さて、さて、さて、油圧ディスクにコンポ積み換えってことで、今回はSTIレバーのブレーキラインの組立を。

 

 ブレーキキャリパーはロードで主流になっているフラットマウントではなく、ポストマウント(BR-R785)取付なので、キャリパーの方の説明はほとんどありません。

 BR-R785ブレーキキャリパーはキャリパーとホースの連結がバンジョーボルトの為、先にSTIレバー側から組むということが出来ませんので、今回はホースの長さ、ねじれ具合を先に確認してホースカットし、レバーとホースを後で連結するという作業順になっています。

 今回のGTはブレーキ、シフトケーブルはフレームの外通しなので、作業はしやすい方です。今どきもフルフレーム内装ケーブルだと作業はやりにくいと思います…

 シマノのDM(作業手順書)に書いてあることを書いてたりもしますが、違ってたり(反則技使ったり)もしてます。

---------

 

別の油圧ブレーキSTI(ST-R785)で組んだ時のもあります(2022年)のでこちらも補足用で

 

 

 

続きでエア抜き作業のも

 

 

 

---------

 

●まず、ハンドルバーの仮組。

 ハンドルバーはヒルクライム用のゼリウスでも使ってる中華カーボンの。ゼリウスと同様な感じにするのでラバーグリップを通しておく。

 ※シマノのDMだとブレーキホースをハンドルバーの外に添わせる場合のでしか説明してません。バー内部にホースを通す場合だと後に書くホースとレバー本体の連結時に注意しないと失敗(オイル漏れ)します。

 

 ブレーキホースは合わせやすい(右レバーの)前ブレーキから作業。バー内部にホースを通せるので通すが、後の事を考えるとシフトアウターケーブルも同時に通しといた方が良いが、シフトワイヤーが無かった。。。とりあえずブレーキホースだけ組んでくことに…

 

 ●STIレバーをバーに仮止め。

 自分はブラケットとバーが平らになるようにいつも合わせてるので、今回もそのレバー位置で合わせる。

 

●ブレーキホースの長さ、向きの確認をしてカット位置を決める。

 

まず、ホースだけで差し込んで、差し込み量を測る。白ペンでマーキングしとく。

 

ホース先にはコネクターインサートを圧入する。その先の厚みは1㎜。

※コネクターインサートはホースにより対応する部品が違います。このホースはBH-90SSで、対応するコネクターインサートはシルバー。

 

コネクターインサートの厚み1㎜分を引いて計算するので、ホースは11㎜差し込みって事になる。

(この辺の差し込み量については各レバーごとの作業マニュアルに数値が出てますのでホントは実測する必要はありません。)

 

●ホースのカット

 ホースをカットする時はハンドルバーをステム、車体から外して作業しやすいように。

 ※ホースを垂直に一気に切断しないとオイル漏れの原因になります。

 

切れ味のいいカッター等で切断面が歪まないように一気に切る事。

カットとコネクターインサートの打ち込みの作業が出来る専用工具が有りますが、無くても作業は出来ます…

 

 この時、ホースのねじれも考慮して、一番収まりの良い位置って事で白ペンでマーキングしています。

※DMには『レバーとキャリパーはこの位置で~』と90度ひねって連結みたいな事が書いてありますが、ブレーキホースの『巻きグセ』が強烈なので…

 Fフォーク内部に通すホースの場合だとあまり考えなくても良いと思うけど、今回のは外通しになるので、ホースのねじれ具合も考慮した。

 

●コネクターインサートの打ち込み

 ホースに黒いコネクティングボルト、金色のオリーブを通しておいてコネクティングインサートの打ち込み。

 

 バイス(万力)にブレーキホースかキャリパーに付属してくるTL-BH61(黄色いの)を使いホースをクランプする。

 ちなみに奥の方にある黒い物体ですが、オートバイの整備の時もやってますが、ブレーキキャリパーを軍手を丸めたのに入れて、くるんで傷つき防止にしてます。

 

 叩き入れにはあまり強く叩かないようにしてますが鉄ハンマーで入れてます。

 DMには『(黒い)ホースの突き出し量は1㎜で~』となってますが、コネクターインサートを深く打ち込みすぎなければオリーブは後から動かせることが出来ます。

※打ち込み終わってバイスを緩める時にホースの巻きグセが戻る力でオリーブが吹っ飛んでいくことがあるので注意

 

