試練を超えて〜クランク・クエストの次に待ち受けるもの
【自転車組み立てぼうけんの書 第一章 その2】
さて、FSAのSL-Kと呼ばれるカーボンクランクをキャノンデール・システムシックスに取り付けたは良いが、どうも何かがおかしい…。回転が非常に渋い。明らかに何者かが私の軽快なペダリングへの道を妨害している!!!
と、ここまで前回のブログで書いた。
これが装着されたクランク。一見完璧に取り付けられているように見えるが…
ピンチだ。
いきなりの危機的状況だ!
外から見る限りにおいてはパーフェクトに取り付けられたクランクセットなのだが、それは魔物の怨念か、はたまた私の技術不足か、あるいは痛恨の不良品なのか……どうにも理解不能かつ暗黒の洞窟の底のような状態に私は陥っていた。
だが、ここががんばりどころ。負けるわけにはいかない!
私はまだまだ未熟な自らの知恵を振り絞って(そう、いまだレベル1なのだ。自転車組み立てぼうけんの書においては…)、この窮地を脱すべく解決法を模索しはじめた。
まずは、クランクが何かに干渉していないか、入念にチェックする。
大丈夫だ。
どこにも干渉していない。
と、なると、犯人はBB関連の可能性が高い。
ということは、つまり、やり直し?
思わず深いため息をつくと、私は再びトルクレンチを手に取った。
自転車組み立てぼうけんの書には「近道」などというコトバはないのだ。
できてなかったらやり直すまで。
そう腹をくくると、せっかくきれいに取り付けられた(ように見える)クランクの取り外し作業に入った。
まずは左側のクランクを取り外す。力を入れ、さきほど込めた「魂」を徐々にリリースしながら、取り付けとは逆のプロセスでネジを緩めていく。
今度は右クランク。手で引っ張るだけで軽く抜ける。問題ない。特に何かが破損している様子もない。ほっと胸をなで下ろす。
そして問題のBBだ。
「左は正ネジ。右は逆ネジ。」
この言葉を念仏のように唱えながら私はBBレンチに仕事を託す。
BBが外れた。
MegaExoと呼ばれるそれは、シマノのBBとほとんど同じ仕様だ。色が若干豪華仕様になっている他はほとんど瓜二つと言っていい。
だが、ここでさきほど行った重量計測のときの疑念が私の脳裏をかすめる。
そう、私はクランクセット取り付け前にパーツの重量を計測していたのだ。
FSAのクランクとBBだけでなく、すでに所有していたシマノのアルテグラSLのBBの重量も計測していた。
これがそのときの証拠写真。左がシマノのアルテグラSLのBB。右がFSAのMegaExo BB。実はかなり重量が違う。その差は驚きの45グラム!!! シマノのBBの方が遙かに軽い!
私は2つのBBの重量差に驚き、微妙な心の引っかかりを覚えながらも、その疑念を晴らすことなく、さきほどは作業を進めて行ったのだ。
もしかしたらこれは何かあるかも…というちょっとしたインスピレーション、つまり「天の啓示」のようなものが私の脳内でフッと浮かび上がる。
確信はない。むろん自信などあるはずもない。
私は2つのBBをちょっとバラしてみる。
理由などない。ただシマノのBBとFSAのメガエグゾと呼ばれるBBの違いを検証する必要がある…と感じただけだ。
これが何かのヒントになるかも…などというメカニックとしての冷静な読みなどあるはずもないから、つまりはやけっぱちの無意味な検証作業である可能性はかなり高い。
だが、この一見無意味とも思える「BBの違い究明作戦」は意外な成果を生むことになる。
結論から言うとこんなパイプがFSAのボトムブラケット(BB)の中には入っていたのだ。もちろんシマノのBB内にはそんなものは入っていない。
これがFSAのメガエグゾBBの中に最初から入っていたパイプ。これだけで重量は28グラム。このパイプを除くとFSAのBBの重さは108グラムとなる。つまりカタログ値と一緒!だ。(だから実際のシマノのBBとの重量差は実は17グラムに縮まる。)
私はこれは当然必要なものだと考え(最初から入っていたのだから普通はそう思うでしょ?)、このパイプも一緒に組み込んでしまっていたのだ。
これって必要なの?
私はネットからダウンロードしたFSAの説明書を見る。あまり丁寧なマニュアルではないが、その図の中にはこのパイプは一切登場していない。(「Middle Spacer」という部品は出てくるがそれはもうひとつこれより外側のパイプを指しているようだ。)
例のPark Toolのマニュアルも見たがここにもこんなパイプは全く登場していない。
つまりこれはどういうことだ……???
シマノのBBにはこのようなパイプはもちろんない。左右のベアリングユニットと中央の軽量なパイプのみ。その内側にはこんなややこしいパイプははじめから存在していない。
不要なもの?……だとしたらこれなしでもう一度組んでみたら?
このパイプに関してネットをさらに検索してみたが、それらしい情報は出てこない。
私には100%の確信などないが、いずれにせよこのままではらちがあかない。
これはやってみるしかない!
