1980年 今から約30年前
とある中学校の技術家庭科で
小さな工作キットが教材に使われた。

その名は「首振りエンジン」
(空気で動くオシレーティング エンジン)
エンジンの基本動作を学ぶ製作キットであった。

本来はボイラーと組み合わせ、高温高圧蒸気を使用し
ピストン運動を回転運動に変換する簡易エンジンなのだが、
安全を考慮し空気ポンプやドライアイスの低圧気体でも
動くように設計。
教材として、素材も金属から樹脂に改良されたものであった。

当時の中学生にとっても、プラスティックや
アクリルの加工は難しいものではなかったが
給排気のタイミングやクリアランス等、難関も多かった。
 教師の手によるエアーコンプレッサーで、
エンジンとして合格した物は約7割であった。

各家庭に持ち帰られたエンジンは せいぜい
模型の動力部として再利用?されるはずであったが
肝心なものが不足していた。

当時はまだ、炭酸飲料の小型ペットボトルも存在せず、
サーティワン アイスクリームも近所になかった。

 中学生にはドライアイスの入手も困難であったため
安定した圧縮空気の供給機関が作れなかったのだ。
(ペットボトルの中にドライアイスのかけらと水を入れ
パイプをつけたキャップをかぶせれば
炭酸ガスの発生装置が出来上がる)


「首振りエンジン」は日の目を見ることもなく
いつしか忘れ去られていった。

つづく