「砂上のファンファーレ」/早見和真 | 一日一歩、三日で散歩~♪

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まだ慣れないことも多いですが、どうぞよろしくお願い致します。

「砂上のファンファーレ」/早見和真(幻冬舎)

 

  5月に映画化され公開するとのことで読んでみました。
  内容は一口で言えば、ある一家の家族再生の物語。
  著者の早見和真さんは以前、デビュー作の『ひゃくはち』が映画化されましたね。

 物語の中心は物忘れが激しくなった母。 そして事業がうまくいかず
 やや自覚に欠けた父。 その父母の借金を知って驚く長男。 そして彼の妻は
 舅姑に対して冷たい。 好き勝手生きている大学生の弟。
 
 なんだかどこにでもありそうな家族なのだが、彼らが持ちうる最大限の力で
 もって、冷えかかっていた家族関係が修復されていく様を、母親の痴呆と
 その回復を、並行しながら描いていく。

 そもそもこの兄弟は仲が悪く、疎遠だった。 しかしながら、しっかりしていない
 父親を横目に、母の痴呆が兄弟の結束と強めていく。
 このあたりが、自分の両親の認知症の発覚と進捗を追うにつけ、僕と弟も実際
 言葉を交わさないほど仲が悪かったが、その距離を一気に縮めた。

 財産のあるなしは関係ない。 母親の少しでも長く存命させること。 その
 一つのミッションが、それぞれの裁量をフルスロットルで出していく。
 家族のそれぞれの個性と特徴が、意外にうまく交わってテンポよく読めた。

  ふと、読み終わって振り返ってみる。 今、自分に、いや自分たちに出来る
  最良の両親にしてやれること。 それが、今まで、いつまでも子供のように
  心配してくれていた両親への恩返しだと思う。

    映画(オフィシャルサイト)  「ぼくたちの家族