オリーブは動かせるはずなのでホースの突き出し量を1㎜に調整する。

※それでも後から動かそうとして動かせなかったらシャレにならんので、打ち込み前にオリーブの位置は合わせといた方が無難かと…

 

 反則技。バイス(万力)に挟まなくてもバイスクリップ(は製品名?)、ロッキングプライヤー

で挟んで固定し、コネクターインサートを打ち込むことも一応、出来ます。

 

打ち込み終わり。ハンドル外さないでも作業は出来る。

 

 

 

重要な作業ポイント、ホースとレバー本体の連結。

 連結はコネクティングボルトを締め込むことによって金色のオリーブを潰して圧着させ、ブレーキオイルの漏れを止めています。

 コレは車体に付いていた物を外したものですが、黒いドライバーの先で指してる所にスジが付いています。これがネジで締め込んでオリーブが潰れた部分になります。このスジがちゃんとオリーブ全周に付いていれば正しく連結されていて、オイル漏れが起こりませんが

 

ホースが少し斜めになっていてもコネクティングボルトが締め込めてしまうので、その状態だとオリーブが全周潰れずオイル漏れの原因となります。

 下のだとオリーブとコネクティングボルトの間に隙間があり、ブレーキホースの黒いのが見えてる状態。

 

 写真撮る角度を変えて上から。明らかに隙間がありますよね?

 

 斜めになった状態で締め込んでしまい、オイル漏れがあった場合『オイルが漏れてるから』とコネクティングボルトを更に強く締め込んでもオイル漏れはまず止まりません。組み直しになります。

 その際に、一度使ってスジが付いた(潰れた)オリーブは再使用出来ません。必ず新品に交換して下さい。使うとスジの部分からオイルがにじみ出てきます。 

 

 また、コネクティングボルトの締め付けトルクが(ST-R685の場合)5~7N・mと指定されていますが、多分トルクレンチを使って締め付けはしない(出来ない)と思います。強く締め込もうとすればかなり強く締め込めますが、締め込みすぎに注意。

 

 最初から強く締めすぎてか、『オイル漏れがあるから』とオイル漏れを止めようと強く締めすぎたのか、コネクティングボルトを締めすぎてレバー本体にクラック(亀裂)が入ったり、ネジ山をナメて破損したジャンク油圧レバーがオクに結構出てますよ。。。

 

----------

 

 今回みたいにハンドルバー内部にホースを通してからレバー本体とホースを後に連結する場合は、ホースをレバー側に引っ張り出し、レバー本体はバーから外して作業した方がやりやすいです。(ホースのカットする前にホースを引っ張り出してたが)

 

 DMでは『ハンドルバーにレバーを付けた状態でコネクティングボルトを締める場合はスパナが回しやすいように~』と書いてありますが、スパナは回しやすくなりますが、ホースの差し込みが斜めになりやすいのでレバーはバーから外した方が良いです。

 

 

●実際の連結作業

 (最新のレバーだとコネクティングボルトの所にカラーが入ったりして若干、部品構成が違うけど)ネジ部、オリーブにカジリ防止のためグリスを塗って組付け。

 ホースを真っすぐ押し込みながら、最初はコネクティングボルトを工具を使わず手で締めていきます。(最初から工具を使っていくと、力がかかり過ぎオリーブが斜めになりやすいです。DMにはこの部分は『スパナで締め込む』としか書いてありません。)

 (ホースの白い線はここを真上にするっていうホースのねじれを考慮したマーキング)

 

 ホースを真っすぐ押し込みながらコネクティングボルトを手で締める(写真撮りながらなので押してるだけにしか見えないけど、作業は両手でやってます。。。)

 体勢的にはレバー本体を自分の腹に押し当て、左手でホースを押し込んで、右手でボルトを回してる。 この表現しかないんだけど、切腹してるような体勢だな。。。

 

 手で締められなくなったらスパナで締める。スパナを使って締め始める時もホースを真っすぐ押し込みながらで。そして締めすぎには注意。

 

 連結終わり

 

 

 

オイル漏れが無いかの確認やエア抜き作業は次回にー。