バックと守備的MFを中心とした守りで勝ち上がり、優れたパサーと勝負強いストライカーがいる点も似ている欧州の両雄。W杯では5度目の対戦となる両チームの戦力を分析する。



 ◆攻 3FW+トッティ “超攻撃的布陣”◆

 今大会のイタリアは、いつになく攻撃的だ。しっかりとパスをつなぎながら、相手を崩しにいく。そのスタイルは、初戦のガーナ戦から表れた。トニとジラルディノというセンターフォワードタイプを併用し、トップ下のトッティを絡ませる布陣。過去のアズーリ(イタリア代表の愛称)と比べると攻撃的で、攻め合いとなった一戦でその決定力の差を見せつけた。

 米国戦は、退場者3人を出す乱戦。イタリアは1人多くなりながら攻めが単調となったが、先制したチェコ戦は、相手が退場者を出したことで余裕の戦い。カウンターに徹し、2点目を奪った。

 逆に、豪州戦の後半は1人少ない厳しい戦い。支配されながらも、途中出場のトッティに球を集めて反撃。終了間際にPKを決めてなんとか勝ち上がった。続くウクライナ戦では、セリエA得点王、エースストライカーのトニが出場4戦目にして初得点を挙げ、チームが乗ってきた。

 基本はピルロを中心としたパスサッカーながら、状況に応じて伝統でもあるカウンター狙いに徹する柔軟性もある。準決勝では延長戦で攻撃的に移行。デルピエロを含めたFW3人にトッティという“超攻撃的布陣”を披露した。


 ◆守 6試合で1失点 縦のラインが堅守の立役者◆

 攻撃的スタイルを志向しているとはいえ、イタリアの真骨頂は守備にある。DFネスタの故障、守備的MFデロッシの4試合出場停止など、アクシデントが続きながらも、6試合での失点はオウンゴールによる1点だけだ。

 ガーナ戦では相手のスピードにやや苦しんだが、ゴール前での突破は許さなかった。唯一、失点した米国戦は1人多い時間帯が長く、相手カウンターにも落ち着いて対処。チェコ戦も相手が退場し、逆襲を確実に抑え込んだ。負傷交代のネスタに代わったマテラッツィも危なげなかった。

 苦しかったのは、そのマテラッツィが退場処分を受けた豪州戦。高さと強さを武器とする豪州に、1メートル93の長身ストッパーの退場は痛かった。だが、カンナバロがガットゥーゾらとの連係で、相手エースのビドゥカを抑えた。ウクライナ戦でもシェフチェンコを厳しくマークし、ドイツ戦もバラック、得点王争いトップのクローゼを完封した。

 守備ラインを統率するカンナバロは対人プレーの強さだけではなく、周囲との連係、読みの良さでピンチを救い、中盤ではガットゥーゾのつぶしが効いている。大会を通じてブフォンは安定感が抜群だ。ガットゥーゾ、カンナバロ、ブフォンの縦のラインが堅守の立役者といえる。(大塚貴司)


 ◆攻 すべてジダン経由 攻撃は単純◆

 フランスの攻撃は単純だ。MFジダンの展開力とセットプレー、MFリベリとFWアンリの突破力、これしかない。

 スペイン戦までは、中盤の底からMFビエラが攻撃参加する形も多かったが、準々決勝以降は守備重視に変わっている。ここまでの8得点でこの4人以外が絡んだのは二つしかない。

 結局、すべての攻撃がジダンを経由する。決勝トーナメントに入って一気に調子を上げてきたが、ポルトガル戦では、相手MFコスティーニャの好マークに苦しめられ、フランスの明らかなチャンスは、2度しかなかった。

 単純なようで怖いのは、それでもチャンスを簡単に逃さないこと。アンリはシュート数はそれほど多くないが、必ず相手GKの嫌がるコースを突く。ブラジル戦の決勝点も、ジャンピングボレーで確実にゴールを射抜いた。ポルトガル戦の決勝点となったPKも、切り返しの鋭さに相手DFが思わず足をかけてしまった。攻撃のアクセントとなるリベリのタテへの突進も勢いは衰えていない。

 不安材料は、左のマルダを含めた他の攻撃陣が、まだその力を十分に発揮していないこと。FWトレゼゲも、まだ2試合しか出番がなく、「ジョーカー不在」が気掛かりだ。


 ◆守 シュート打たせず 決勝進出の要因◆

 6試合でGKがセーブした回数はわずか13。90分あたり約2・1は、米国の約1・6に次ぐ出場チーム中2位の少なさ。2番目に多かった日本の約7・6に比べれば、フランスの2大会ぶり決勝進出は、相手にシュートを打たせなかったことが大きな要因となった。

 チェルシーのガラスとマケレレ、ユベントスのチュラムとビエラ。堅守で名をはせるイングランドとイタリアの王者で中核を務める4人が、中央にボックス形に配置されているのだから、堅いのは当然だ。速攻の鋭さでは世界一だったブラジルの勢いを吸い取るように受け止め、ショートパスが自慢のポルトガルには網目を密にして阻んだ。

 右サイドバックのサニョルは相手に取り付いたら離さないしぶとさが身上だ。ただ、左のアビダルは頑強さと速さはあるものの、頭越しに裏を狙われるボールに対する注意力にやや問題がある。韓国戦で終盤に同点弾を決められたのも、アビダルのサイドからクロスを上げられたからだった。(助川武弘)


 ◆イタリアVSフランス W杯対戦成績◆

 1938年6月12日      伊 仏

 フランス大会準々決勝      3―1

 1978年6月2日

 アルゼンチン大会グループリーグ 2―1

 1986年6月17日

 メキシコ大会決勝T1回戦    0―2

 1998年7月3日

 フランス大会準々決勝      0―0(PK3―4)


(2006年7月7日10時40分 読売新聞)