ネット通販大手のアマゾン日本法人が、本来は日本で計上するべき売上高を米国で計上し、その結果、日本での課税を逃れていると「しんぶん赤旗」が伝えた。
米アマゾンが公表している年次報告書によると、2014年12月期の日本での売上高(営業収益)は8387億円だが、同じ2014年12月期のアマゾン日本法人2社(アマゾンジャパンとアマゾンジャパン・ロジスティクス)の営業収益はあわせて899億円と約1割にすぎなかったという。
この結果、同じ期にアマゾン日本法人2社に課された法人税(法人3税)は11億円。これは、イオンなど日本の小売り大手10社の平均法人税額(329億円)の30分の1で、ネット通販大手の楽天と比べても30分の1程度にすぎなかったという。
しんぶん赤旗は、米アマゾンが「アマゾンは日本を含むすべての国で、要求された税金の全額を払っている」と回答したことを伝えた一方、「日本事業の売上高を米国に移していることは否定しませんでした」と付け加えた。
こうした「税逃れの疑い」についてどう考えるか。李顕史税理士に聞いた。
●日本で得た利益の多く、アメリカに
ーーしんぶん赤旗の指摘には、どのような感想を持ちますか
「まず、しんぶん赤旗は営業収益と税金額を比較していますが、日本の税制度では利益に対して法人税が課税されます。アマゾン関連会社2社の2014年度の決算公告をみると、税引前当期純利益に対して約35%の税金を支払っていて、概ね妥当でしょうし、日本の法律に基づいて税金を支払っていると考えられます。
今ではアマゾンは合同会社となっており、合同会社は日本で決算公告の義務はないため、決算情報を公開していません。したがって、アマゾンの日本の活動実態は分かりにくくなっています。そして、アマゾンが日本で得た利益の多くを米アマゾンに付け替え、日本で本来払うべき税金を支払わずに、アメリカで支払うような仕組みになっているのも事実でしょう」
ーーどのような仕組みをイメージすればいいでしょうか
「例えば、アマゾンで書籍を購入すれば購入者は日本の消費者、販売者は米アマゾンという関係で、あくまでもアマゾンの日本にある販売・物流施設は、米アマゾンの支配下にあるという考え方です。これにより、消費者の支払代金は米アマゾンが受け取るという理屈です」
●実態に応じた課税には、まだ時間がかかりそう
ーー国をまたぐと課税が複雑になります