妄想小説 続きです。



突然の相葉の告白に驚く私。


「・・・嘘っ」


『嘘じゃねえよっ。こんなこと、冗談じゃ言わない』


私の肩を、さらにギュッと掴む相葉。


『高校の時から・・・ずっと、好きなんだ』


思わず俯く私。


「・・・痛いよ・・・」


『あっ、ごめんっ』


パッと両手を離す相葉。

私は右手で、自分の左肩をさする。

痛いのは、掴まれた肩と、真剣に私を見る視線と・・・相葉の想い。


なんて答えていいかわからなくて、俯いたまま黙る私。

そんな私に、相葉はゆっくりと話す。


『ホントだよ・・・本気なんだ』


そう言って、自転車にまたがる相葉。


『じゃあ・・・おやすみ』


顔をあげると、相葉はもう遠くの方へ。

今まで何度も見送った後ろ姿が、今日はやけに切なく見える。





部屋に戻ってベッドに横になるとカズナリが近づいてくる。


「カズナリ・・・今、相葉にね・・・」


『うん。聞こえた』


「え!?そんなに大きい声だった?」


ビックリして起き上がる私。


『違うて。オレ、耳いいの』


そう言って、自分の耳をピクピク動かすカズナリ。

あ、そうか。犬って耳がいいんだっけ。

また横になる私。


「・・・まいったなぁ・・・」


両手で顔を覆う。


『そんなに嫌なのか?相葉のこと』


「嫌・・・じゃないよ。でも、ずっと友達だと思ってたから・・・」


『高校の時からって言ってたろ。今まで全然気がつかなかった?』


「うん・・・・・・あっ・・・1回だけ、それっぽいことが、あった・・・」


私は目をつぶって、その時のことを思い出した。





あれは高校3年の、夏。

2年生のクラスから持ちあがりで進級したので相変わらず櫻葉班でつるんでた私達。


春先、野球好きの私がポロッと


「甲子園、行ってみたいなぁ」


と呟いた言葉を聞いた相葉が


『わかった。絶対、甲子園連れてってやっかんな』


と言って、その日から今まで以上に練習を重ねていた。


そんな相葉を筆頭に他の選手も大活躍で、我が校は勝ち進んだ。


決勝戦の前日。

私は夏季補習で学校へ。グラウンドからは野球部の声が聞こえる。


補習が終わって1人教室で勉強していたら、

バタバタという足音と共に相葉が教室に入ってきた。


「相葉ぁ、お疲れ。練習終わったの?」


『あ・・・いや、今、休憩中。D太に、教室に櫻井がいるって聞いて・・・』


そう言って私の隣の、自分の席に座る相葉。

が、少し緊張した顔で俯いて黙ったまま。


(明日決勝戦だから、緊張しているのかな?)


そう思った私は、こっちから話を切り出した。


「いよいよだねー、決勝戦」


『あ、ああ・・・』


「ね、甲子園のアルプススタンドってすごい暑いんだってねー。日陰もないし焼けるよね。


 日焼け止め、しっかり塗らなきゃなー」


『・・・気が早ぇな。まず、決勝を勝たなきゃだろ?』


「え。だって、甲子園、連れてってくれるでしょ?」


『そうだけど・・・いや、普通ここは、”決勝戦がんばってね”じゃない?』


「普通はそうだろうね・・・でも私、がんばってる人に”がんばって”って言えない」


私の言葉に、ちょっとビックリする相葉。


「私は相葉が、どんなに努力してきたか知ってる。雨の日も風の日も、いつも練習してた。


 そんな相葉に、簡単に声をかけられない。ただ1つ言えるなら・・・”信じてる”、かな」


私の言葉に、小さく頷く相葉。


『・・・ありがとう』


いつもの相葉スマイル。


(よかった。緊張ほぐれたみたい)


ホッとする私に、今度は相葉が話を切り出す。


『あのさ・・・明日って花火大会じゃん?』


「あ、そうだね」


地元で開催される大きな花火大会。

去年は櫻葉班で行ったけど・・・


『今年は、集まれないんだよね』


「うん。B美とD太はそれぞれ彼氏彼女できたし。


 A子は田舎のおばあちゃんち。C男は予備校の勉強合宿でいないし」


『だからさ、決勝で勝ったら・・・一緒に行かない?・・・2人で』


「え!?」


思いがけない言葉にビックリする私。

顔を赤くして俯く相葉。


「え、えっと・・・じゃあ、勝ったら・・・ね」


『ホント!?よっしゃーっ!!!』


立ち上がって腕を曲げてガッツポーズする相葉。


『あ、やべっ。もう行かなきゃっ。じゃあ櫻井、絶対だよ!』


時計を見て慌てて教室を出る相葉。

今頃顔が赤くなる私。


いくら鈍感な私でもわかる。


今のって・・・今のって・・・そういう意味、だよね・・・。