
次世代の小型旅客機は、東京・サンフランシスコを4.7時間、ニューヨーク・ロンドン間なら3.4時間、シドニー・ロサンゼルス間ならたった6時間で移動することができる。
今年3月に開発中であるとお伝えした、ヴァージン社の支援を受けるブーム社が開発するXB-1スーパーソニック新型ジェット機「ベビーブーム('Baby Boom)」だが、12月2日、そのプロトタイプがついに披露された。これにより超音速旅行時代がついに幕を開けることとなるだろう。
世界最速の民間機と謳われるXB-1スーパーソニック・デモンストレーターはニューヨーク・ロンドン間を3.4時間で移動できる。運賃はおよそ33万円ほどだ。ロサンゼルス・シドニー間なら6時間(9時間短縮)、東京・サンフランシスコ間なら4.7時間(6.3時間短縮)とこれまでの倍以上早く到着可能だ。
“ベビーブーム”との愛称が付けられたXB-1は、ヴァージンギャラクティック社傘下のスペースカンパニー社の協力を得て、米南カリフォルニアにあるエドワーズ空軍基地付近でテストが実施される予定だ。
最高速度マッハ2.2を実現
機体はブルーフォース社の複合構造で組み上げられたテンケイト社のカーボンファイバーシェルで構成。ハネウェル社製航空電子機器ならびにゼネラル・エレクトリック社製J85-21エンジンを3基搭載。チャイン(Chine)という洗練されたデルタ翼エアロダイナミクスを採用したことで、最高速度マッハ2.2を実現する。
搭乗員数はパイロットを含めて2名。全長約20.7メートル、翼長約5.1メートル、最大離陸重量約6,123キロである。
12月2日にプロトタイプが披露された本機は、実は技術的には未来の超音速旅客機ブームエアライナーの3分の1スケールバージョンである。
飛行機は未だに1960年代の速度で飛行していた
アマゾンの元幹部であり、ブーム社の創業者でもあるブレーク・ショール氏によると、ジェット機時代が始まって60年が経つというのに、飛行機は未だに1960年代の速度で飛行しているのだという。
かつてコンコルドという超音速旅客機が存在していたが、安価な超音速移動の手段とはならなかった。92~128人の乗客を音速の2倍、マッハ2.04で運ぶことができたが、機体の販売から利益を出すことはできず、チケットも高額であったため商業的に失敗し、2003年を最後に運行を停止した。
しかし来年後半にも初フライトが行われる予定というブームの登場によって、今後手頃な超音速旅行が実現する見込みである。
ヴァージン社の総帥リチャード・ブランソン氏は最近、同社でブーム10機を購入する予定であることを発表。同機はコンコルドよりも時速160キロ速い、時速2,335キロ(時速1,451マイル)で飛行する。
現在のジェット旅客機の2.6倍速い超音速の旅
ブームは、コンコルドの技術を参考に、最先端のエアロダイナミクス、効率的なエンジン技術、新複合素材を組み合わせて、現在のジェット旅客機の2.6倍という超音速の旅を安全かつ手頃な価格で実現する。
プロトタイプの設計にあたっては、シミュレーションによる風洞実験を1,000回以上も繰り返すことで、先細りするテーパー形状のカーボンファイバーの機体と効率的なターボファンジェットエンジンを開発。
コンコルドと違うのは、ブームにはアフターバーナーが必要なく、静かで燃費が大幅に改善(30パーセント)されていることだ。
機内には45座席を備える。1座席が2列に分けられており、乗客全員が窓と通路を確保することができる。ただし重量を抑えるために国内線ファーストクラスにおける標準的なものを採用し、ベッドのように倒すことはできない。飛行時間短縮のため高度18キロの上空を飛行し、地球の曲線を視認することできるという。
旅客機としては史上最速の旅を実現しつつも、価格は現在のビジネスクラスとほぼ同等に抑えられている。
ショール氏によると、ブームの就航に適する路線はおよそ500路線あり、東京・サンフランシスコ間なら4.7時間、ロサンゼルス・シドニー間なら6時間で結べるという。実際に就航した暁には、朝ニューヨークを立ち、午後にロンドンでの会議を済ませ、そのまま帰宅するということが可能になる。
時差ボケから解放され、家族との時間が奪われずに済むようになる日もそう遠くないのかもしれない。