妄想小説 続きです。
再び潤くんの車に乗り込む私。
ゆっくりと車が走り出し、うちの方へ向かう。
「なんか・・・ごめんね。変なことに巻きこんじゃって」
『ん?あー、いやいや。って、オレもまったくの部外者ってわけじゃないし』
「え?どういう・・・こと?」
『まだ気づかないかー。オレの姉ちゃん、○○ちゃんの同級生なんだけど』
「へー、そうなんだ・・・ん?松本?って、A子!?」
『当ったりー』
ニヤニヤ笑う潤くん。
「ホントに?いやーっ、全然気がつかなかった・・・」
『オレと姉ちゃん、あんまり似てないからねー。
でさ、昔っからすっげー聞かされてたの。○○ちゃんと相葉くんのこと』
「な、何て?」
『絶対お似合いの2人なのに、なんでくっつかないのー!って。そりゃもう毎日のように』
「A子ったら・・・恥ずかしいなぁ、もうーっ」
両手で顔を隠す私。
潤くんはクスクス笑いながら運転を続ける。
『オレはさ、違う高校だったから顔も知らない人達のこと言われても知らねーよって感じだったけど。
毎日聞いてるうちに気になって気になって』
「いやーっ・・・なんか、すいません。ホントに」
思わず謝る私。
『はははっ。まあ、偶然にも翔くんとバイトが一緒になったけどその時は何もできなくて。
で、最近再会してようやく○○ちゃんと知り合えたから、ここでなんとかしないとなーって思ってた』
「いやー・・・重ね重ねホントにもう・・・」
車内は涼しいくらいなのに、汗が噴き出る私。
『まあ、よくよく聞けば年齢のことだけじゃん?ネックは。
だから、それさえ何とかなればなーと思ってたけど・・・うまくいってよかったよ』
「うまく・・・いくの、かな?」
『ん?なんで?あとは、○○ちゃんの気持ちを伝えるだけでしょ?』
「だって・・・相葉は、告白の返事はいらないって言ってたし・・・
さっきのE山さんとデートしちゃってそうだし・・・私のことなんて、もう・・・」
『大丈夫だよ。ほらっ』
うちから少し離れたところに車を停める潤くん。
視線の先には、うちの前に立ってる相葉。
『何とも思ってなきゃ、あんなふうに待ってないでしょ』
「・・・ありがとう。ホントに、いろいろと」
『いーえっ。じゃあ、またね』
「うん。気をつけてね」
走り去る潤くんの車を見送ってから、うちに向かって歩き出す私。
じゃがいもと玉ねぎが重くて、うまく歩けない。
『あ・・・よぉ。遅かったな』
私に気づき、寄りかかってた塀から体を離す相葉。
「・・・何してるの?そこで」
待っててくれて嬉しいくせに、素直になれない私。
『何って・・・櫻井を待ってたんだよ。あんな別れ方したから、心配で』
「心配って・・・別に知らない人に連れ去られたわけじゃないし。
相葉こそ、E山さんとデート行ったんじゃなかったの?」
『おまえっ・・・オレが言ったこと、もう忘れたのか?』
少し怒ったふうに相葉が言う。
『オレは、好きでもない女とデートするほど暇じゃねーよっ』
「・・・ごめん」
素直に謝る私。
そんな私に少し驚く相葉。
『あ・・・いや・・・オレの方こそ、キツく言っちゃってごめん』
頭をかきながら謝る相葉。
『オレの心配は、そういう心配じゃなくて・・・。
その、櫻井が潤くんって人をあまりに”いい人いい人”て言うから・・・その・・・』
「あのね相葉、いいこと教えてあげる」
『え?何?』
「女ってね、恋愛対象になってる人を、”いい人”って呼ばないんだよ」
『え?・・・そうなの?』
「潤くんは、たしかにカッコイイと思う。優しくて料理も上手で、すごく素敵な人。
でも・・・何て言うのかな。好きっていうか、憧れの人なんだよね。私にとって」
『そうなんだ・・・ははっ、そうなんだ・・・えっと・・・じゃあ、オレは?』
「え?」
『オレのことは、どう思ってんのかなー?つって♪』
わざと明るく言って冗談ぽくする相葉。
「えっと・・・相葉は・・・相葉は、”雅紀”、だよ」
『そうじゃなくて・・・いや、間違っちゃないんだけど』
「うん。相葉は、雅紀だよ。今日から、”雅紀”って呼ぶから」
『え!?』
「・・・ダメ?」
『いや・・・ダメじゃない・・・つーか、むしろ嬉しいんだけど』
その時、遠くで花火が上がる音がする。
「花火?・・・こんな季節に?」
『ああ。そういえば今日、隣町で花火大会あるって母ちゃん言ってたなぁ』
「・・・ね。行かない?花火、見に」
『あ、ああっ。行こうかっ。あ、でも・・・今から歩いていくと終わっちゃうかも』
「大丈夫っ」
私は急いで玄関を開けて、荷物をうちの中へ入れて大声で叫ぶ。
「お兄ちゃーんっ。ちょっと出掛けてくるね!カズナリにハンバーグあげてねーっ」
『え?おいっ。どこ行くんだ?』
お兄ちゃんの言葉を聞こえないフリして、相葉の・・・いや、雅紀の元へ戻る私。
急な展開にわけがわからずキョトンとしている雅紀。
その顔がたまらなく可愛くて、涙が出そうになったのはもう少しナイショにしておこう。