稲川淳二氏の怪談の中で、

『赤ん坊の頃に戦死した父親からお菓子を貰ったドイツ人数学者の話』というのがある(数学者本人の著書がある)

この数学者が子供の頃に、知らないおじさんから高いお菓子を買って貰い帰宅したら、母と祖母から『どんな人だった?』と尋ねられ

『お婆ちゃんやお母さんの名前も知っていた』

『銀の台にブルーの石が入っている指輪をしていた』と答えたら

母と祖母が泣き出し、その指輪は英雄の指輪で、この村ではたった一人、その父親が貰った物だった

だから戦死した父親からお菓子を貰ったのは間違いない

自分は数学者だから答えは一つ

だけど、世の中には割りきれない物もあるんだ

おおよそはこんな話

これね、敗戦のドイツでしょ

真相を考察すると、実は父親は戦死していないんだよ

たぶん、その父親は隠密裏に活動する工作員、スパイなんだと思う

家族にも行き先は知らされないし、生死さえ知らされない、または死んだことにされて実は生きていて活動する、任務完遂し生還しても家族の元には帰れない、そんな特殊任務の人だったんだと思う

特殊任務とはそういうものだからね

江戸時代、幕府の公儀御庭番も、呼び出されて任務を命令されたら、家族が居ても一旦帰宅さえ認められず、命令された足で任務地に赴く

家族には行き先も生死も知らされない

昔からそういう職務は世界中にあるもの

だから、そのドイツ人数学者の話しは不思議でもなんでもない

父親は内密には生きていて、こっそり息子に会いに来たのが真相だと考察する

辻褄が会うんだよ