「つまり、このブログの特徴は」と、かれは言った。

「なかなか、ひとりきりにしてもらえないことだね」

たしかに。なかなか、ひとりきりにしてもらえない、と、ぼくはうなずいた。

「そういう意味では、よく似ているのは楽天だ」と、かれは続ける。

たしかに。楽天で、ひとりきりでいようと思っても、骨が折れる。

おまけに、そのあわただしいブログには、「ランダム」などという電気仕掛けのサイコロがどのブログにもくっついていて、いったんそこをクリックすれば、必ず楽天の中のどこかのブログに到達するのだ。
必ず、どこかのブログに到達する。
どこにも到達しないということは、絶対にありえない。
半強制的にどこかを訪問させられるか、半強制的にだれかに声をかけられるかという違いにすぎない。

「目的は同じだ」かれは、ひとさし指の先で、右目の目尻をこすりながら言った。
「ブロガー同士のつながりを強めておくことで、とりあえず脱落者をふせぐ」

ぼくは、かれに向かって言った。

「でもいったい、そんなことをして何の得になる」

「なるさ。だって、傘下におさめたブロガーの数に応じて、分配金が出る。きみも知ってるだろう? ブログサーバがブログサイトをひとつ立ち上げるために支払う費用は、三十億とも四十億とも言われている」

「それはね。でも・・・」

ぼくがそう言いかけると、かれは両方の手のひらをぼくに向けて広げた。

「そいつは言いっこなしだよ。ブログ界も、いまは再編の時期でたいへんなんだ」

かれの顔が、どこかで見た男の顔に変わっていく。

短く刈ったハリネズミのような頭髪。半円形の眉毛の下で、いつもまんまるの目がせわしなく周囲を見回している。
ネクタイをしているところなんて見たことがない。冬でもTシャツのうえにジャケット。「カネで買えないものなんてない」が口癖だ。

驚いて目が覚めた。

・・・なんてね。