立入り禁止の標識をめぐる事情

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 テキサス州の地主たちは、以前から不法侵入者の存在に悩まされてきた。不法侵入者といっても、泥棒やら強盗やらの犯罪者ではない。ハンティングや釣りを楽しむ人々が、彼らの土地に入り込み、荒らしていくのである。

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 1997年、テキサス州議会は、「紫に塗った柵が土地の持ち主による立入り禁止の意図を示す」という法案を通過させた。

 それ以前には、立入り禁止の意図を示すために、私有地の標識を出す必要があった。しかし、標識という方法には大きな欠点があったのだ。標識が不法侵入者に外され、あるいは、ハンターの練習用の標的にされて壊れてしまうので、頻繁に新しいものに取り替える必要があったのである。

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紫色の塗り方

 ところで、「立入り禁止」を示すには、ただ適当に柵を紫に塗ればいいというものではないのだ。実は、塗り方の細かいところまで法律で決められているのである。

 立入り禁止を示す紫色の塗り方は以下の通り。
1. 長さ20cm、幅2.5cmで
2. 垂直に
3. 地面から90cm~150cmの高さに

 出回っている写真を見ると、あまり厳密に守られていないようにも見受けられるけれども。また、樹木や岩などに塗ってもいいらしい。

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 また、「紫」という色が選択されたことにも合理的な理由がある。色覚異常を持つ人は決して少なくはなく、男性では20人に1人の割合になる。しかし、紫という色は、色覚異常を持っていても、ほとんどの人が見分けることができるのだそうだ。

全米に広がる動き

 「立入り禁止の紫」は、アメリカ全土に広まりつつある。この制度が始まったのは1987年、アーカンソー州でだが、すでにテキサスを含め東部から中部にかけての7州が同様の法を制定している。また、西部の3つの州にも立入り禁止を示す色があるが、こちらはオレンジ色らしい。

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 しかし、新しい法律ができたからといって、必ずしもすぐに周知徹底されるわけではない。そこで、「紫色」法が成立した当初は、その意味するところを示す看板を設置することが土地の持ち主に義務付けられた。ところが、わずか一年で、看板設置の義務は外されることになった。

 とはいえ、この紫色の警告を無視して入り込めば不法侵入になることに変わりはない。逮捕されても文句はいえない。最悪の場合は撃たれる可能性だってある。そこで、最近はツイッターなどのSNS上でも「紫色の柵」の意味を広めようという動きがある。