固定車体(ピスト)で峠を登れるか? 大実験の報告書
今回の記事は学術論文である。
そのため、専門家でない方には理解し難い専門用語や、難解な高等物理学系の表現が用いられる可能性があるため、心して読んでくれたまえ。
超が付くほど久々の更新であるにもかかわらず、こうした硬い文章になってしまうことを大変申し訳なく思うが、本ブログは常に大真面目に高尚なテーマを語ることをモットーとしてきたことは、皆様ご存知の通り(!?)。どうかご勘弁願いたい。
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単段固定式自転車の登坂性能検証実験
●実施日: 連邦歴一万二千九年三月二十一日
●実施場所: 八王子O地区 通称大垂水峠
昨今では、多段自由式自転車で峠を登ることはもはや一部の自転車愛好家の間では珍しいことではない。
「自転車による峠アタック」を愛好する者は、「まじょりてぃ」と呼ばれる多数派の自転車非愛好家からは“超能力者”もしくは“異常性格者”、あるいは“限度を超えたエム”とのレッテルを貼られることもあるらしいが、それは彼らが本当の自転車の実力を知らないという「無知」から来る誤解であることは明らかなので、ここではそれは問題にはしない。
連邦自転車研究所でも一、二を争う研究熱心さで有名な我々第八研究班は、そんな一般人レベルの研究をするチームではない。
今回の実験では、まさに前人未踏、空前絶後、想像をはるかに超える、まさに“あり得ない”実験を行った。(あなたの国の常識ではどうかは知らないが、少なくとも連邦内ではそういうことになる。)
そう、それは、な、な、なんと単段固定式の自転車で峠を登れるのか???という実験だ。
いや、これはもはや“実験”ではなく“事件”かもしれない!? まさに驚天動地!全世界をゆるがすビッグイベントでさえある…のかもしれない。
(だんだん“学術論文”風の文章ではなくなってきたが、論文で大切なのは中身なのだ。文体はどうでもいいのだ!)
前置きはさて置き、まぁ簡単に言うとピストで大垂水峠を登れるかどうかの実験をしてみた、というワケだ。
また、それが可能かどうかだけが問題なのではない。果たしてテストパイロットにはどの程度の負荷やストレスがかかるのか、そしてそれには何度も行えるほどの“実用性”はあるのか、というのが今回の第八研究班の想定したテーマであった。
今回用意したテスト車両を簡単に紹介する。
車名は「サーリー・スチームローラー」と呼ばれる。なんだか工事用車両のような名前だが、それは実態を全く表してはいない。(北米民族特有のユーモアであるらしい。)
これは自転車だ。しかも単段式固定ギアを装備する。つまりシングル固定ギア装備だ。
ギア比は前50T、後ろ16Tなので、3.125となる。3を超えるギア比というのは通常のロードバイクの概念で言うと全くもって峠向きではない。まあ普通は、時速30km/h台の後半で平地を走行するときに使うギア比であろう。
このギア比だけから考えると、このまま峠アタックを行うというのは、普通に考えて“気違い沙汰”だと思う人がいてもおかしくはない。
せいぜい数百メートル程度の短い坂道ならいざ知らず、今回は「峠」という名前が付くちゃんとした山道だ。悲観的な想像をしてしまえば、1~2kmほども走れば、全ての体力と気力を使い果たし、あえなくリタイア…そこからは自転車を降りてエッチラオッチラ坂道を歩いて登ることになってしまう可能性だって存在する。
あるいは、なんとか気力と体力が峠の頂上まで保ったとしても、そこからは固定車体の苦手とする下り道。もうほとんどゼロに近い体力と使い果たした集中力という最悪のコンディションでは、もはや一歩も前進することなどかなわないかもしれない…。
いやいや、悲観的なことばかり考えていてもらちがあかない。
以前の学術論文で発表したことがあるように、ピスト、つまり固定車体には「利息」という“超動力”が働いている。可能性としては、これがまさに決定的な違いとなって、思ったよりもスイスイと登りきれてしまうかもしれない。
たとえば、
「思ったよりラクチンだったよ。これなら次から峠は全部ピストだな!」
なんていうセリフがテストパイロットの口から出てくるかもしれないじゃないか。(?)
