人生は、緊急かつ重要なことで満ちあふれています。
しかし、不思議なもので、緊急かつ重要なことしかやらないと、人間は退化し、成長できなくなってしまいます。
大切なことは、緊急かつ重要な仕事に追われる忙しい毎日の中で、いかに「緊急ではないが重要なこと」に時間を使うかです。
<目次>
1.時間管理のマトリクスとは?
2.「緊急ではないが重要なこと」がなぜ重要なのか?
3.本当に優先すべきことを優先するには?
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1.時間管理のマトリクスとは?
時間管理のマトリクスというのは、かの有名な名著であるスティーブン・R・コビー氏の「7つの習慣」の中の第3の習慣である「最優先事項を優先する」の中に出てくる概念です。
どのようなことに時間を使っているかということについて、以下の4つの領域にわけるというものです。
・第1領域:緊急かつ重要なこと
・第2領域:緊急ではないが重要なこと
・第3領域:緊急だが重要でないこと
・第4領域:緊急でも重要でもないこと
です。
図にすると以下のようなイメージになります。
この4つの中で、何が一番重要かと問われたら、どれになるでしょうか?
まず、緊急だが重要でないことや、緊急でも重要でもないことはあまり重要でないことはわかると思います。
多くの人は、この4つの中でやはり最も重要なのは、第1領域の緊急でかつ重要なことであると答えます。
しかし、人生において最も重要なのは、実は第2領域の緊急ではないけれども重要なことなのです。
2.「緊急ではないが重要なこと」がなぜ重要なのか?
それでは、「緊急ではないが重要なこと」がなぜ一番重要なのでしょうか?
この「緊急ではないが重要なこと」というのは、具体的には上記の図にあるとおりです。
すなわち、仕事や教養のために身につける勉強、健康作りのために運動をする時間、仕事や人生の計画や準備、有益な人脈作りのための時間などです。
これらは、特にやらなくても日常生活で何の支障もありません。
緊急かつ重要なことをやらなければ、上司や顧客からクレームが来たり、家庭生活が破綻したりして、目に見えて不利益が生じることがわかります。
だから、多くの人は「緊急かつ重要なこと」を日常で最も優先します。
これに対して、「緊急ではないが重要なこと」は、やらなくても誰にも怒られることもありません。
しかし、この第2領域に属することは、仕事において成功したり長い人生を充実して生きるためにどれも不可欠のことです。
これらのことをまったくやらずに、日々「緊急かつ重要なこと」にだけ追われる人生を送っていると、成長の機会を失ったり、身近な人間関係が悪化したり、健康を害したりして、仕事で成功したり充実した人生を歩むことが難しくなります。
だからこそ、第2領域が最も重要なのであり、意識的に第2領域に属することをやるための時間を作ることが不可欠なのです。
3.本当に優先すべきことを優先するには?
時間管理のマトリクスの中で、この第2領域に属することが最も重要であることは理解したとしても、それを実行することは用意ではありません。
いつか時間ができたら運動をしよう、時間があいたら勉強しようという人は多いですが、残念ながら時間ができることは永遠にありません。
なぜなら、普通の人は第1領域の「緊急かつ重要なこと」で日々のスケジュールを埋め尽くされており、これらのことに追われているからです。
ですから、「緊急ではないが重要なこと」というのはとかく後回しにされがちで、そのままでは結局やらず終いに終わってしまいます。
そこで、この第2領域に属することを日々確実に行っていくためには、何より準備や計画が大切です。
急がば回れではないですが、ある程度時間をかけて仕事や生活の計画を事前にきちんと立てることです。
そうすれば、日々のタスクの中に、「緊急ではないが重要なこと」を確実に入れ込み、こなすことができるようになります。
第一、事前に仕事や生活の計画を立てること自体が第2領域に属することですよね。
実は、人生で成功している人ほど、この第2領域に多くの時間を使っており、逆に、うまく行かない人ほど第1領域、つまり「緊急かつ重要なこと」のみに追いまくられているそうです。
そして、上記の「7つの習慣」によれば、意識的に第2領域のことに時間を使う習慣を身につければ、段々と時間やスケジュールの管理が上達し、次第に第1領域のことが少なくなってきて、「緊急かつ重要なこと」に追われなくなると言います。
仕事や人生を充実させるためには、意識して「緊急ではないが重要なこと」を優先し、そこに時間を使うようにしたいものです。
【編集後記】
今週は裁判の予定が結構入っています。
緊急事態宣言下でも裁判所は通常通りの運用をしており、裁判所が動いている以上、我々弁護士も裁判所に行かざるを得ないという状況です。