※2022年版としてフロントシングルのシクロクロス車でDi2(ST-R785)で組んでエア抜き作業した記事もありますんでそちらも補修的にどうぞ 

 

 

 

 うちらホビーレーサーには(今の所は)禁止事項にはなっていないみたいですが、UCIから自転車に乗る時の姿勢でいわゆる『クラウチングポジション』は禁止ってのが出ましたが、追加でハンドルバーに腕を乗せるポジションの『エアロポジション(TT乗り)』も禁止っていうお達しが出たそうじゃないっすか…

 結構、自分は『TT乗り』やってるんですが…ヒルクライムレースでも勾配の緩い所やチョイ下り基調な時(乗鞍エコーラインだとスタートから5㎞辺りのチョイ下りのトコとか三本滝ゲート前とか位ヶ原山荘の手前とか)あと向かい風の時とか…

 

 ホビーレースでも禁止事項になるんだろーか…

 

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 さて、さて、さて、前回の続きで油圧STIシフトレバーの組付けで、今回はブレーキオイル注入からオイル漏れの確認、エア抜き作業の方を。

 

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前回はレバー本体とブレーキホースの連結まで

 

左レバーも連結作業終了。

 

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●オイル注入

 レバーをハンドルに付けてレバー先端上部のオイル注入口のボルトを外し、じょうごを取り付ける。  ※新型のレバー(アルテグラだとR8000番台~)はじょうごの先に付ける『ファンネルアダプター』も必要です。(下の画像の矢印のがアダプター) 

 

 

 
 オイルファンネルはモデルチェンジをしていて、現在ではアダプターが最初から一体型になっている物も出てきましたが下のシマノでの品番で『TL-BR002』だと今度は逆にロードの旧モデルレバーやMTBのレバーではネジ径が合わず使えなくなります。

 

 

 更に追加されて小さいネジ径で取付部を長くした物(TL-BR003)も出てきたり…

 

 

 ※最新モデルのMTBレバーは確認してませんが、今、自分がMTBで使っているレバー(BL-M6000)はオイル注入口は小さいネジ径。

 現行ロードSTIとMTBの両方で使うなら初期型ファンネルとアダプターを持ってれば良いんじゃないでしょうか。。。 か、シマノ以外のでも各種アダプター等が大量に付属してる『ブリーディングKIT』ってのも出てますが…

 
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ブレーキオイルはシマノの。
オイルは適当なオイル差しに小分けしてます
 
 
じょうごの中のオイルが水平になる感じにハンドルの傾きを変える
 
 
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 (自分はフロントブレーキは車体に付けた状態のままエア抜き作業やっちゃってますが)ブレーキキャリパーのエア抜きのニップルボルトに7㎜のメガネ(レンチ)をかけ、ホースをつなぐ。
 
●第1段階のエア抜き作業
 
○ブレーキレバーを複数回、握る、放すを繰り返す。放す時にはスプリングのテンションを利用するように弾く感じで振動を与えるようにやるとエアの動きを促進させます。グ、グ、グ(素早く握る→普通に放す×3)、握って→パチーン(弾くようにレバーを放す)って感じで。
 
『握る→放す×3、握る→弾くように放す』を1セットとして、5回くらいやったら握る→放すの後、握ったら弾くよう放さずに握ったままにします。
 握ったままの状態でブレーキキャリパー側のニップルボルトを1/8回転ほど緩め、また直ぐ締め込みます。『クッ』っとわずかに素早く緩めるだけです。(緩めてるのは時間にするとコンマ何秒とかです)
1/2回転とか緩めてしまうと、緩くなったニップルボルトのネジ山から負圧でエアが浸入し、永久にエア抜き作業が終わりませんのでそんなに緩める必要はありません。
 素早くニップルを締めたら、また『握る→放す×3~、握ったまま素早くニップルを開け閉めする』を繰り返します。 
 