そんな話をしていてもキリがない。そういった根拠のない無意味な想像に終止符を打つために実験をするのだ。一般人から「絶対無理だ」と言われようが、「うっそぉ、そんなのキツいだけじゃん!」と言われようが、やってみなければ結果はわからない。
あ、例によって前置きばかりが長くなってしまった。
では、早速実験の経緯を見ていくことにしよう。以下は参加したテストパイロットの手記である。
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★第一ステージ 前半
いよいよ大垂水峠の登りにさしかかる。
私の前にはもう一台の固定車体、「bugalu号」が走る。パナソニックと呼ばれる“純粋競輪タイプ”のフレームを持つことが特徴だ。峠に強いと言われる軽量なテストパイロットでの性能を検証することが彼の役割だ。
また、私の後ろにももう一台の固定車体が存在する。こちらもパナソニックのフレームを持つ。ただしカラーリングは“ヘビメタ柄”だ。「相方号」と呼ばれるこの車体では長身テストパイロットでの性能を検証する予定だ。
そして私が乗るのがこの「スチームローラー号」。私の役割は“重量級”テストパイロットの場合の性能検証だ。世の中の“重量級”自転車乗りの期待を背負っていると感じながらこの実験に参加できる、ということはまさに名誉以外の何物でもない。
さあ、登りが始まる。現在の時速は20km/h台の後半。ペダルが徐々に重みを増していく。
もしもロードだったらこの段階から段々とギアを軽くしていくことになるのだが、今の私にはその選択肢はない。
果たしてもっともっと重くなること確実なこのペダルに私の両足は耐えられるだろうか。峠では不利なはずの重量級として最後まで自転車の上にいられるだろうか…。傾斜とともに不安もつのる。
実は、重量級なのは私の肉体だけではない。この「スチームローラー号」も実は結構重量級だ。クロモリフレームは確かにちょっと重めなのが一般的なのだが、このフレームとフォークはその平均よりも重めだ。合わせて3kgほどの重量は峠では充分なオモリとなることは間違いない。今回同伴する実験監視部隊に所属する「デローザ号」や「ルック号」らの超軽量フレームとは大きな違いがある。実は結構悲観的な要素が揃っているのだ。
まぁ、そんなことはもはやどうでも良い。私の役割は重量級として恥ずかしくない走りをすることだけだ。
前方の軽量な「bugalu号」の方はどうやらまだまだ快調のようだ。ちょっとした登りなどものともしない勢いでコンスタントに疾走し続ける。彼の心拍数をここではモニターできないので状況を知るすべはないが、調子の良さそうな走りに見える。ケイデンスが速くないのであまりスピードが出ているようには見えないが、実は決して遅くはないスピードだ。
斜度が増して行く。
いよいよ本格的な登りのはじまりだ。
“本格的な登り”とは言っても、ここは大垂水峠なのでせいぜい4~5%の斜度でしかない。慣れたロードバイク乗りなら鼻歌まじりに登ってしまうような斜度かもしれないが、私が初心者だったころにはこれでも随分とキツい登りに感じたものだ。まして今私が乗るのはギア比3以上の固定車体。まだまだ甘く見ない方がいい。
大垂水峠のおなじみの風景が前方に広がる。ゆるいつづら折りが前方へと伸びる。
「bugalu号」が段々と離れていく。彼が加速しているのか、それとも私が失速しているのか、あるいは両方なのか、ゆっくりとだが、確実に彼との距離が開いていく。手が届きそうだけれども絶対に追いつくことはできない…といったなんともやるせない速度差が「bugalu号」と「スチームローラー号」を隔てていく。
ペダルが重い。わかっていたとは言えペダルが重い。
シッティングだけで対応するのは私には荷が重い。早速ダンシングを織り交ぜながらだんだんと“苦行”になりつつある登坂を続ける。
話はちょっと逸れるが、最近はダンシングがだんだん楽しくなってきた。ある“中年の男性”の方からの指南でちょっとしたコツを教わってから、自分としてはダンシングが効率良くなってきた感じがしている。
