てちりさの妄想小説です。
両片想いのてちりさです。




りさside




『家に行っていい?』




仕事を終えて帰宅して、テレビでも見ようかなとソファーに腰を降ろした時だった。


文面とその相手を確認して、顔がにやけてしまう。



『待ってる』


なんかあった?とか、理由は聞かない。
私も顔を見たいと思ったから。それだけでいいんだ私達は。



私にとってはずっと可愛い末っ子。でもきっと、それだけじゃない。



そういえば、ずいぶん前もこんなふうに、突然家にきたことがあったなぁ。





ピンポーン

『いらっしゃい、平手』

『りさ、久しぶり』

こばの卒コンぶりに会う彼女を、ハグでお出迎え。

嬉しそうにぎゅっと後ろに腕を回す平手が愛おしい。


『さ、入って』

『ありがと』

私の後ろをとことこ歩く彼女。


さっきまで私が座ってたソファーにぽふっと座り、転がっていたクッションを抱いている。


『あっ』

『りさ、お土産。急に来たからっ』


鞄からごそごそ出してきたコンビニのスイーツとジュース。

『ふふっ気を遣わなくて良かったのに』

『でも…めーわくかなって』

『ううん、連絡くれて嬉しかったよ』

『そっかぁ。へへへっ』


気恥ずかしそうに笑う君。


久しぶりに会ったからって、お互いそんなにおしゃべりな訳じゃないから。

近況とか他愛のないことを、ぽつぽつと交わすぐらいだけど、彼女とはそれが心地良い。



『そういえば平手、ゲームの仕事してたね』

『うん。』

『グローバルモデルって凄いじゃん』

『う~ん。。よくわかんない(笑)』

『そっか(笑)』

『CMも見たよ。女騎士カッコ良かった』

『剣なんか持ったことなかったから、大変だった』

『ほんとお疲れ様』





『平手がまた歌ってるの聴けて、嬉しかった』

『平手の歌声、好き』


『私の声、好き?』

『うん。ちょっと低くて落ち着く声』





『…ねぇ、りさ。。好きなの、声だけ?』



『…えっ?』


『ううん、なんでもないっ。忘れて』


一瞬寂しそうな顔で笑った彼女。

何か期待するような、そんな瞳と目が合って、思わず逸らしてしまった。





ーーーーーー


ゆりなside



まだ私達が欅だった頃。。




あの頃の私はグループをはなれて1人、『響』の撮影をしていた。


撮影で仲良くなったふみは、私のことを良く理解してくれたし、共感してくれる存在で嬉しかった。

北川『ひーちゃんお疲れ様』

『ふみ、お疲れ様~』


なんてことない話をして、たまに真面目なお仕事の話もして…

2人でラインもたくさんして。



初めての本格的な演技の仕事は充実してて楽しかった。






でも、ある時。すごく寂しくなった…




北川『ひーちゃん。最近ちょっと上の空だね』

『うん……』

北川『そういう時はね、気分転換するといいよ』

『気分転換?』


北川『そう。一緒にドライブ行こうか?それともカフェがいい?』