そう素早く決断すると、私はこの“謎のパイプ”なしの状態で再びクランクを組み直すことに決めた。
私はBBレンチを手に取り、ふたたびキャノンデールSystemSixへと向かう。
「今度はうまく行きますように…」
-+++-+++-+++-+++-+++-+++-+++-+++-
二度目のクランク装着作業が終了した。見た目的にはさきほどと全く同じだ。完璧に取り付けられている。
私はおそるおそるクランクを手で回してみた。
もしもこれでダメだったら、「痛恨の不良品」説が有力になってしまう。となると今後の組み立て計画が大幅に狂ってしまう。年始にはテストライド!という密かな目標も叶わぬ夢となってしまう…。
「……」
「!」
「♪♪♪!」
「♪♪♪♪♪♪!」
軽い。軽い!そう、クランクが明らかに軽くなった! 変な干渉音もない。さっきより全然楽に回る!
「これってOK?」
私はもう一度勢いよくクランクを手で回す。
やはりきれいに軽快にクランクは回る!
「やった!」
正直、疑念が完全に晴れたわけではない。一体このパイプは何だったのか?
もしかしたら何らかのシチュエーションでは必要なものなのか? 完全にそれが究明できたわけではない。(まぁ今後の隠れテーマということだな…)
しかし、まずは軽快に回るクランクが装着されたことには疑う余地はなかった。
このことは後でもっと詳しく究明するとして、クランク取り付けはとりあえず終了だ。次の段階へとまずは進んで行こう。
私はそう決めると、脇に置いてあったアイスカフェオレ(そう、冬なのにアイスカフェオレなのだ。)をぐいと飲み干した。
と、ほどなくしてどこからともなく不思議な音楽が聞こえる。
チャラララッチャッチャッチャーン!
どうやらばいくすはレベルが上がったようだ。
経験値が加算されたらしい、レベル2になった。
+---+---+---+---+---+
その晩のこと、私はちょっとコンビニに買い物に出た帰り、やはり魔物たちとバトルになった。
今回はHPもたっぷりあるので前回のような苦戦はしない。たったの2発で敵をしとめると、期待した通り、魔物たちは宝箱を落としていったのだ。
私はおそるおそる中身を確認する。
「!」
「こ、これは私が欲しかったもの!」
以下はそのときの証拠写真である。
おおぉ!ついに登場した2010年型スラムForceダブルタップレバー。さぁここからがいよいよ本番だ!
[ 前の記事へ | 次の記事へ ] [ 自転車で糖尿病を克服した!目次 ]
さて、FSAのSL-Kと呼ばれるカーボンクランクをキャノンデール・システムシックスに取り付けたは良いが、どうも何かがおかしい…。回転が非常に渋い。明らかに何者かが私の軽快なペダリングへの道を妨害している!!!
と、ここまで前回のブログで書いた。
これが装着されたクランク。一見完璧に取り付けられているように見えるが…
ピンチだ。
いきなりの危機的状況だ!
外から見る限りにおいてはパーフェクトに取り付けられたクランクセットなのだが、それは魔物の怨念か、はたまた私の技術不足か、あるいは痛恨の不良品なのか……どうにも理解不能かつ暗黒の洞窟の底のような状態に私は陥っていた。
だが、ここががんばりどころ。負けるわけにはいかない!
私はまだまだ未熟な自らの知恵を振り絞って(そう、いまだレベル1なのだ。自転車組み立てぼうけんの書においては…)、この窮地を脱すべく解決法を模索しはじめた。
まずは、クランクが何かに干渉していないか、入念にチェックする。
大丈夫だ。
どこにも干渉していない。
と、なると、犯人はBB関連の可能性が高い。
ということは、つまり、やり直し?
思わず深いため息をつくと、私は再びトルクレンチを手に取った。
自転車組み立てぼうけんの書には「近道」などというコトバはないのだ。
できてなかったらやり直すまで。
そう腹をくくると、せっかくきれいに取り付けられた(ように見える)クランクの取り外し作業に入った。
まずは左側のクランクを取り外す。力を入れ、さきほど込めた「魂」を徐々にリリースしながら、取り付けとは逆のプロセスでネジを緩めていく。
今度は右クランク。手で引っ張るだけで軽く抜ける。問題ない。特に何かが破損している様子もない。ほっと胸をなで下ろす。
そして問題のBBだ。
「左は正ネジ。右は逆ネジ。」
この言葉を念仏のように唱えながら私はBBレンチに仕事を託す。
BBが外れた。
MegaExoと呼ばれるそれは、シマノのBBとほとんど同じ仕様だ。色が若干豪華仕様になっている他はほとんど瓜二つと言っていい。
だが、ここでさきほど行った重量計測のときの疑念が私の脳裏をかすめる。
そう、私はクランクセット取り付け前にパーツの重量を計測していたのだ。
FSAのクランクとBBだけでなく、すでに所有していたシマノのアルテグラSLのBBの重量も計測していた。
これがそのときの証拠写真。左がシマノのアルテグラSLのBB。右がFSAのMegaExo BB。実はかなり重量が違う。その差は驚きの45グラム!!! シマノのBBの方が遙かに軽い!