実際のところはどの程度効率が良くなったのか(あるいはあまり変わっていないのか)を知るすべはないが、この“効率ダンシング”を簡単に説明すると、足首を比較的立てながらクランクのもっと前の方に力をかけて行くようにする感じだろうか。こうすると自転車の進みが良くなる感じがする。そしてダンシングの持久力が高くなる感じがする。
おかげで私は結構ダンシングを多用するようになった。今回の実験でもこのことは大きなプラスになるかもしれない。なんと言っても重いギアを踏むにはダンシングの方が私にはラクに感じられるからだ。
前方の「bugalu号」はかなり小さくなってきた。そして後方からは随伴の監視部隊のギア付きロードバイクたちが私を追い越して行く。
「お~い、1枚でいいからギアをくれ!」
私はそう叫んだ。
10段や11段もあるギアなら、そのうち1枚や2枚を人にあげたってなんということはないはずだが、もちろんそんな望みに応えてくれる人などいるはずもない。世の中はやはり不公平なものだ。ギア付きのロードバイクたちは、これ見よがしに(?)クルクルとクランクを回しながら前方へと駆け上がっていく。
さあ、ちょっとした孤独な戦いの始まりだろうか。
ペダルの重さは実際問題、かなりのものだ。これがロードバイクに乗り始めて間もない頃だったら、どうだっただろう…。もはやこれまで…そんなレベルに達しているのかもしれない。
頂上まで残りの距離は2kmほど。峠の2kmは平地の2kmとはワケが違う。まだまだ余裕をなくしてしまったわけではないが、この先どこまでもつかは全くの未知数だ。
私は残りの距離を頭の中で計算しはじめた。計算すると余計に距離を感じてしまうのがわかっているのに、やはり計算せずにはいられない。自分の脳がこの行為を“苦行”だと感じはじめた最初の兆候が現れたことになる…。
+---+---+---+---+---+
さてさて、頂上まではまだまだ遠い。
久しぶりの記事だけれども、あまりに長くなりそうなので、やっぱり【次回へ続く】になってしまった…。
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そのため、専門家でない方には理解し難い専門用語や、難解な高等物理学系の表現が用いられる可能性があるため、心して読んでくれたまえ。
超が付くほど久々の更新であるにもかかわらず、こうした硬い文章になってしまうことを大変申し訳なく思うが、本ブログは常に大真面目に高尚なテーマを語ることをモットーとしてきたことは、皆様ご存知の通り(!?)。どうかご勘弁願いたい。
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単段固定式自転車の登坂性能検証実験
●実施日: 連邦歴一万二千九年三月二十一日
●実施場所: 八王子O地区 通称大垂水峠
昨今では、多段自由式自転車で峠を登ることはもはや一部の自転車愛好家の間では珍しいことではない。
「自転車による峠アタック」を愛好する者は、「まじょりてぃ」と呼ばれる多数派の自転車非愛好家からは“超能力者”もしくは“異常性格者”、あるいは“限度を超えたエム”とのレッテルを貼られることもあるらしいが、それは彼らが本当の自転車の実力を知らないという「無知」から来る誤解であることは明らかなので、ここではそれは問題にはしない。
連邦自転車研究所でも一、二を争う研究熱心さで有名な我々第八研究班は、そんな一般人レベルの研究をするチームではない。
今回の実験では、まさに前人未踏、空前絶後、想像をはるかに超える、まさに“あり得ない”実験を行った。(あなたの国の常識ではどうかは知らないが、少なくとも連邦内ではそういうことになる。)
そう、それは、な、な、なんと単段固定式の自転車で峠を登れるのか???という実験だ。
いや、これはもはや“実験”ではなく“事件”かもしれない!? まさに驚天動地!全世界をゆるがすビッグイベントでさえある…のかもしれない。
(だんだん“学術論文”風の文章ではなくなってきたが、論文で大切なのは中身なのだ。文体はどうでもいいのだ!)