『う~ん……』




北川『ひーちゃんさ、会いたい人、居ない?』



『会いたい人…』



何でだろう…ふみの『会いたい人』の言葉に、りさの顔が浮かんだんだ。


『………居るっ』


北川『ふふっ、そっか。連絡取ってみれば?』


『でも、、めーわくじゃないかな?』

グループをはなれて別々の活動をしてる今。尚更迷惑を掛けるんじゃないかなんて思ってしまう…



北川『そういうの、杞憂って言うんだよ』

『杞憂……』

北川『私だったら、ひーちゃんから会いたいって言われたら、喜んで飛び上がっちゃうなぁ』

『ふみってば(笑)そういうノリ好きっ』

北川『うん(笑)だからさ、連絡取ってみたらいいのっ!』

『うん、分かった』





『家に行っていい?』




りさにラインを送る。しばらく経って見てみると、『おいで』って返信が来てて、静かに喜んでたら隣のふみがニヤニヤしてた。

北川『良かったね、ひーちゃん(笑)』

『ねぇ、ちゃかさないで~』

北川『ごめんごめん。明日の撮影終わったら行っておいで。スケジュール空いてたでしょ』

『うん』



ーーー

次の日。


『りさっ、久しぶり』

『平手~。久しぶり~』

玄関先でぎゅって抱きしめてくれるりさ。


久しぶりのぬくもりと彼女のにおいにホッとする。


温かい紅茶をいれてくれて、一緒にソファーに座る。整理整頓された部屋は、綺麗好きな彼女らしくて居心地が良い。


『映画の撮影、どう?』

『う~ん、まあまあかなぁ』

『そっか』

『はじめての人ばっかだときっと緊張するよね』

『うん。でもふみと仲良くなったよ』

『ふみ?』

『あっ、えっと、北川景子さん』

『えっ?!平手、北川さんと仲良くなったの!?凄いじゃん!』

『なんか、たぶん気を遣って最初はふみから沢山話し掛けてくれた』

『ふふふっ。平手は人見知りだもん』

『りさだって人のこと言えないじゃん(笑)』

『あはは(笑)お互い様だね。私達も初めてちゃんと話したの、結成からずいぶん経った頃だったよね』

『うん。あんまり覚えてない。ちゃんと話したの、たぶんセカアイの頃かもしれない』

『『遅っ(笑)』』

『『あははははっ』』


懐かしい話で2人笑って。



『撮影がほとんど一緒で、話してるうちに、ふみと仲良くなったの』

『分かるなぁ。平手のこと知れば知るほど、仲良くなりたいと思うし、きっと好きになるもん』

『そうかなぁ…うふふっ』


メンバーと過ごす時、私達ってずっと隣に居る訳じゃないけど、それでも悩んだ時や辛い時、気付いたら傍にりさが居てくれた。




『肩、借りてもいい?』


肩に頭を寄せるとふんわりと微笑んでくれる。



貴方と居ると安心して、自分を取り戻せる気がしたんだ。


『好きなだけ、そうしてな』

『ん。』

目を閉じて、彼女の優しさに包まれる。





きっと、会いたくなったのは。




このぬくもりが、優しさが、恋しくなったから。

 


