ケネスとの会食を終えて、ノリの家に戻ったときには既に22時30分。飛行機は午前2時15分にシンガポール空港を飛び立つことになっているので、23時30分にタクシーを予約して、大急ぎで荷造りを始めた。シンタロウはレストランから帰りのタクシーの中で夢の中だ。ユリアはケイトと最後の電車ごっこにいそしんでいる。
23時10分、荷造り終了。最後に乾杯をしようということで、ノリの家のいいちこを冷蔵庫にあったビタミンウォーターで割ってみた。不味いので早く帰りたくなって、ある意味ちょうど良かった。うしろ髪をひかれずに帰ることができそうだ。
時間通り23時30分にタクシーがやってきた。ノリの家族にお礼を言って、タクシーに乗り込んで30分、空港に到着した。爆睡しているシンタロウをユリアのベビーカーに乗せて、ユリアには歩いてもらった。昼寝をたっぷりしたおかげで、なぜか超元気なユリア。もしユリアも寝ていたら、かなり大変なことになっていたので、人生はなんとなく上手くできているものだと思った。
チェックインを済ませ搭乗ゲートまで移動する途中、ユリアがある店の前で立ち止まった。麦わら帽子を手にして"Please buy
this."と言ってきた。シンタロウの代わりに歩いているし、シンガポールドル余ってるし、ほろ酔いで上機嫌だったので、勢いで僕も一緒に麦わら帽子を買って記念撮影をした。これがシンガポール最後の写真となった。
その1時間30分後、僕たちは寝ているシンタロウを担いで飛行機に乗り込み、約5時間後にはフィリピンのマニラに到着した。人生初のフィリピンである。飛行機の窓から"WELCOME!!
Philippines"の看板が見えた。僕は「ごめん、40分で帰るわ」と心の中でフィリピンに言った。子どもたちも長旅でヘトヘトだ。あともう少しだ、頑張ろうぜ。
フィリピン空港にいること40分弱で、再び飛行機に乗り込んだ。関空までの4時間弱のフライトを終え、空港でたこ焼きを食べて新幹線で広島に帰った。
2泊4日の弾丸ツアーだったが、本当に楽しい旅だった。分刻みの観光プランを立ててくれたノリには改めて感謝をしたい。そして、ケネスとリンダと再会できたことも良かった。これまで人生を振り返って、世界のあちこちに友達がいる自分自身に、「良い生き方してるね」と褒めてやりたい。でも、まだまだ34歳、特に何も成し遂げちゃいない。とりあえずは、日本人の英語力を飛躍的に上げるために全力を注ぎたい。そして、またお金が貯まったら、世界中の友達に会いに行こう。(おわり)
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