前置きはさて置き、まぁ簡単に言うとピストで大垂水峠を登れるかどうかの実験をしてみた、というワケだ。
また、それが可能かどうかだけが問題なのではない。果たしてテストパイロットにはどの程度の負荷やストレスがかかるのか、そしてそれには何度も行えるほどの“実用性”はあるのか、というのが今回の第八研究班の想定したテーマであった。
今回用意したテスト車両を簡単に紹介する。
車名は「サーリー・スチームローラー」と呼ばれる。なんだか工事用車両のような名前だが、それは実態を全く表してはいない。(北米民族特有のユーモアであるらしい。)
これは自転車だ。しかも単段式固定ギアを装備する。つまりシングル固定ギア装備だ。
ギア比は前50T、後ろ16Tなので、3.125となる。3を超えるギア比というのは通常のロードバイクの概念で言うと全くもって峠向きではない。まあ普通は、時速30km/h台の後半で平地を走行するときに使うギア比であろう。
このギア比だけから考えると、このまま峠アタックを行うというのは、普通に考えて“気違い沙汰”だと思う人がいてもおかしくはない。
せいぜい数百メートル程度の短い坂道ならいざ知らず、今回は「峠」という名前が付くちゃんとした山道だ。悲観的な想像をしてしまえば、1~2kmほども走れば、全ての体力と気力を使い果たし、あえなくリタイア…そこからは自転車を降りてエッチラオッチラ坂道を歩いて登ることになってしまう可能性だって存在する。
あるいは、なんとか気力と体力が峠の頂上まで保ったとしても、そこからは固定車体の苦手とする下り道。もうほとんどゼロに近い体力と使い果たした集中力という最悪のコンディションでは、もはや一歩も前進することなどかなわないかもしれない…。
いやいや、悲観的なことばかり考えていてもらちがあかない。
以前の学術論文で発表したことがあるように、ピスト、つまり固定車体には「利息」という“超動力”が働いている。可能性としては、これがまさに決定的な違いとなって、思ったよりもスイスイと登りきれてしまうかもしれない。
たとえば、
「思ったよりラクチンだったよ。これなら次から峠は全部ピストだな!」
なんていうセリフがテストパイロットの口から出てくるかもしれないじゃないか。(?)
そんな話をしていてもキリがない。そういった根拠のない無意味な想像に終止符を打つために実験をするのだ。一般人から「絶対無理だ」と言われようが、「うっそぉ、そんなのキツいだけじゃん!」と言われようが、やってみなければ結果はわからない。
あ、例によって前置きばかりが長くなってしまった。
では、早速実験の経緯を見ていくことにしよう。以下は参加したテストパイロットの手記である。
-+++-+++-+++-+++-+++-+++-
★第一ステージ 前半
いよいよ大垂水峠の登りにさしかかる。
私の前にはもう一台の固定車体、「bugalu号」が走る。パナソニックと呼ばれる“純粋競輪タイプ”のフレームを持つことが特徴だ。峠に強いと言われる軽量なテストパイロットでの性能を検証することが彼の役割だ。
また、私の後ろにももう一台の固定車体が存在する。こちらもパナソニックのフレームを持つ。ただしカラーリングは“ヘビメタ柄”だ。「相方号」と呼ばれるこの車体では長身テストパイロットでの性能を検証する予定だ。
そして私が乗るのがこの「スチームローラー号」。私の役割は“重量級”テストパイロットの場合の性能検証だ。世の中の“重量級”自転車乗りの期待を背負っていると感じながらこの実験に参加できる、ということはまさに名誉以外の何物でもない。
さあ、登りが始まる。現在の時速は20km/h台の後半。ペダルが徐々に重みを増していく。
もしもロードだったらこの段階から段々とギアを軽くしていくことになるのだが、今の私にはその選択肢はない。
果たしてもっともっと重くなること確実なこのペダルに私の両足は耐えられるだろうか。峠では不利なはずの重量級として最後まで自転車の上にいられるだろうか…。傾斜とともに不安もつのる。
実は、重量級なのは私の肉体だけではない。この「スチームローラー号」も実は結構重量級だ。クロモリフレームは確かにちょっと重めなのが一般的なのだが、このフレームとフォークはその平均よりも重めだ。合わせて3kgほどの重量は峠では充分なオモリとなることは間違いない。今回同伴する実験監視部隊に所属する「デローザ号」や「ルック号」らの超軽量フレームとは大きな違いがある。実は結構悲観的な要素が揃っているのだ。
