先日、友人のラメシュ一家がわが家に遊びに来たときのこと。
その日の夕方、
「今から遊びに行ってもいい?」
という、やや突然の連絡だったので、
あまり大したものを用意していなかった。
ところでラメシュさんの奥さん・スマンさんは
宗教上の理由で、ベジタリアン(以下ベジ)である。
それに病気がちで食器なども煮沸消毒したものを使うようにしているため、
わが家に遊びに来たときは、スマンさんも私と一緒に食器の用意をしたり、
料理をしたりする。
その日はまだゴハンを作っていなかったため、
スマンさんはベジ料理、私は鶏肉と野菜の炒め物を
隣同士、ガス台で調理していた。
そしてふと、スマンさんが炒めていたナスが鍋からガス台に落ちた。
私は無意識にそのナスを箸で拾って彼女の鍋に戻したのだが、
その瞬間
「あ、衛生的にマズかったかな・・・」
という思いが頭をよぎった。
そしてスマンさんが
「今、このお箸で戻した??」
と私に聞いてきた。
スマンさんはあまり英語が話せないので、
普段は片言のヒンディー語で会話をしている。
私が
「うん、戻した・・」
と言うと、
ああ~~~~
という顔をして困っているようだった。
「ああ、そうか。
そりゃガス台に落ちたのを戻したら汚いよね・・」
と一人考えていたら、
・・・いや、違う
と気づいた。
私は箸で鶏肉の炒め物をしていた。
つまりノン・ベジタリアン(以下ノン・ベジ)料理を作っていた。
その箸でベジ料理を触ってしまったら、
それはノン・ベジ料理になってしまう。
「ああ~~~~、そうか!ごめんなさい!!
この箸はノン・ベジ用ですよね!!」
とスマンさんに平謝り
スマンさんは
「いいのよ!大丈夫!」
と笑顔で許してくれたが、
私としたことが、注意が足らなかった・・・と反省。
この出来事をラメシュさんに話したら、
「そうそう、私も肉料理をしたあとは
『ちゃんと手を洗ってね!』
『包丁よく洗ってね!』
って言われるよ。
でもわざとじゃないんだから、しょうがない。
箸で拾ったナスはスマンの皿にいかないように
神様がしてくれるよ」
と言ってくれた。
日本人にはあまりない、食べ物に対するこの感覚。
文化や習慣の違いがまだまだ深く理解できていないなあと
感じさせられた一件でした