稲川淳二
『宙吊りビバーク遺体狙撃収容事件の話』
稲川さんは北アルプスと話しているが、
実際の現場は谷川岳ですから場所が全然違う
季節は冬、吹雪く雪山、一人の宙吊り遺体として語っているけれど
実際の状況は
季節は冬ではなく9月
宙吊り遺体は一体ではなく二体
『連続幼女誘拐殺人事件の犯人の逮捕場所の話』
警察の山狩りでトンネル内に潜伏していた所を見つかり逮捕されたと語っているけれど
実際は、いたずらされそうになっていた姉妹の父親が見つけ、その場で身柄を確保、通報し逮捕
稲川さんは新聞記事やニュースになった実在の事件でさえ事実誤認も甚だしく、経緯や状況がデタラメなんだよ
実在事件を怪談に仕立てる作業で、自分に都合良く強引に事実を曲げる為、稲川さんの中で創作が事実化してしまうようだ
思い込みも激しく、ご本人の中では創作を忘れ、真実として語ってしまうのだ
記憶のみならず、ちょっと調べれば事実が分かる実在の事件は怪談にしない方が良い
稲川怪談最高傑作とも言われる『生き人形』のABC 朝日放送スタジオでの放送事故パニックの話
司会、スタッフ、観客を巻き込んだとされるパニック状況も、稲川さんが語っている話と、残っている映像では全く事実が異なる事が分かる(言うほどパニックになっていない)
それに、テレビスタジオの扉はダンパーが効いているから、ギィィィィっと軋んで開閉はしない
『樹海の声』の話でも、藪を掻き分け10メートルから15メートル位突進し、声が聞こえる方向をポラロイドで撮影したと語っているが、
残されている実際の番組映像を観る限り、藪もなければ突進もしていない
某特別区域駐車場トイレの警察立て看板「このトイレで女性の腐乱死体が見つかりました云々」の話
警察は目撃情報を求める看板に「遺体状況」の詳細は書きません
稲川氏「怪談は事件ではいけない」と常々言う割に、怪談中に良く出るフレーズは
「鉈で頭をカチ割られたんですよ」(稲川怪談は鉈が良く使われる)
「薪ざっぽで殴り殺されたんですよ」
それって事件じゃんて突っ込みたくなる
『自分は水恐怖症で泳げない』と言っているのに、学生時代「西伊豆の弁天岩でサンダルを落としてしまい潜って取った」の矛盾
このフレーズもよく出るんだけど
「顔が真っ青になっているんだ」
「真っ青になって震えているんだ」
ワタクシ、小学校のプールの時間の同級生以外、真っ青になって震えている人を見たことがありません
稲川怪談は数え切れないほど嘘、デタラメ、矛盾、過剰な誇張がある
特に稲川さんはテレビバラエティ全盛期にリアクション芸で活躍された方だから、怪談でも過剰演出の傾向がある
いわゆる針小棒大、盛りすぎなんだよ
稲川怪談は一種の『語り芸』であるから、俺みたいにネチネチ分析するのは野暮なのかも知れない
でも、史実を曲げたり、あり得ない程の目に余る誇張はいけませんよね
稲川氏は現代怪談界の開拓者であり、他の追随を許さないトップランナーとして牽引してきた功労者であり重鎮であることは間違いないが、事務所スタッフや親交のある怪談界の人々が、稲川怪談の明らかな間違い、誤認、誤謬を誰一人として稲川氏に指摘しない方が怪談よりも怖い