そもそもの疑問は、金メダルは金(ゴールド)でできているのかということ。オリンピック関係者でなくとも察しはつくかと思いますが、もちろん純金製ではありません。1916年のベルリン大会以降、銀に金メッキのスタイルが定着しました。

オリンピック憲章によると、金メダルには「規格」があります。大きさは直径60mm以上、厚さ3mm以上。また、素材として重量の92.5%以上は銀を使うことと、6g以上の金張りを施すことになっています。2012年のロンドン大会で使われた金メダルは銀92.5%、銅6.16%、金1.34%という、金銀銅のブレンドタイプでした。金メダルを取ると、金属元素としては3種類がゲットできたことになります。

気になる今回のリオデジャネイロ大会のメダルは、史上最重量の500g(ロンドン大会の25%増量)。メダル受賞者が口を揃えて「意外に重い!!」と言ったのは、価値の重さや感慨の深さだけではなく、実は物理的にも重かったのです。

ただし、どんだけ重くても、金は6g含まれていればいいので、予算のないリオ大会ももちろん含有量はそれだけ。今回、日本の金メダル獲得数は12個でした。そのうち、男子体操団体とバドミントンの女子ダブルスが含まれているので、実質17個。つまりは、6g×17個=102gの金が国内に持ち込まれたことになります。金価格1g/約4700円(2016年8月23日現在)で換算すると、計47万9400円。4年間、日本が国力を投じた努力の報酬は、金で推し量ると48万円くらいだったわけです。

ちなみに、金メダルには銀やときに銅も含まれています。それらを合わせて、金メダル1枚の金属としてのお値段をはじき出すと、一般に7~8万円と言われています。

金メダル=大手企業の生涯賃金!?
金メダルの価格的価値を、メタルの含有量だけで見てみましたが、なにせオリンピックの金メダルですから、付加価値はスゴイはずです。ただし、なかなか売ってません。そこで、本来の値段を考える上で、2つの観点から見てみましょう。

まず、メダルそのものの市場価格という観点。実は、自分が獲得した金メダルを売却した人は、わずかですがいるのです。アメリカの雑誌『TIME』は、そんなアスリートたち10人を取り上げています。

その中でとりわけ高額だったのは、1996年のアトランタ大会でボクシング男子スーパーヘビー級の金メダルを獲得したウクライナ代表ウラジミール・クリチコ氏。16年後の2012年、オークションに出品して100万米ドル(約1億円)で落札されました。そして、売却金はすべて自国の教育基金に寄附したとのこと。ただし、クリチコさんの価格は破格であって、よほど有名選手でなければ、過去の例から見て、相場は500万~1000万円といったところです。

もうひとつ、付加価値を知る手段が、金メダルを手にしたことによる報酬です。今回のリオ五輪は、日本の場合、金メダル1個につき報奨金としてJOCから1000万円が渡されます。ただし、実際はそれ以外にも各協会、所属団体、契約スポンサーから報奨金が出るでしょう。陸上男子400mリレーで銀メダルを獲得した山県亮太氏に対して、所属先のセイコーホールディングスの服部真二会長は「親子で世界一周旅行できるくらいのボーナスを出したい」と公言しています。

それだけではありません。変なことで足を踏み外さなければ、金メダリストとして仕事には困らないはずです。とくにメジャーな競技なら、指導者やスポーツキャスターとして、講演やテレビ解説もあるでしょう。そうなると、金メダルを首にかけた瞬間、少なくとも大手企業のサラリーマンの生涯賃金=2~3億円くらいの価値は手にしたのかもしれません。