まぁ、そんなことはもはやどうでも良い。私の役割は重量級として恥ずかしくない走りをすることだけだ。
前方の軽量な「bugalu号」の方はどうやらまだまだ快調のようだ。ちょっとした登りなどものともしない勢いでコンスタントに疾走し続ける。彼の心拍数をここではモニターできないので状況を知るすべはないが、調子の良さそうな走りに見える。ケイデンスが速くないのであまりスピードが出ているようには見えないが、実は決して遅くはないスピードだ。
斜度が増して行く。
いよいよ本格的な登りのはじまりだ。
“本格的な登り”とは言っても、ここは大垂水峠なのでせいぜい4~5%の斜度でしかない。慣れたロードバイク乗りなら鼻歌まじりに登ってしまうような斜度かもしれないが、私が初心者だったころにはこれでも随分とキツい登りに感じたものだ。まして今私が乗るのはギア比3以上の固定車体。まだまだ甘く見ない方がいい。
大垂水峠のおなじみの風景が前方に広がる。ゆるいつづら折りが前方へと伸びる。
「bugalu号」が段々と離れていく。彼が加速しているのか、それとも私が失速しているのか、あるいは両方なのか、ゆっくりとだが、確実に彼との距離が開いていく。手が届きそうだけれども絶対に追いつくことはできない…といったなんともやるせない速度差が「bugalu号」と「スチームローラー号」を隔てていく。
ペダルが重い。わかっていたとは言えペダルが重い。
シッティングだけで対応するのは私には荷が重い。早速ダンシングを織り交ぜながらだんだんと“苦行”になりつつある登坂を続ける。
話はちょっと逸れるが、最近はダンシングがだんだん楽しくなってきた。ある“中年の男性”の方からの指南でちょっとしたコツを教わってから、自分としてはダンシングが効率良くなってきた感じがしている。
実際のところはどの程度効率が良くなったのか(あるいはあまり変わっていないのか)を知るすべはないが、この“効率ダンシング”を簡単に説明すると、足首を比較的立てながらクランクのもっと前の方に力をかけて行くようにする感じだろうか。こうすると自転車の進みが良くなる感じがする。そしてダンシングの持久力が高くなる感じがする。
おかげで私は結構ダンシングを多用するようになった。今回の実験でもこのことは大きなプラスになるかもしれない。なんと言っても重いギアを踏むにはダンシングの方が私にはラクに感じられるからだ。
前方の「bugalu号」はかなり小さくなってきた。そして後方からは随伴の監視部隊のギア付きロードバイクたちが私を追い越して行く。
「お~い、1枚でいいからギアをくれ!」
私はそう叫んだ。
10段や11段もあるギアなら、そのうち1枚や2枚を人にあげたってなんということはないはずだが、もちろんそんな望みに応えてくれる人などいるはずもない。世の中はやはり不公平なものだ。ギア付きのロードバイクたちは、これ見よがしに(?)クルクルとクランクを回しながら前方へと駆け上がっていく。
さあ、ちょっとした孤独な戦いの始まりだろうか。
ペダルの重さは実際問題、かなりのものだ。これがロードバイクに乗り始めて間もない頃だったら、どうだっただろう…。もはやこれまで…そんなレベルに達しているのかもしれない。
頂上まで残りの距離は2kmほど。峠の2kmは平地の2kmとはワケが違う。まだまだ余裕をなくしてしまったわけではないが、この先どこまでもつかは全くの未知数だ。
私は残りの距離を頭の中で計算しはじめた。計算すると余計に距離を感じてしまうのがわかっているのに、やはり計算せずにはいられない。自分の脳がこの行為を“苦行”だと感じはじめた最初の兆候が現れたことになる…。
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さてさて、頂上まではまだまだ遠い。
久しぶりの記事だけれども、あまりに長くなりそうなので、やっぱり【次回へ続く】になってしまった…。
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