1958年8月14日、エルヴィスの最愛の母だったグラディスが急性肝炎により46歳という若さで他界した。
エルヴィスは涙も渇かぬまま、テキサスから次なる訓練地となるドイツへと旅立った。
そのドイツでエルヴィスはのちに妻となるプリシラ・ボリューと運命的な出会いを果たした。そのとき彼女は14歳だった。
ドイツに赴任してからエルヴィスは何人かの女性とデイトを重ねたが、どれも恋愛には発展しなかった。
そして1959年11月、エルヴィスはドイツの自宅でプリシラと共通の友人であるカリー・グラント少佐の紹介で彼女と初めて会った。
ルックスが映画『やさしく愛して』で共演したデブラ・パジェットに似ていたこともあって、エルヴィスは彼女に一目惚れだった。
彼女の父親(義理の父。実父はプリシラが幼少のとき死去)は空軍の大尉で、エルヴィスが住んでいたフリードバーグ近郊のヴィースバーデン空軍基地に家族と共に転属してきたばかりだった。
エルヴィスはプリシラに母の面影を見い出し、彼女に特別な感情を抱いた。
特別な感情とは、性的関係を持たないというものと、結婚相手の対象として考えるというものだった。
エルヴィスは彼の祖母にプリシラのことをこう伝えた。
「僕は今まで千人以上の女性と寝たけど、あの娘は別なんだ。そういう対象じゃないだよ。僕にとって特別なんだ」
【深層その1】エルヴィスがプリシラと出会ったときと同じ頃、〈火の玉ロック〉や〈ホール・ロッタ・シェイキン・ゴーイン・オン〉などのヒットで知られるロカビリー歌手のジェリー・リー・ルイスが13歳の従姉妹と結婚し、スキャンダルとなっている。
【深層その2】エルヴィスがドイツに渡ったとき、パーカー大佐はアメリカを離れなかった。