私は2つのBBの重量差に驚き、微妙な心の引っかかりを覚えながらも、その疑念を晴らすことなく、さきほどは作業を進めて行ったのだ。
もしかしたらこれは何かあるかも…というちょっとしたインスピレーション、つまり「天の啓示」のようなものが私の脳内でフッと浮かび上がる。
確信はない。むろん自信などあるはずもない。
私は2つのBBをちょっとバラしてみる。
理由などない。ただシマノのBBとFSAのメガエグゾと呼ばれるBBの違いを検証する必要がある…と感じただけだ。
これが何かのヒントになるかも…などというメカニックとしての冷静な読みなどあるはずもないから、つまりはやけっぱちの無意味な検証作業である可能性はかなり高い。
だが、この一見無意味とも思える「BBの違い究明作戦」は意外な成果を生むことになる。
結論から言うとこんなパイプがFSAのボトムブラケット(BB)の中には入っていたのだ。もちろんシマノのBB内にはそんなものは入っていない。
これがFSAのメガエグゾBBの中に最初から入っていたパイプ。これだけで重量は28グラム。このパイプを除くとFSAのBBの重さは108グラムとなる。つまりカタログ値と一緒!だ。(だから実際のシマノのBBとの重量差は実は17グラムに縮まる。)
私はこれは当然必要なものだと考え(最初から入っていたのだから普通はそう思うでしょ?)、このパイプも一緒に組み込んでしまっていたのだ。
これって必要なの?
私はネットからダウンロードしたFSAの説明書を見る。あまり丁寧なマニュアルではないが、その図の中にはこのパイプは一切登場していない。(「Middle Spacer」という部品は出てくるがそれはもうひとつこれより外側のパイプを指しているようだ。)
例のPark Toolのマニュアルも見たがここにもこんなパイプは全く登場していない。
つまりこれはどういうことだ……???
シマノのBBにはこのようなパイプはもちろんない。左右のベアリングユニットと中央の軽量なパイプのみ。その内側にはこんなややこしいパイプははじめから存在していない。
不要なもの?……だとしたらこれなしでもう一度組んでみたら?
このパイプに関してネットをさらに検索してみたが、それらしい情報は出てこない。
私には100%の確信などないが、いずれにせよこのままではらちがあかない。
これはやってみるしかない!
そう素早く決断すると、私はこの“謎のパイプ”なしの状態で再びクランクを組み直すことに決めた。
私はBBレンチを手に取り、ふたたびキャノンデールSystemSixへと向かう。
「今度はうまく行きますように…」
-+++-+++-+++-+++-+++-+++-+++-+++-
二度目のクランク装着作業が終了した。見た目的にはさきほどと全く同じだ。完璧に取り付けられている。
私はおそるおそるクランクを手で回してみた。
もしもこれでダメだったら、「痛恨の不良品」説が有力になってしまう。となると今後の組み立て計画が大幅に狂ってしまう。年始にはテストライド!という密かな目標も叶わぬ夢となってしまう…。
「……」
「!」
「♪♪♪!」
「♪♪♪♪♪♪!」
軽い。軽い!そう、クランクが明らかに軽くなった! 変な干渉音もない。さっきより全然楽に回る!
「これってOK?」
私はもう一度勢いよくクランクを手で回す。
やはりきれいに軽快にクランクは回る!
「やった!」
正直、疑念が完全に晴れたわけではない。一体このパイプは何だったのか?
もしかしたら何らかのシチュエーションでは必要なものなのか? 完全にそれが究明できたわけではない。(まぁ今後の隠れテーマということだな…)
しかし、まずは軽快に回るクランクが装着されたことには疑う余地はなかった。
このことは後でもっと詳しく究明するとして、クランク取り付けはとりあえず終了だ。次の段階へとまずは進んで行こう。
私はそう決めると、脇に置いてあったアイスカフェオレ(そう、冬なのにアイスカフェオレなのだ。)をぐいと飲み干した。
と、ほどなくしてどこからともなく不思議な音楽が聞こえる。
チャラララッチャッチャッチャーン!
どうやらばいくすはレベルが上がったようだ。
経験値が加算されたらしい、レベル2になった。
+---+---+---+---+---+
その晩のこと、私はちょっとコンビニに買い物に出た帰り、やはり魔物たちとバトルになった。
今回はHPもたっぷりあるので前回のような苦戦はしない。たったの2発で敵をしとめると、期待した通り、魔物たちは宝箱を落としていったのだ。
私はおそるおそる中身を確認する。
「!」
「こ、これは私が欲しかったもの!」
以下はそのときの証拠写真である。
おおぉ!ついに登場した2010年型スラムForceダブルタップレバー。さぁここからがいよいよ本番だ!
[ 前の記事へ | 次の記事へ ] [ 自転車で糖尿病を克服した!目次 ]
