【あ】あのこはいつまでも | 言葉の羅針盤~人生・起業の悩み解決

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あいうえおエッセーを書くことにした。

「あ」から順番に書いていく。

今日は、「あ」


「あのこはいつまでも」




あのこは、とても小さかった。

とても人なつっこかった。

足もとにからみついて、どこまでもついてきた。


しばらくすると、少し逃げるようになった。

小学生たちにいじめられたんだろう。

それでもまだ人なつっこいところがあって、

まよいながら私についてきた。


私は猫は嫌いだった。

家の中が毛だらけになるし、猫のかわいさが

よくわからなかった。


それが、どうしたわけだろう。

あの子が気になった。

冬で、猫風邪にやられて、目はぐちゃぐちゃだった。

ちっともかわいくなかった。


寒さがきつくなってくると

あの子が心配になった。

「ええい、わかった、飼うよ」


私はあの子を家に入れた。

あの子は小さく見えたけれど、妊娠していて

子どもが三匹生まれた。

里親をさがして、二匹の仔猫と別れた。


残った甘えん坊の雄猫に

よく威嚇していたね。


あの子をぎゅっと抱いて、乗りこえられたことが

たくさんあった。


あの子の具合が悪くなった夏頃

私は私のことでいっぱいだった。

あの子の猫風邪は出会った時からひどくて

薬でなんとかおさえていた。

だから、薬を飲んでいればいいと思っていた。


秋になって

ふと姿が見えなくなることがあった。

「みいがいないんだけど」

「え、いたよ」

下の子が言った。


そんなことが何度かあった。

夏より具合はよくなっていると思っていた。


そして秋を越え、姿が見えなくなった。

探しても探してもみつからなかった。


あの子は野生が強かった。

私は覚悟した。


そして、長男が帰ってきた次の日、

あの子はみつかった。

そこも探したはずだったのに。


あの子の姿はきれいで、安らかだった。

きっと、大好きだった長男を待っていたんだ。

長男は優しくて、いつもひざにおいてあげていたから。


庭のはしに、家族であの子を埋めた。

お線香を焚き、花をそえた。


残った雄猫は、あの子の姿がみえなくなってから

あの子の性質をだしはじめた。

子どもの雄猫に、きっと魂の一部をのこしたんだね。


そして私のなかにも、あの子の魂の一部が残っている。

あの子は、いつまでもいる。

私と一緒に。


みい

ではまたね。