あぁ、なんだ私、りさのことが好きなんだ。



自分の恋を自覚する。




そのまま寝てしまった私をベッドに運んでくれたりさ。次の日も他愛もない話をして、りさの家を後にしたんだ。




ーーーーーー



りさside



あの日と同じように、お泊まりをすることになった平手。先にお風呂に入れて考え事をする。


さっきの言葉が頭の中をぐるぐるする。



『好きなの、声だけ?』




そんなの、声だけじゃない。



昔からずっと変わらない優しさも、見えないところで誰よりも努力しているところも、その繊細さも、自分をうまく愛せないところも、赤ちゃんのような可愛い顔も…


全部ひっくるめて。


言い出したらキリがないぐらい。



『好きだよ、平手』



平手は私のこと、どう思ってるんだろう…




『りさぁ、上がったよ~』

『あっ、おかえり。髪濡れてるじゃん』

『ドライヤーめんどくさいんだもん』

『ダ~メ。やったげるからおいで』

『うん。ありがと』

肩より下に伸ばした艶やかな髪。小さな頭。

『熱くない?』

『ん。きもちい』

『うふふ、可愛い』



『はい、おしまい。私お風呂入ってくるね』

『ありがとりさ!』

『んー。はーい。』

最近の彼女はずいぶんと大人っぽくなって、『可愛い』よりも『綺麗』が似合うようになった。

その瞳に捕らえられると、ドキドキしてしまうんだよ。


ねぇ、平手。さっきの言葉、どういう意味か教えて。






ゆりなside



『はぁ、絶対キモいよ私…』


『好きなの、声だけ?』なんて、言っちゃった…

変なこと言って困らせてしまった。



私はりさが好きだ。



だから、りさからの『好き』の言葉に浮かれたし、それ以上を欲しがってしまった…


『急に『家に行っていい?』なんて、普通なら断られてもおかしくないよね…』


それなのに、いつも貴方は何も聞かずに、家に上げてくれる。隣に居てくれる。


『自惚れてもいいのかな?』


りさの言葉とか表情とか見れば、嫌われてないことは分かる。好きでいてくれてることも。


でも…りさの『好き』はきっと、メンバーとしての好きだと思うから。



『気持ち押し殺してでも、一緒に居れたほうがいい』



失うくらいなら、何も伝えずこのままのほうがいいから…



『りさ、大好きだよ』



『先に寝ててもいいからね』の言葉に甘えてベッドに寝転ぶ。


自分が情けなくなって、りさのにおいに包まれながら、涙を流した。





りさside



入浴を済ませるとソファーにばぶちゃんは居なくて、おねむで先に寝室に行ったのだと笑う。

静かにドアを開けると、壁のほうを向いて寝ている平手が居た。


『ふふっ寝ちゃったか』


顔を覗き込んで驚く。


『えっ、平手?』


そこには、すやすやと眠るんじゃなくて、頬を濡らす彼女が居た。



『……………っ』



声が出ないように泣く平手の肩を、優しく撫でる。ちょっとでも落ち着くように。

今日会いたいって言ったのも、何かあったからなのかな?




『そのまま聞いてね、平手』



『私どうしたら平手の力になれる?』


『…っ………』


ふるふると首を振る平手。



『私ね……平手のことが好き。だから、力になりたいの』



撫でていた肩がピクッと動いて。




『…………………えっ?』



『……りさ…?………今、なんて?』


とまどった潤んだ瞳が、ゆっくりとこちらを向く。




『好きだよ、平手』




『だからずっと平手の力になりたかった。欅の頃も今も…』

『あの頃だって…苦しんでる平手が居たの知ってたのに、、私が弱くて頼りなかったから支えてあげられなかった…』


『違うっ!!』



『りさはずっと私を支えてくれた、心細い時傍に居てくれた、みんなと離れてた時も会いたくなったのはりさだった!』

『だから私っ、りさのことが、好きだよ!』

『でも、私なんかがって、ぐすっ、この気持ち、伝えてダメになっちゃうぐらいなら、一生伝えなくて良いって…ぐすっ、、辛かった…』


しまいこんでいた思いの丈を、泣きながら、健気に伝えてくれる彼女が愛おしくて、正面からふんわり抱きしめる。この愛おしさが伝わるようにぎゅ~っと。



『りさっ……りさぁ……』



『よしよし。ありがとね平手。ずっと好きで居てくれて』


『うんっ…ぐすっ、うんっ』




『りさも、ありがとっ。好きになってくれて』

私の手を取ってにぎにぎながら、言葉を紡いでくれる。ほんと赤ちゃん。可愛過ぎて潰したくなっちゃう。


『ふふっ可愛い。これからは覚悟しといてよ、私の愛は重たいからね』 

『んふふ。いーよ、りさなら』


安心したのか、ふぁ~っと大きなあくびをする平手を、腕の中に納めて、目を閉じる。


『もう寝ようね。おやすみ平手』

『んぅ…りしゃ、おやすみぃ……』


まどろみの中の彼女が気づいたか知らないけど。おでこに触れるか触れないかのキスをして、私も眠りについた。



明日の朝、どんな話をしよう。


今まで一緒にできなかったこと、これからたくさんしようね。


『大好きだよ、平手』





ーーーーー

てっちゃんは今どうしてるのかな?
こういう時は、欅懐古してしまうね。

あかねんのYouTube?持ち物紹介で、てっちゃんから貰ったケースをずっと使ってるって…
『え~っ覚えてるよ。まだ使ってくれてたの?』って。てちねん尊い…

欅の絆、ずっと続いてるよね。