経営者である以上、会社の利益を上げることはとても重要なことです。

 

他方、会社で働く社員の立場からすれば、給料を上げてもらいたいというのは切実な望みです。

 

キャッシュフローコーチの立場から、会社の利益も社員の給料も上げる方法を考えてみたいと思います。



<目次>

1.会社の経営数字をお金のブロックパズルで考える

2.立場の違いから来る危機感のズレ

3.利益を上げるためにやってしまいがちなこと

 

 

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1.会社の経営数字をお金のブロックパズルで考える

私たちキャッシュフローコーチは、会社の利益とか、社員の給料を見る場合、会社のお金の流れの全体像をわかりやすくつかむために、お金のブロックパズルというツールを使います。

 

これは、もともと西順一郎氏の『戦略会計StruckⅡ』(ソーテック社)の中のStruck表をもとに、ビジョナリーパートナーの和仁達也氏がお金の流れの全体を分かりやすく図にしたものです。



まず売上を100とし、変動費を20とします。

 

変動費とは、仕入代金のようなもので、売上に比例してかかってくる費用のことです。

 

変動費を20とし、売上から変動費を引いたものが粗利で、粗利が80となって、粗利率は80%となります。

 

そして、粗利の中から固定費がかかります。

 

固定費の中でも大きなものがいわゆる人件費といわれるもので、社員の給料はこの中に含まれます。

 

そして、それ以外の固定費、たとえば会社の事務所の家賃や水光熱費、コピーのリース料など、人件費以外にかかる経費をその他固定費とします。

 

ここでは、固定費を70とし、人件費を40、その他固定費を30とします。

 

そして、粗利から固定費を引いた残りが利益となります。

 

上記の例では、利益は10となります。

 

ちなみに、労働分配率というのは、粗利に占める人件費の割合のことで、この例では労働分配率が50%ということになります。

 
 

2.立場の違いから来る危機感のズレ

上記のお金のブロックパズルで、7つのブロックがあります。

 

この中で、社長が一番注目するブロックと、社員が一番注目するブロックは、多くの場合異なります。

 

この7つのブロックの中で、多くの社長は最後の「利益」に着目します。

 

そして、多くの社員は「人件費」に着目します。

 

同じブロックパズルを見ていても、着目するブロックが社長と社員で異なるのはなぜでしょうか?

 

まず、社員の立場からすれば、自分たちに支払われる給料は自分や自分の家族の生活の糧ですから、できるだけ多くもらいたいと思うのは人情です。

 

そして、上記の例で言えば、利益が10も出ている、売上100に対して利益10ですから、それなりに経営数字の良い会社です。

 

なので、社員の立場からすれば、利益が出ている分、自分たちの給料に反映させてほしいと思うものです。

 

しかし、会社を経営する社長の立場から見るとどうでしょうか?

 

実は、利益が10出るといっても、そこで終わりではありません。

 

まず、この利益の中から税金を支払わなければなりません。

 

また、銀行からの借入金があれば、この利益の中から返済することになります。

 

そして、将来の設備投資などに費やすお金も、この利益の中から出ていきます。

 

これをお金のブロックパズルで示すと下記のようになります。



利益が10出ていても、そこから税金(3)、返済(4)、設備投資(2)のお金を支払うと、純粋に会社に残るお金(繰越金)は1しかありません(実際には、このほかにも減価償却費という概念がありますが、わかりやすくするためにここでは省略します)。

 

経営者の立場からすると、利益が出ていても、意外とお金って残らないというのが印象なのです。

 

ですから、いくら利益が10出ているからといって、それを全部社員の給料なりボーナスで支払ってしまったら、会社は赤字になってしまいます。

 

社長の立場からすれば、社員の給料を増やしてあげたくても、なかなか簡単には上げられないという事情があるのです。

 
 

3.利益を上げるためにやってしまいがちなこと

このように、社長は会社の利益に着目します。

 

上記のブロックパズルを見れば明らかなように、会社を今後も存続させていくためには、利益を出すことが不可欠だからです。

 

ただ、利益を上げるために、社長がやってしまいがちなことがあります。

 

今のご時世、売上を大幅に上げることは簡単ではありません。

 

しかし、たとえば上記の例で40の人件費を35に減らせば、計算上利益は15残ることになります。

 

そこで、利益を上げようとして、安易に人件費を削るという発想になってしまう社長がいます。

 

具体的に人件費を削るということは、給料を減らしたり、人を減らしたり、あるいは人が辞めても補充しないなどの措置があり得ます。

 

しかし、それをやっても本来あるべき売上の増加にはつながりません。

 

というのは、このように安易に人件費を下げて利益を出すということをやると、社員のモチベーションも下がりますし、人が減ったことで生産性も下がります。

 

そうすると、売上の増加にはつながらず、単に上記のお金のブロックパズルの規模が小さくなるだけで終わってしまうからです。

 

それでは、会社の利益も増やしながら、社員の給料も上げるという方法があるのでしょうか?

 

次回はこの点をお話しようと思います。

 

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弁護士・キャッシュフローコーチ  

よし  てい いち ろう

 

<プロフィール>

 2004(平成16)年10月 弁護士登録(東京弁護士会)

 渋谷共同法律事務所所属(パートナー弁護士)

 中小企業の法律問題のみならず、キャッシュフローコーチとして、会社経営者のお金の悩みの解決にも取り組んでいます。

 

 「どうも会社の数字が分からなくて困っているんです。税理士に聞いてもさっぱり分からない。要は、どうしたら儲かるのでしょう?また、売上はいくらあればいいのでしょうか?」

 

 最近、よくこんな質問を受けます。

 

 世の中には、お金が制約になって夢にブレーキをかけてしまう社長と、お金をモチベーションアップのツールにして、夢に向かってアクセルをふかす社長がいます。

 

 両者の違いは、本当の意味でキャッシュフロー経営を実践しているかどうかにあるようです。

 

 スタッフにきっちり報酬を払い、気持ちよく働いてもらい、社長自身もビジョンから逆算した「今日」というプロセスを楽しむ。そして、着実にビジョンを実現させる経営の仕方があります。


それが、キャッシュフロー経営です。

 

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引用元:会社の利益も社員の給料も上げるキャッシュフロー経営~ ①立場・・・