 最初のうちは全くレバーにはブレーキが効いている感触は無く、スカスカですが、そのまま『握る→放す×3、握ったままにする、ニップルをわずかに緩めて直ぐ締める』を繰り返します。
 何セットかやっているとじょうごのブレーキオイルが減っていくので、じょうごが空にならないようにブレーキオイルをつぎ足します。空にしてしまうとエアが混入するので注意。
 
 何度か繰り返しているとニップルを緩めた時にオイルが出てくるようになります。それから更に続けるとレバーのタッチが徐々に固くなってきます。
 
 これは後ブレーキのエア抜き作業のだけど、ドライバーで指してる所に気泡が有る。最初はこういう大きな気泡が複数出てくる。
 
 そのまま繰り返してると段々気泡が小さく、数が少なくなっていきますが、作業をまだ継続します。
 
 最初に比べて段々気泡が小さくなっていく。レバーのタッチも徐々に固くなってくる。
 
 徐々に気泡が減ってきたら、レバーを下に向けたままだと一番高い位置になるハンドルバー内部のブレーキホース内にエアが溜まるため、ハンドルの傾きを変えてエア抜き作業を続けます。
 
 ドライバーで指してる所が一番高い位置になるためエアが溜まりやすい。
 
 ハンドルを上向きに。
オイルをこぼさないように、オイル注入口にエアをかませないように
新型のファンネルにはオイルがこぼれにくくなるようにフタが付いてるようです。
 
 
 また、振動を与えてやるとエアが動きやすくなるので、ホースにデコピンを連打してやったり、ブレーキキャリパーをゆすってやったり、ドライバーの柄でコンコンと軽く叩いてやったりで。。。
 
 フレーム内部にフル内装のホースだったらフロントならFフォークをゆすってやるとか。
 ステムまで一体型のハンドルでケーブル内装だったらじょうごを一旦外し、ボルトを締め、車体ごと傾きを変えるとかステムからハンドル外して傾けるとかしないとダメな場合も…
 
 DMでは『キャリパーのニップルを1/8ほど緩めて、注射器にオイルを入れ、下から入れる』になっていますが、チューブホルダーなる工具でホースを固定して抜け止めはしていても、注射器を強く押しすぎて圧力でホースが外れたらブレーキオイルをぶちまけ、パッド、ローターに油が付着したら即死なので、自分は慣れてる普通に上から補充でやってます。
 
 しばらくやっていると、かなり気泡が少なくなり、小さな気泡がニップル付近に出るだけになりますが、それじゃまだ全然ダメです。全く出なくなるまでやらないとダメです。
 
 完全に気泡がゼロになるまで続けます。
 
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 エアがとりあえずこの時点で出なくなった時にはレバータッチはかなり固くなっていて、グッと握ると、ある程度の所で止まり、それ以上は握れなくなってると思います。
 
 これで第1段階のエア抜きは終了です。
 
 じょうごを外し、オイル注入口のボルトを締めますが、出来るだけエアを入れないようにし、ボルトを締め込むと溢れるって感じにします。※オイルが溢れるのでウエスを当ててボルトを締めましょう。
 
 
 この位はレバーとハンドルバーに隙間があり、グッと止まるようになっていて指が挟まってしまうなんて事は無いはず。
 
 
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●オイル漏れの確認
 ある程度エア抜きが終わった所で、レバー本体とホースを連結してるコネクティングボルト部分をパーツクリーナーで脱脂します。(今回はキャリパー側は省略していますが、キャリパー側の連結部もレバー側と同様に脱脂した後、オイル漏れの確認をして下さい。)
 ※この時点でパーツクリーナーで拭いた後、直ぐ連結部分からオイルが目に見えて滲んでる時は連結作業失敗です。それくらいオイル漏れしてる時はレバーを握ってもグッと止まらず、ハンドルバーに当たるまでぐにゅーっと握りきれると思いますが…
 オリーブ、コネクターインサート打ち込みから作業やり直しです。この時にコネクティングボルトを増し締めしても多分オイル漏れは止まりません。
 
 パーツクリーナーで連結部分を一旦脱脂して乾かす。
 
 
連結部を乾かしたらフルブレーキングするように強く下ハン持ちでブレーキレバーを握って、
矢印部からオイルにじみが無いか確認します。(キャリパー側も確認)
 
