《 100年前の霧箱が教える福島処理水の安全性問題 》

 

 先週、仕事の関係で40人程の人を連れて「国立科学博物館」を見学してきました。

 

 上野にあるこの博物館は「地球館」と「日本館」に分かれていて、宇宙・地球・日本の歴史とそこにすむ生物や生活について、様々な展示がされています。

 

 地球館の地下3階には、知る人ぞ知る宇宙線検出装置の「霧箱」が設置してあり、福島原発の処理水のトリチウムを理解するのに有効だと思ったので、降りて来るメンバーを見つけては説明をしていた。

 

 霧箱とは、100年以上前に天文学者のウィルソンが発明した「アルコールの蒸気を利用して宇宙線の軌跡を見る装置(縦横1m、厚さ10cm程度の箱)」で、箱の底が黒くなっているので、宇宙線(アルファ線、ベータ線、ミューオンなどの荷電粒子)がこの箱の中を通ると、飛行機雲と同じように白い線になって見える。

 

 福島の処理水に含まれるトリチウムは、水素原子の同位元素で、低エネルギーの電子(ベータ線)を放出してヘリウムに変わるが、そのベータ線と同じものをここで見ることができる。

 

 動画は、国立科学博物館が提供するものだが、糸くずの様に現れては消える白い線(宇宙線)を見ることができる。また、地下3階と地上ではこの宇宙線の量が桁違いに違うことを説明し、さらに人間にとってこの宇宙線を適度に浴びることは必要なことだという説明までされていて非常に興味深い。

 

 博物館の霧箱にはCCDカメラが付いていて、この軌跡の長さや形から荷電粒子の種類をAIで判別しモニター上に表示してくれていたが、メンバーは地下3階の少ない量の宇宙線でも「こんなに飛んでいるのに人間には影響ないんだ」と言っていたから、地上レベルの話を聞いたらもっと驚いていたと思う。

 

 知る人ぞ知る「ウィルソンの霧箱と宇宙線の軌跡」だったが、この話が面白いと思ったら是非「上野の国立科学博物館」に行って見てみて下さい。

65才以上は入場無料ですし、他にも興味がもてるものが必ずあると思いますから。