65歳以上の高齢者が住民の半数を超え、存続が危ぶまれる「限界集落」の支援が注目されている。 個人的には「限界集落」という言葉はあまり好きではないが、少子高齢化の進む日本では避けては通れない。 条件が厳しい集落の放置は、やがて食糧確保の面・水の確保の面・森林荒廃などの面からも国全体に弊害をもたらす。国土交通省の発表によると一昨年4月時点で限界集落は7878にも上る。


 この「限界集落」の支援策として政府は昨年11月末に「地方再生戦略」を発表した。 これは、遠隔医療体制の整備や住民の足となるミニバス運行などの対策が盛り込まれ、限界集落の支援事業費として国交省・農水省合わせて約5億4千万円の新規計上分である。 しかしながら、小泉内閣時代の経済財政諮問会議では「日本21世紀ビジョン」なるものが発表され(2030年の日本国の将来像)、「コミュニティー維持が困難な地域は国などが住民の移転を積極的に支援し、集落の再編を進めることも選択の一つ」と明記されていて、政府案には矛盾も感じる。

 誰しも住み慣れた土地を強引に移転させられるのは反対で、先祖代々その土地を守ってこられた方々の思いを考えると「住民の移転を積極的に支援」という文言は一抹の不安を覚える。 年齢が上がれば上がるほどその様な気持ちになるのではなかろうか。


 腰の重い政府と反比例するかのように、地方自治体(都道府県・市町村)レベルでは多くの対策が始まっている。 静岡県の旧佐久間町では、全世帯参加型のNPO法人がタクシーの運行を開始。 同じく静岡県の松崎町では、地元景観の維持の為棚田の整備にオーナー制度を採用。 島根県の邑南町では、五つの限界集落でNPO法人「ひろしまね」が田畑への鳥獣防護柵設置を手伝ったり、雪下ろしを支援。 「水源の里条例」を施行し集落への定住促進を後押ししている京都府綾部市は、38都道府県の146市町村と共に「全国水源の里連絡協議会」を設立し、全国自治体との連係・連帯を進めている。


暖かい春を待ち望む


  〔あとがき〕

 今後更に過疎化が進んでいく中、「限界集落」の問題はすぐに解決するのは難しい。 人ごとではなく皆が真剣に考え始めたとき、ある種の方向性が見えてくるのかもしれない。 既に尽力されている方々・自治体に対して、出来る限り耳を傾けてほしい。

 かつて豊臣秀吉から徳川江戸時代にかけて恩賞の土地が飽和し、後に人々は重きを文化に求め元禄文化などが栄えた。 現在の日本も爆発的な経済成長は期待できず経済の飽和状態にあり、それ故逆に文化の栄えるチャンスがある。 集落の歴史・文化を残す観点からも議論されるべき問題なのかもしれない。