 
強く握ってもオイルにじみが無いようならレバーを握った状態にしてタイラップで固定します。
 
そして連結部にペーパータオルを敷いておきます。
 
 で、レバーのオイル注入口が一番高くなるようにハンドルを上に向け、一晩放置です。
レバーを握った状態で置いておくと抜けきれなかった内部に残っている気泡が徐々に上の高い方のオイル注入口に上がってきます。
 
 あ、放置しとく時にはブラケットカバーはめくり上げて放置してると延びてしまうので、ちゃんと下ろしといた方が良いです。。。
 
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一晩経過。。。
 
 一晩放置して再度オイル注入口のボルトを外すと…
 
オイルが減ってるんですよね。溢れるほどだったのに。
 
 連結部のペーパータオルを外してオイルが付着してないか確認。
 オイルの付着が無いので連結部からのオイルにじみは無しっと。
 
 ブレーキキャリパーの連結部もレバー側と同様にオイル漏れが無いかペーパータオルをセットしておいて確認を。
 今回のブレーキキャリパーは完成車外し品だったので最初からバンジョーボルトで連結されていたが、ブレーキ側もオイル漏れは無し。
 
 
BR-R785 ポストマウント取付で連結はバンジョーボルト。
今どきのロードで主流のフラットマウント、ストレート連結ではないタイプ。
マウンテンではポストマウントの方が主流
 
 連結部のオイルにじみは『無い』じゃないとダメです。『わずかにペーパータオルが濡れてる』ってのはアウト。『わずかに漏れてくるから週イチでオイルをつぎ足せば良いや』みたいなタイヤのエア圧管理とは全然違います。
 わずかに漏れてる状態だと実走で強くフルブレーキした時に『ブシュ』っとオイル吹いてレバータッチがスカスカになり、ブレーキが効かなくなりますから。
 
 油圧ブレーキ組付け作業はシビアじゃないんです。
確実にやらなきゃダメなんです。
 
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 オイル漏れが無いのを確認したら第2段階のエア抜き作業。一晩放置して気泡が上の方に移動してきてるのでそれの除去。もうほとんどエアは出てこないはずです。3回位ブリーディング作業すれば完全に出ない位になる。
 
 ブレーキキャリパーのニップル付近にも一晩放置してエアが溜まっているのでホース繋いでエア抜き作業。おそらく気泡は大きなのが1つ出てくるだけ位なはず。何個も大きな気泡が出てくるようなら前日のエア抜き作業は全然出来てないということになります。
 
 エア抜き終わったらホースを外して、ニップルに溜まってるオイルをペーパータオルをこよりにして吸い取る。
 
 これで実走して車体が傾いたり、路面からの振動でまたエアが動くので、試走後、ちょっと時間を置いてもう一度エア抜き作業すれば確実。(第3段階エア抜き)
 
 
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後ブレーキのエア抜き作業
 
 後ブレーキはキャリパーの取付角度がフロントと変わるので、エア抜きの.ニップルの向き、出口角度が車体に付いている状態だとエアが抜きにくい場合が有ります。そういう時はブレーキキャリパーを車体から取り外して作業した方がエアが出やすいです。
 
 
 後ろブレーキキャリパーを車体から取り外し、とりあえずバイスに固定(左下)。ブレーキホースは丸めずエアが上に行きやすいようにしておく。
 ブレーキホースが全て外通しなこの車体だとこのやり方が出来るけど、ブレーキホースフル内装のフレームだったらこんな風には出来ません。。。
 
 ホントはエア抜き作業時用の黄色いブロックみたいなのがあるけど、手持ちがないので適当なアルミ板を挟んでる…
 
 後ブレーキはホースが長いのでエアが上ってくるまで多少時間がかかりますが、やることはフロントと同じです。そしてこっちも一晩放置して再度エア抜きします。
 
 前後第2段階エア抜きまでやったらブレーキの組立はひとまず終わり。