京都のお誂え草履の老舗
祇園ない藤さんへ。
ない藤さんのホームページを
拝見すると
実に美しい表現にあふれています。
人は花。
はきものは御身を生かす器。
身体を受け止める器である装履は、
大地と人の間だけでなく、
人と人の関係においても、
拠るべき「座」としての
役割
を果すのです。
そうしてお一人お一人に合わせて
誂えさせていただく履物は、
「足裏が酔う」フィット感
と評判いただいております。
確かな技を持ち情熱を秘めた
職人が
日々を心豊かに、感謝の気持ちを持って
暮らす中で工夫や美意識が育まれます。
その心づくしの手仕事が、
美しい日常の名品に
時を超える命を 吹き込むのです。
読んだだけで日常が彩られていくような
気がしませんか？
ない藤さんを知ったのは
着物の師匠の草履を
見せていただいたときでした。
何十年もお履きになっているのに
新品のように美しい。
師匠は
「見えないところこそ大事。
私は草履を脱いだら
すぐに表も足底も拭くんですよ。
歩くときは、
草履に絶対傷がつかないようにと
思います。
そうすると、歩き姿も美しくなるの。」
オーダーメイドの
お草履のお値段を伺って
わたしにはまだまだ先のこと、、
いつかその時が来たら
と、思っていましたが
いつかっていつ？
今がその時じゃない？
と思い始めたら
主人がプレゼントしてくれることに
なりました！
そこで、師匠の30年来の
御用達の老舗のない藤さんを
ご紹介いただいて
思い切って伺ったというわけです。
お出迎えくださった女将様は
それはそれは
竹久夢二の絵のように
はんなりと楚々とした肌の美しい方でした。
鼻緒を選ぶのに
奥と行ったり来たり
立ったり座ったり。
着物を着ているのに
素早い身のこなしに
驚きです。
その素早さを可能にしているのが
ゆったりとした着付けなのかしら。
お姿が粋です。
なんとかして
目の前の方にぴったりのはきものを
選んで差し上げたい！
そんな
お志事に対する
情熱が溢れていらっしゃいました。
鼻緒と台の色を選ぶとき
オーダーだから
洒落たもの
変わったものをと思ってしまいます。
でも実際に足にあててみると
なんだかチグハグ。
結局
とってもシンプルな色なのに
華やかさも一際引き立つ
上品なお草履を
オーダーしました。
仕上がりまで通常二ヶ月かかります。
師匠は仰います。
「待つことは最大の贅沢。
なんでもすぐ手に入る時代。
待つことは稀になったけれど
私は自分だけのお草履が
手元にくるまでの
時の流れを楽しみます。」
ない藤さんのお草履は
ゆっくりと
日々美しさをまといながら
花嫁修業をして
一番美しい姿で嫁いでくるんですね。
待つという贅沢があることを
教えていただきました。
時を超える命が吹きこまれた
お草履。
履き初めの日も決まりました。
あとは
私のために誂えられた
お草履を
シンデレラの気持ちで待ちます。
人生が変わるキッカケになる
あっと言う間に綺麗になる
美の本質がわかる